2026年7月23日、インド北東部シッキム州ナムチ地区で建設中の水力発電トンネル内で爆発事故が発生し、22人の作業員が死亡した。現地有力紙「ザ・ヒンドゥー(The Hindu)」は、事故は7月20日に起き、救助活動が続けられていたが、7月23日午前10時57分(インド時間)に当局が犠牲者数を確認したと報じた。
爆発の原因はメタンガスの急激な噴出とみられ、現場は依然として危険な状態にある。

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 事故が起きたのは国営水力発電会社NHPCが進めるテスタ第6水力発電プロジェクトのトンネル。掘削作業中にガスが充満し、爆発的に放出されたことで濃い煙と有毒ガスが発生し、作業員は逃げる間もなく犠牲となった。救助隊は国家災害対応部隊(NDRF)や州災害対応部隊(SDRF)、さらに西ベンガル州アサンソルから派遣された炭鉱救助専門チームを投入し、夜通し作業を続けたが、現場は泥や水が溜まり、救助隊員が呼吸困難を訴えるなど極めて危険な環境下での活動となった。

 ナムチ地区行政官アヌパ・タムリング氏は「22人の遺体が確認された」と述べ、さらに「少なくとも3人が依然として行方不明」と説明。事故現場は山間部に位置し、道路事情も悪いため救助活動は難航している。犠牲者の多くは地元出身の労働者で、家族は現場近くで必死に安否情報を待ち続けている。

 この事故は、ヒマラヤ地域における水力発電開発の脆弱性を示すものとされる。テスタ川流域は地質的に若く脆い岩盤が多く、地震活動も活発な地域であるため、地下に圧縮されたガスが存在する可能性は高い。今回の事故は、計画段階でのリスク評価やガス検知・換気設備の整備が十分であったのかという疑問を投げかけている。

 インドでは近年、地下工事に伴う事故が相次いでいる。2023年にはウッタラカンド州で道路トンネルが崩落し、41人の作業員が17日間閉じ込められた末に救出された。
また同年10月にはシッキム州で氷河湖決壊による洪水が発生し、テスタ第3ダムが破壊されて100人以上が死亡している。こうした一連の災害は、ヒマラヤ地域における大型インフラ開発の危険性を改めて浮き彫りにしている。

 NHPCは犠牲者の遺族に対し50万ルピー(約90万円)の補償金を支払うと発表した。さらに州政府は追加の補償を行う方針を示し、インド政府も支援を約束している。しかし救助と補償は当然の措置である一方、事故の背景にある計画上の問題を検証しなければならないとの指摘が強まっている。

 今回の事故は、インドが進める水力発電開発の安全性に重大な疑問を投げかけている。環境的に脆弱なヒマラヤ地域での大規模工事は、自然災害や地質リスクと常に隣り合わせであり、十分な安全対策がなければ再び悲劇を招く可能性が高い。救助活動が続く中、インド社会は「開発と安全の両立」という難題に直面している。
【編集:af】
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