【週刊誌からみた「ニッポンの後退」】


「自由とプライバシーを求めて」渡米したはずだったヘンリー(41)とメーガン(45)夫妻が、突然、英国へ出戻ったことが話題である。


 2人が英国王室を離脱してアメリカに移り住んだのは6年前だった。

主な理由は、2人が結婚するとわかると、昼夜を分かたずパパラッチに追われ、身の危険を感じた。メーガンが黒人であることを理由に、王室内からも人種差別的な発言があったこと。兄のウィリアムと仲たがいしたことなどだったといわれる。


 訪米当初は、Netflixと1億ドルとも言われる独占契約を結び、ヘンリーが出した王室暴露本「スペア」が600万部ものベストセラーになり、順風満帆かと思われた。


 しかし、しょせん「王室批判を切り売りした」ビジネスモデルは、英国にいる時と同様、英米の“クソバエ”メディアの格好の餌食になり、2人の動向はエンタメとして大量消費され、人気は急落、“賞味期限切れ”になってしまったということだろう。


 年数億円といわれる警備費用も負担になっていたといわれる。


 彼らがアメリカでも受け入れられなかったことは、2人の帰国が決まったことを知ったトランプ大統領が「うれしい。彼らのファンではなかった」とコメントしたことからもうかがえる。


 2人の子どもの教育のため、ロンドンから車で2時間くらいのコッツウォルズ地方に居を構えるそうだ。


 私はコッツウォルズを映画「日の名残り」で知った。美しい田園風景の中で人間より多い羊の群れがのんびり草を食(は)んでいる。


 近くのストラトフォード・アポン・エイボンにはロイヤル・シェークスピア劇場がある。

子どもを育てる環境としては申し分ないが、セキュリティー費用もバカにならない。


 かつてヘンリーは、王室離脱後も従来通りの警察警護(フルタイムの護衛)を要求し、裁判まで起こしたが「棄却」されている。


 2人の帰国に対して、英国民の反発が極めて強いため、チャールズ国王は早速、「英国に住拠点を戻したとしても、国王に代わって公式行事や国家の公務を担う『公務王族』に戻ることは一切ない」と発表せざるを得なくなった。


 背景には、英国民の18歳から34歳で「王室の存続」を望むのはわずか34%しかいないという現実がある(ニューズウィーク日本版9月8日号)。


 ウィリアム皇太子は国民の王室離れを食い止めるために、「親しみやすい普通の人」というイメージを国民に浸透させようと努力してきたといわれる。


 しかし、世界屈指のトラブルメーカーである弟夫妻の帰国。今秋、息子が英国の超名門男子校・イートン校へ入学する(費用は年間約1400万円。世界から受け入れる英才はわずか250人程度)ことで、そのイメージは大きく崩れ、王室人気はさらに低迷するといわれているようだ。


 英国王室と長年、友好関係を結んできた日本の皇室も大きく揺れている。現在、愛子さんに対する国民の人気は高いが、これが収まれば、皇室の存続を望む声は年々減っていくのではないか。


 皇室典範改悪で、「約40親等」も離れた男系男子を養子に迎えることができるようになったが、一人の「異分子」を入れることで、上皇上皇后や今上天皇皇后が営々と築いてきた「象徴天皇」のあり方を、無にしてしまう可能性はないのか?


 女性天皇さえ認めないため、秋篠宮悠仁さんが背負う重圧は想像を絶するものがある。かつて、彼の父親は「紀子と結婚できなければ皇籍離脱も辞さない」といったことがあった。


 悠仁さんが、そう言い出したらどうするのだろうか? 絶対に男の子を産まなければならないという重圧に耐えられる女性は現れるのだろうか?


 一見、盤石に見える王室・皇室制度だが、“蟻の一穴”で崩壊する危険性をはらんでいると、私は思っている。 (文中一部敬称略)


(元木昌彦/「週刊現代」「フライデー」元編集長)


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