人工知能(AI)と半導体の爆発的需要が世界経済を揺るがす中、中国が国家の威信と巨額の資金を投じて半導体覇権を狙うという報道が連日駆け巡っている。中国企業の台頭によって日本や韓国の優良企業が株価急落に見舞われるなど、市場には不安と動揺が広がっている。
しかし、投資家や一般消費者は一度冷静に立ち止まる必要がある。中国は本当に世界の半導体市場を支配できるのか。中国政府がどれほど巨額の資金を投じようとも、構造的に解決不能な致命的弱点が存在するからだ。

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中国が過去に世界の産業でシェアを奪ってきた手法には、明確な共通点がある。先進国企業から技術を輸入・模倣・盗用し、国家補助金で民間企業を全面支援し、赤字覚悟のダンピングで海外市場を席巻するというやり方だ。鉄鋼、太陽光パネル、電気自動車などはこの手法で世界シェアを奪われた典型例である。日本が伝授した技術をそのままコピーし、格安製品を大量輸出することで競合他社を次々と撤退に追い込んだ。中国は現在、この「成功モデル」を半導体にも適用しようとしている。しかし、半導体は鉄鋼や太陽光パネル、自動車のような“安ければ売れる汎用品”とは根本的に異なる。

半導体はスマートフォンや通信インフラ、金融システム、防衛装備に至るまで、国家の安全保障を支える最重要物資である。価格だけで選ばれる製品ではない。過去には中国通信機器から情報を抜き取るためのバックドアが発見された事例もあり、安全保障上のリスクが極めて高い国の企業に国家の根幹を担う半導体を委ねる国は存在しない。
これが、中国が覇権を握れない第一の理由である。

さらに、半導体製造は米国・日本・オランダなどがそれぞれの得意分野を持ち寄る国際的な分業体制で成り立っている。最先端装置の多くは米国の輸出規制によって中国に渡らず、中国は必要な装置・技術・人材のすべてが不足している。過去には数兆円規模の国家予算を投じて巨大工場を建設したものの、汚職や収賄が横行し、倒産に追い込まれた例もある。こうした歴史が、中国が単独で最先端半導体を製造することが物理的に不可能である現実を物語っている。

半導体の委託製造(ファンドリー)で最も重要なのは、顧客の機密情報を守り抜く絶対的な信頼である。台湾の世界的メーカーが選ばれるのは、厳重な情報管理体制が確立しているからだ。中国企業に設計図を渡せば、技術をコピーされる危険性や、国家間対立時に供給を止められるリスクが常につきまとう。世界の巨大テック企業が中国に製造を委託する可能性はゼロに等しい。

日本のニュースでは時折「中国が最先端半導体を開発した」といった報道が流れるが、これは10年以上前から繰り返されている中国特有の宣伝活動にすぎない。投資家は即座に無視すべき情報である。世界のテック企業はAI分野へ巨額投資を続けており、半導体需要は今後も数倍規模で膨張すると見られている。
市場の一時的な動揺に惑わされず、中国の半導体脅威論というノイズを正しく見切れる者だけが、激動の株式市場で勝者となる。
【編集:ソムチャイ安間】
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