タイ・バンコクのチャトゥチャック区にあるビアパブ「ロン・ビア・ナ・ラップラオ」で2026年7月12日深夜に発生した大規模な火災で、出火当時にステージで演奏していた地元の人気音楽バンド「トッサカン(Tossakan)」のメンバーら3人が死亡するなど、若手ミュージシャンが悲劇の犠牲となったことが明らかになった。

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 国営放送タイ・ピー・ビー・エス(Thai PBS)などの現地報道によると、同バンドは事件当日の午後10時から午前0時までの予定で出演していた。
演奏が終盤に差し掛かった午後11時57分ごろ、突如ステージ前方の天井付近から黒煙が立ち上り、直後に店内が停電。一瞬にして激しい炎と煙が館内を覆い尽くしたという。

 この惨事により、同バンドの女性ボーカルである「ブリーズ」さん、男性ボーカルの「ディン」さん、そして重体に陥っていたドラム担当の「ビュー」さんの計3人の死亡が相次いで確認された。生存したバンドのリーダーは地元メディアの取材に対し、「天井から煙が出た直後に電気が消え、暗闇の中で非常口の場所も分からなかった。周囲に避難を呼びかけたが、炎の勢いが激しく、仲間を救い出すことができなかった」と当時の凄惨な状況を涙ながらに語った。

 タイの有力紙タイ・ラット(Thairath)の報道によると、死亡したディンさんの母親は、大学を卒業していない息子が音楽の道を選び、懸命に働いて母親の抱えていた数十万バーツ(約100万円以上)の借金を完済してくれたばかりだったと明かし、「最愛のひとり息子だった」と遺体安置所で崩れ落ちた。若くして才能を開花させ、家族を支えていた若い命が理不尽に奪われたことに、国内では大きな衝撃が広がっている。

 現地警察の調べでは、同店の非常口は客の無断出入りを防ぐなどの理由で日常的に施錠されており、さらに物販用のテーブルや菓子売りの露店によって塞がれていたことが被害を拡大させたとみている。本来の避難経路が機能していなかったという人災の側面が、タイ国内で強い憤りを呼んでいる。
【編集:af】
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