2026年7月24日、米食品医薬品局(FDA)は、メキシコ産レタスに関連する寄生虫感染症「サイクロスポラ症(Cyclospora infection)」の症例が新たに4州で確認され、感染が合計9州に拡大したと発表した。米国内ではこれまでに1947人の感染者が報告され、少なくとも98人が入院している。
死者は確認されていない。米疾病対策センター(CDC)のデータによると、感染者の多くがレストランチェーン「タコベル(Taco Bell)」で食事をしていたことが判明している。

その他の写真:イメージ

 米国のニュースサイト「NBCニュース」は、FDAが発表した感染拡大の詳細を報じた。感染が確認された州は、中西部のイリノイ、インディアナ、カンザス、ミシガン、オハイオ、南部のケンタッキー、オクラホマ、ウェストバージニア、そして東部のペンシルベニア州。これらの州では、6月下旬から7月中旬にかけてサイクロスポラ症の症例が急増しているという。「CNN」は、FDAがメキシコ産レタスの輸入業者に対し、出荷停止と検査強化を命じたと報じた。感染源とみられるレタスは、タコベルのサラダやタコスに使用されていた可能性が高い。

「USAトゥデイ」によると、サイクロスポラ症は寄生虫サイクロスポラ・カイテネンシス(Cyclospora cayetanensis)によって引き起こされる感染症で、主に汚染された野菜や果物を摂取することで感染する。症状は下痢、腹痛、吐き気、発熱などで、重症化すると脱水症状を伴う。感染は通常、摂取後1週間ほどで発症し、治療には抗生物質トリメトプリム・スルファメトキサゾールが用いられる。

 FDAは声明で「感染拡大を防ぐため、メキシコ産レタスの流通経路を追跡し、汚染源の特定を急いでいる」と述べた。CDCは、感染者の多くが同一の供給業者から仕入れたレタスを食べていたことを確認しており、食品安全監視体制の強化を求めている。
「ABCニュース」は、FDAがメキシコ政府と協力して農場の衛生管理状況を調査していると報じた。現地では水質汚染や肥料の管理不備が感染拡大の一因とみられている。

 米国内では、サイクロスポラ症の発生は近年増加傾向にある。CDCの統計によると、2025年には全米で約2600件の感染が報告されており、主な原因は輸入野菜の衛生管理不足とされる。「ウォール・ストリート・ジャーナル」は、食品輸入の検査体制がパンデミック後に緩和されたことが感染拡大の背景にあると指摘している。特にメキシコからの青果物輸入量が増加していることが、リスクを高めているという。

 FDAは消費者に対し、レタスや生野菜を食べる前に十分に洗浄するよう呼びかけている。また、感染が疑われる場合は速やかに医療機関を受診するよう注意を促している。CDCは「感染者の多くが軽症で回復しているが、免疫力の低い人や高齢者では重症化の恐れがある」と警告している。

 今回の感染拡大は、米国の食品安全体制に改めて課題を突きつけた。FDAは今後、輸入野菜の検査基準を見直す方針を示しており、メキシコ政府との協議を通じて再発防止策を強化する見通しだ。「NBCニュース」は「感染源の特定には時間がかかるが、消費者の警戒が感染拡大を防ぐ鍵になる」と報じている。

【編集:af】
編集部おすすめ