9月14日、女優・中村ゆりさんの訃報が所属事務所から発表された。44歳だった。

“名バイプレーヤー”として密かなファンが多く、SNSには芸能関係者やドラマや映画愛好者から追悼があふれた。


 そんななか、ある県民からの悲しみの声が特に目立った。《まじか…》《静岡では認識率めっちゃ高いのよね》《静岡県民ならほぼ全員知ってる》


 なぜ、静岡県民は彼女に特別な思い入れがあるのか。その理由を静岡県出身の脚本家に聞いた。


■静岡県民にとっては中村ゆり=YURI


 まず、女優としての中村ゆりさんの印象をこう振り返る。


「多くの作品において、落ち着いた美しさの中に強い存在感を放つ方でした。彼女の名を知らしめた作品は、映画『パッチギ! LOVE&PEACE』など数ありますが、お茶の間への浸透という意味では日本生命のCMが大きい。病気と闘うシングルマザー役が多くの涙を誘い、2020年には『第58回JAA広告賞』で入賞しています。訃報の際に闘病が明かされたことで、このCMの姿に重ね合わせた方も多かったのでは」(脚本家、以下同)


 また、ファンの間で特に人気が高いのが、ドラマ「今夜はコの字で」(BSテレ東)だという。


「シーズン2まで制作された本作で、バリバリ仕事をこなしながらもコの字酒場を飲み歩く魅力的な“恵子先輩”を演じた中村さんは、共演者だけでなく視聴者の心も魅了しました。シーズン3の噂も聞いていただけに、本当に残念です」


 一方、静岡県民にとっての中村ゆりさんのイメージは少し異なる。それはアイドルデュオ・YURIMARIのYURIとしての姿だ。



かつての人気番組「ASAYAN」から生まれたユニット

 YURIMARIはかつての人気番組「ASAYAN」(テレビ東京系)から誕生したユニットだ。当時はエイベックスに所属しており、サンプラザ中野とP.KAWAI名義のパッパラー河合が楽曲提供をしている。


 そんな彼女たちの楽曲「love love dreamer」が、人気ローカル番組「くさデカ」(テレビ静岡)のテーマソングとして採用されたのだ。


「『くさデカ』は1999年から続く長寿番組。過去最高視聴率は25.5%を記録しており、静岡県民で知らない人はいないといっても過言ではないでしょう。放送開始から27年経ちますが、テーマソングは今も変わっていない。SNSで《静岡人はみんな歌える》《静岡県民のソウルソング》《国歌より聞いてる》と言われているのはそのためです」


 YURIMARIは1998年結成~1999年解散という短い活動期間にもかかわらず、この楽曲は県民の世代を超えて愛されている。


「静岡県民の中には女優として活躍する中村ゆりさんの存在を、遠い妹のような目で見ていた人も少なからずいたでしょう。毎週テレビから流れてくる歌声が親しみを育ててきたのだと思います」


 9月15日、「くさデカ」公式Xは「中村ゆりさんのご冥福をお祈りいたします。長年番組を支えてくれている『love love dreamer』。当番組ではこれからも大切に流させていただきます」と追悼した。


 この投稿には《この曲だけはずっと変えないで欲しいです》《中村ゆりさんの歌声をずっと聞き続けられますね》などのコメントが相次いでいる。


 44歳という早すぎる死去。心よりご冥福をお祈りする。
  
  ◇  ◇  ◇


 やはり、中村ゆりさんは自身の出自に特別な思いを抱いていたようだ。関連記事【もっと読む】《芸能界ってなぜ『在日』を隠すの?》…中村ゆりさんがルーツを胸に「負けん気」を貫いた44年の生涯…では、本人の44年間の生涯を振り返っている。


編集部おすすめ