GRYPHLINEから2026年1月22日にリリースされた『アークナイツ:エンドフィールド(以下、エンドフィールド)』。スマホ向けタワーディフェンス『アークナイツ』の世界観を引き継ぐ本作は、配信直後から大きな話題を呼びました。


『アークナイツ』といえば、死の病である鉱石病をテーマに、さまざまな人物や組織の物語を描いてきました。そんなシリーズの新作タイトルとして配信中の『エンドフィールド』では、7月16日に新バージョン「向淵行」が実装。そして新オペレーターとして「オクギ」「リーノ」が登場するなど、展開がより加速しています。

そして今回インサイドでは、リリースから半年を迎える『エンドフィールド』について、本作を含む『アークナイツ』シリーズを深く濃く追ってきたインフルエンサーをお招きし、座談会を実施。サービス開始からこれまでの展開や大きく変わったゲーム性、『アークナイツ』とのつながり、今後への期待などなど……リリース半年の今だからこその話をお聞きしました。

参加者は、サイハテさん、あまくだりさん、oyukiさん、Milhaudさん(以下、座談会部分は敬称略)。本記事の筆者でもあるrate-datが参加しました。

サイハテ: X / YouTube

大陸版の初期から『アークナイツ』を追ってきたプレイヤー/動画投稿者。大陸版情報やアップデート情報、『アークナイツ:エンドフィールド』関連の解説を発信しています。

あまくだり: X / YouTube / YouTube アークナイツch

ゲーム実況/配信者。『アークナイツ』や『アークナイツ:エンドフィールド』関連の動画/配信も行っています。

oyuki: X / YouTube

『アークナイツ』と『アークナイツ:エンドフィールド』で大陸版の初期から追ってきたプレイヤー/動画投稿者。
大陸版情報や攻略/解説/最新情報を発信しています。

Milhaud: X

『アークナイツ』のJP/EN/CN比較を言語比較という部分で考察を行うプレイヤー。

rate-dat: X / YouTube

Game*Spark/INSIDEでお馴染み、重度のアークナイツ大好きおじさん。

(聞き手・編集部)

◆『アークナイツ』に触れたきっかけ
――今回はご参加頂きありがとうございます! 早速ですが、はじめに皆さんが『アークナイツ』に触れたきっかけをお聞かせください。

サイハテ: 最初に『アークナイツ』を知ったのは2018年、大陸版が始まる1年半ほど前です。Weiboを見ていた時に、『アークナイツ』というタイトルを知りました。

その時、日本版には出ていない「記録者の記録(※)」というものがあったんです。ロドスにいるとある人物が、テラの世界観を記事のように紹介していく形で、公式がWeiboで発信していました。

ゲームが始まる前から世界観を思い切り広げていく体験は、それまで自分があまり知らなかったもので、そこにすごく魅力を感じました。当時はソーシャルゲームに対して少し疲れていた時期でもあり、課金面の重さもあって「何かいいゲームはないかな」と思っていたんです。そこで『アークナイツ』に出会い、まず世界観から入りました。

※リリース前からPVなどに仕込まれていたイースターエッグ

――ゲームより先に、世界観の見せ方が刺さったと。


サイハテ: そうですね。ゲームが始まる前から公式が世界観を広げていく。そのやり方が新鮮でした。単に「こういうゲームが出ます」という告知ではなく、ロドスという組織やテラという世界に、こちらが先に足を踏み入れるような感覚がありました。

あまくだり: 自分は大陸版ではなく、グローバル版のユーザーです。大陸版から1年弱くらい遅れて日本版がリリースされたと思うんですが、最初は新しいソーシャルゲームが出たな、くらいの印象でした。

当時はTwitterでアーミヤなどのイラストが流れてきて、「かわいいキャラだな」と思い、軽い気持ちで始めました。ところが触ってみると、ゲームとしてすごく面白かったんです。

タワーディフェンスというジャンル自体、日本ではそこまでメジャーではないと思います。自分も「聞いたことはあるけれど、どういうゲームなのか」という感じでした。敵がゴールへ向かってくるので、それに対してキャラクターを配置して迎え撃つ。最初はそういう基本から触っていきました。


ただ、いろいろ工夫するとクリアできる感覚があって、気づけば3時間、4時間と攻略を続けていました。そこからゲームとしてハマって、攻略していくうちに世界観もどんどん面白くなっていき、ずっと続けているという流れです。

oyuki: 私が触れるきっかけになったのは、海猫さんの影響が大きくあります。Hypergryphという会社ができて、公式サイトやコンセプトアートが出てきた時に、アーミヤやWのイラストを見て「これは絶対やりたいな」と思いました。

oyuki:当時は、かわいいキャラクターや露出の多いビジュアルが目立つゲームも多かった印象がありました。その中で『アークナイツ』は、ダークな雰囲気や世界観、コンセプトアートの空気がかなり違って見えたんです。

大陸版の公式ホームページや初期のコンセプトアートを見て、ビジュアルの方向性に強く惹かれました。ゲームシステムよりも先に、まずアートや雰囲気に引っ張られたというのが大きいです。

――『アークナイツ』の美術設定集なども、かなり分厚いですよね。

oyuki: そうですね。毎回出てくる量もすごいですし、世界観の作り込みもあります。そういうものを含めて、アート面が入口になりました。


Milhaud: 私はこの中では始めたのが遅い方で、2020年9月です。タイトル自体は春先くらいから知っていましたが、多くのゲームを抱えるのがあまり好きではなかったので、興味を持ちつつ見送っていました。

ただ、周りの友人が始めたこともあり、世界観に少し触れた時に「他のゲームとは空気が違う」と感じました。始めたタイミングは「ウルサスの子供たち」の前後くらいで、香りがまったく違うというか、本編も含めて重い空気がずっと続いているところが自分に合ったのだと思います。

一同:あぁ…

Milhaud:その頃、自分が遊んでいた別のゲームがひと区切りを迎えて、気持ち的に落ち着いたところもありました。新しいゲームを始めるなら今かもしれない、というタイミングでもありましたね。

ゲーム性については、2000年代のフラッシュゲームの時代にタワーディフェンスを触っていたこともありました。昔パソコンで遊んでいたジャンルだったので、ある程度心得があるというか、懐かしいなという気持ちも半分ありました。気が付いたらのめり込んでいましたね。

――「ウルサスの子供たち」前後から入るのは、かなり濃い入口ですね。

Milhaud: そうですね。しょっぱなからかなり重いところに触れたので、それも大きかったと思います。
『アークナイツ』の空気が自分の性に合ったという感じです。

rate-dat: 私は以前、Game*Sparkで『アークナイツ』の紹介記事を書かせていただいたことがあるのですが、きっかけは『レインボーシックス シージ』です。当時同作品をプレイしていて、コラボでTachankaが来るらしいと聞き、「Tachankaが来るならやってみるか」と始めました。

https://www.gamespark.jp/article/2023/01/08/125974.html

最初のイベント「オペレーション オリジニウムダスト」では、OD-8をクリアするまでやることになりました。EXステージも開放されていて、残り1週間を切っているような状況だったんです。

ーーコラボにしては、既存ユーザーも苦しむほどのボス戦でしたよね。

rate-dat:軽い考えで始めたところがありましたが、当時はOD-8をなんとかクリアするところまでは持っていけました。「コラボイベントだから簡単だろう」と舐めた考えをしっかり打ちのめされて真剣に向き合うようになりました。

――半年でオペレーターをコンプリートするほどハマった、という話も出ていましたね。

rate-dat: そうですね。始めて半年でオペレーターをコンプリートするくらいにはハマりました。

◆突然の発表から4年…『エンドフィールド』についてどう思った?
――『エンドフィールド』は急に発表された印象もありました。
発表されてからリリースまで、どのように感じていましたか。

サイハテ: 最初は、雰囲気として『アークナイツ』を継承するのだろうなという印象でした。キービジュアルなどを見ても、そこは感じました。

ただ、Hypergryphとして本格的な3Dゲームは初めてだったと思います。

もうひとつ大きかったのは、『エンドフィールド』が始まった時に『アークナイツ』はどうなるのか、という不安です。『アークナイツ』が自然と終わってしまって、『エンドフィールド』側に完全移行してしまうのではないか、という感覚が最初はありました。

――『アークナイツ』が中途半端に終わってしまうのではないか、という不安ですか。

サイハテ: そうです。当時はまだ大陸版でも宇宙に関する情報があまり開示されていない時期でした。「孤星」以前は、テラの外に関する情報がほとんどなかったわけです。そこでいきなり別の惑星に行くとなると、どうつなげていくのかが気になりました。

最初はテラを中心に展開していて、海の方にフォーカスが当たっていた時期でもありました。だから、不安の方が大きかったです。さらに、初期の『アークナイツ』はイベント頻度も今ほど高くなく、2か月に1回くらいの印象がありました。そういう状況で、1タイトルだけを運営してきた会社が新作を出すとなった時に、「やっていけるのかな」という気持ちもありました。

――3Dゲームとして成立するのか、という不安もありますよね。

サイハテ: そこもありました。最初のビルドはどちらかというとRPG寄りの印象が強く、工業もニッチでした。今は見下ろし視点などが追加されて操作性はだいぶ改善されましたが、最初は三人称視点だけだったので、ついていけない人が多いのではないかという不安もありました。

あまくだり: 自分はグローバル版側の感覚で、単純に「『アークナイツ』で3Dゲームが出るんだ」という印象でした。グローバル版の『アークナイツ』と同じ年に『原神』のような3DオープンワールドRPGが出て、自分もプレイしていました。

そういうゲームで遊んでいると、『アークナイツ』の世界観で3Dゲームが出たら面白そうだなと思うことがあったんです。そんな中で『エンドフィールド』の情報が出たので、「ついに来るんだ」というワクワクの方が個人的には大きかったですね。

『アークナイツ』は2Dゲームとして楽しいですが、イベントPVなどでは3Dを使うことがありましたし、「3Dのゲームが来たら絶対やるのにな」と思っていたところに来たので、楽しみでした。

また、『エンドフィールド』は同時リリースになるだろうという気持ちもありました。ラグなしで「最新のコンテンツを遊べるのではないか?」という期待は大きかったです。

oyuki: 『エンドフィールド』の情報が最初に出てきたのは2022年3月頃だったと思います。そこから情報を追ってきた身としては、急にリリースされたという感覚はまったくありませんでした。2022年から待っていたので、ティザー、アルファテスト、ベータテスト、そしてリリースへと、少しずつ段階を踏んできた印象です。

最初は本当に何も想像がつきませんでした。ティザーPVだけが出て、詳細はあまり出ていなかったので、「本当に出るのか」「いつリリースされるのか」という気持ちもありました。大きなタイトルほど時間がかかることはありますし、気長に待っていました。

ただ、良い意味で毎回期待を裏切ってくれたと思います。初期の英語版ビルドの時点では、今のバージョンと比べるとかなり違っていました。あの時はあの時で楽しかったのですが、今の完成度を見ると、フィードバックを受けてゲームに向き合い、かなり仕上げてきたのだと感じます。

初めはわからないことだらけでしたが、『アークナイツ』というコンテンツをずっと追ってきた身として、どうなっていくのかを見てきたので、期待感は徐々に上がっていきました。

Milhaud: 私は最初の発表の時点で、すでに『アークナイツ』の大陸版も触っていました。言語比較がひとつのきっかけで、原文と日本語、英語、韓国語などのニュアンスを比較し、世界観への理解を言語レベルで突き詰めたいというモチベーションがありました。

『アークナイツ』は「ニアーライト」以降、ついにすごい段階に来たなという感覚があり、ボルテージが徐々に上がっていた時期でした。そういうタイミングで『エンドフィールド』が発表されたので、楽しみだったのを覚えています。

一方で、英語圏や大陸側のコミュニティにも少し出入りするようになっていたので、向こうのファンたちが注目している情報も目に入っていました。たとえばHypergryphの会社採用情報を見て、今どういう人材を必要としているのか、どんなポジションを募集しているのか、みたいなアプローチですね。そういう情報をヒントに「今の開発進捗はどんな感じなんだろう」と話題にしている人たちもいました。

そういう意味では、期待と不安が両立していました。英語圏では「Whenfield」のようなミームもありましたし、いつできるんだろう、という感覚もありました。

――『アークナイツ』側でも、宇宙やタロIIにつながるような下地作りはありましたよね。

Milhaud: そうですね。「孤星」やサーミのローグライクなどで、かなりリリースに向けて土台作りをしていたのではないかと感じます。サーミローグライクの要素や宇宙の話題は、『エンドフィールド』へ向けた準備にも見えました。

大陸側では宇宙関連※のコラボもありましたし、『アークナイツ』で盛り上げて、『エンドフィールド』へぶつけるような流れを想定していたのではないかと思います。中国のフォーラムでも、そういう予想をしている人たちがいました。

※中国航天神舟傳媒(中国政府指定の宇宙関連メディア事業)とのコラボレーションでグローバル版では未実装。

◆「ユーザー層が広がった」新作リリース、逆に「『アークナイツ』にも興味を持ってくれたら嬉しい」
――実際にリリースされた時の盛り上がりや、周囲の反応はいかがでしたか。

サイハテ:やっぱり『アークナイツ』を知らない人が入ってきてくれたことの意義は大きいですよね。

その中で、『エンドフィールド』から入る人に向けて『アークナイツ』での知識のギャップをどのように舵取りするのかが大きなポイントだと思いました。

例えば「鉱石病(オリパシー)」や「天災」は、『アークナイツ』を追っている人には当たり前の用語です。源石が病気をもたらすことや、テラの基礎的な世界観、タロIIが今のエーシェンツ(先民)の故郷だという設定もそうです

――長く追ってきた側からすると、どこから説明すべきかも難しくなりますね。

サイハテ:そうなんです。『アークナイツ』を語る上では避けられない用語なので、どこから話せばいいのかという難しさがあります。

だからこそ、この『エンドフィールド』をきっかけに「鉱石病」を取り扱った『アークナイツ』にも興味を持ってくれたら嬉しいですし、新しくユーザー層が広がったことは重要だと思います。

あまくだり: 今までのタワーディフェンスから外れて、大きな3Dゲームが出たことは、かなり大きな出来事だったと思います。工業要素もあり、これまでとは違うゲームとして注目されました。

普段『アークナイツ』をやっていない人、3Dゲームをメインで遊んでいる人が『エンドフィールド』を触ってみる流れもありました。アークナイツ界隈を超えた動きになっていた印象です。

設定面では、もちろん鉱石病やテラの話もあります。ただ、タロIIでは鉱石病がある程度制御可能なものとして扱われていたり、メインには侵食や調育のような新しい要素が出てきたりします。なので、『アークナイツ』を知らなくても、SF的な要素として受け入れられるようにはなっていたと思います。

『アークナイツ』を知っている側からすると、「この時代では鉱石病が制御可能になったのか」「ロドスの努力があったのか」といった考え方もできます。一方で、『エンドフィールド』から入った人にも、用語の解説や資料が用意されている。ある程度、新規ユーザーのことも考えてストーリーや用語を出していたのかなと感じました。

あまくだり:実際、自分の配信でも「『エンドフィールド』から前作の『アークナイツ』を始めました」というコメントがありました。『アークナイツ』のプレイヤーが『エンドフィールド』へ行く流れは当然あると思っていましたが、逆の流れもあるんだなと感じましたね。

――動画や配信の反響にも変化はありましたか。

あまくだり: 最初のリリース当時は盛り上がりがありました。ただ、今まで『アークナイツ』の動画を上げていなかった人、たとえば3Dゲームやオープンワールド系のゲームをメインにしている方が『エンドフィールド』の動画を上げていたんです。

これまで『アークナイツ』の動画なら、決まったクリエイターを見れば大体追える感覚がありました。でも『エンドフィールド』では、まったく別の界隈の方が動画をどんどん出していた。3Dゲームとして注目を集めているんだな、という驚きがありました。実際、その注目に応えるくらいのクオリティはあったと思います。

oyuki: リリースタイミングについては、予想していたリリースのテンポとは違っていたので驚きました。ただ、ベータテストなども触っていたので、『アークナイツ』を知らないユーザーもかなり入ってくるだろうという確信に近いものはありました。

広告などもかなり大きく展開されていましたし、普段『アークナイツ』に届いていなかった層にも届くと思っていました。盛り上がりはすごかったというより、ある程度は想定内だったかなという感覚です。

一方で、個人的にはYouTubeへの影響はそこまで大きくありませんでした。自分は『アークナイツ』もやっていく必要があるので、『エンドフィールド』だけに振り切れるかというと難しい部分がありました。ただ、いちファンとして、『アークナイツ』をこれまでやってきた身として、自分にできることをやろうと思っていました。

それ以上に大きいと感じたのは、Hypergryphの開発姿勢がグローバルに届くようになったことです。大陸版の情報を追ってきた人なら、同社がゲームやユーザーに真摯に向き合っていることを知っていると思いますが、グローバルではなかなか届きにくかった。

それが『エンドフィールド』では、バージョンアップごとに開発者が表に出たり、海猫プロデューサーが直接姿を見せたりする。ユーザーの声を受けて改善していることも、会社を通してではなく、直に感じ取れるようになった。それが自分の中では一番大きかったです。

――大陸版を追っていた人には見えていた開発側の距離感が、グローバルにも見えるようになったと。

oyuki: そうです。大陸版では生放送や録画放送で海猫さんが出る機会がありましたが、グローバル版のファンにはなかなか届きにくかったと思います。『エンドフィールド』では、海猫さんの顔や開発者の声が世界に届いている。そこは嬉しいですね。

Milhaud: 私はインフルエンサーというより一般目線に近いのですが、ベータテストを2回触らせてもらって、少しずつ良くなっていくのを見ていました。可能性を秘めたゲームだという評判には賛同していました。

ただ、リリース時期は自分の想定より早かったです。最低でも3月、春節明けくらいではないかと思っていました。春節前後まで詰めて、春節を休んで、一気に出すのかなと思っていたので、1月にリリースされた時は少し驚きました。最後のブラッシュアップをこの短い期間でやるのか、という不安は少しありました。

また、北米や欧州のような市場では、ガチャゲームに対する受け止め方が違います。ギャンブル性が高いよね、という話は以前からありますし、ハードルが高い。そこへどうアプローチするのかも気になっていました。

実際には、海外のゲームレビューサイトやインフルエンサーにもかなりレビューを求めていたように見えたことからも、これまで開拓しきれていなかった市場へ、本気で向かっているのだろうと感じました。

加えて、英語ローカライズや言語表現へのこだわりも印象的です。自分は言語比較をしているので、原文、日本語、英語、韓国語の違いを見るのですが、英語版だけに触れられている要素や、スラング、名称の出し方など、ローカライズの独自性も含めて気になる部分が多かったです。

――ローカライズの話でいうと、原文と英語版で情報の出方が違う部分もあるのですか。

Milhaud:あります。いわゆる「*〇〇スラング*」の比較を中心に調べたこともありました。原文である中国語の大陸版、日本語版、韓国語版、英語版を比べると、英語版だけで触れている内容があるんです。

『エンドフィールド』を見ると、英語側での表現やアクセント、名前の出し方にかなりこだわりがあるように感じます。そういう意味でも、グローバル展開をかなり意識しているのだと思います。

◆ゲーム性は違うけど、用語の深さは「Hypergryph」らしさを感じる
――リリースされてから半年間、実際に遊んできて、展開やゲーム内容をどのように見ていますか。

あまくだり: 工業ゲームをあまり触ってこなかった人間としては、最初は戸惑いもありました。ただ、遊んでいくうちに、戦闘、探索、工業、キャラクター育成がそれぞれ結びついていく感覚がありました。

『アークナイツ』と違うゲームではありますが、世界観やキャラクターの作り込み、用語の深さはやはりHypergryphらしい。そこに惹かれている人も多いと思います。

一方で、『アークナイツ』のストーリー表現とはまったく違うところもあります。本家はテキストベースで、ノベルゲーム的に世界観を深く描いていく。一方『エンドフィールド』はフルボイスで3Dです。映画のような表現を目指しているとすれば、同じ濃度を同じやり方で出すのは難しいはずです。

だから現状は、3Dゲームとしてどう『アークナイツ』レベルの世界観を表現するか、試行錯誤している段階なのかなと感じています。管理人もドクターとは立場が違います。目覚めた時点で伝説の管理人として扱われ、周囲の期待を背負う。そこに対する不安や、記憶がないのに英雄扱いされる構造は、ドクターとは別の方向性のアプローチだと思います。

今はまだ種をまいている段階で、それがどう咲いてくるのかを見ているところです。半周年や今後の大型アップデートで、一気に本領を出してくるのかもしれません。

oyuki: 半年間の展開としては、アップデートの速度がかなり早い印象です。キャラクターも追加され、新しいエリアも出てきて、グローバル版でも今後どう展開していくのかが見え始めています。

工業や戦闘に慣れていないプレイヤーがどこまでついていけるかは大事だと思います。遊びやすさの改善は今後も必要でしょうね。

ストーリーについては、自分はMilhaudさんやサイハテさんほど細かく考察するタイプではありません。『アークナイツ』のストーリーは、詳しい人に聞いても分かりやすい答えが返ってこないことが多いんです。かなり読み込んでいる人でないと、明確な答えを出しにくい部分がある。

その点、『エンドフィールド』は流れで遊んでいけばある程度わかるようになっていると思います。もちろん考察したい人は深掘りすればいいのですが、やらなくても王道的に楽しめる。特に四号谷地周りは準備段階として良いのではないかと思いました。私はストーリーも好きでしたし、今後に期待しています。

――Milhaudさんはいかがでしょうか。

Milhaud: 私は、シナリオについては、まだ全体として立ち上がりの部分だと思っています。四号谷地や武陵が出てきて、半年間で進んできてはいますが、まだ本気を測るには早いという感覚です。

個人的には、半周年のような節目で何か大きなものが出てきて、その段階での本気が見えないと、ひとつの塊として評価しにくいところがあります。四号谷地のエネルギー構築周りに関しては、チュートリアル的な側面がかなり強い印象でした。物足りないというより、これからに期待している感覚です。

リリース前に大きく風呂敷を広げていたので、現時点の展開にはある種のギャップもあります。ただ、やりたいことの方針は見えている。だからこそ、細かいところが気になってしまうんです。

『アークナイツ』は、サイドストーリーごとにかなりきれいに役割が分かれていました。ロドスの話ではないなら、ヴィクトリアの話、バベルの話、といったように、ロドスが一切関与しない話でも成立していました。『エンドフィールド』は、まだ管理人中心に見えてしまう場面が多いですね。

個人的に、『アークナイツ』は、NPCの存在を非常に大事に扱っているゲームだと思いますし、登場するNPC周りのフレーバー情報や細かいディテールが、後々重要な存在に昇格する可能性を秘めています。

『エンドフィールド』でも、やっぱりそうした細部へのこだわりをもっと前面に押し出してほしいなと思います。グラフィック演出に深く依存せずとも、ボイスや文章、アイテムや武器といったフレーバー要素で補ったり、魅力をさらに醸し出せる部分が出来るんじゃないかなと。そういう細かなこだわりの積み重ねが、壮大かつ重厚な世界観を形作っているのだと思います。

――今後の『エンドフィールド』に期待していることを教えてください。

サイハテ: 戦闘面では、高難度コンテンツや継続的に遊べるコンテンツが欲しいです。『アークナイツ』でいう統合戦略のように、一回で終わるものではなく、継続的に遊べるものですね。

現状は装備更新があるのに、その装備を活かせる場所が少ない状況が続いていると思います。装備を使わないとクリアできない、というところまで行かなくてもいいのですが、装備を更新する意味がより出てくるコンテンツは欲しいです。

工業面では、先日の修正支援(息穣玉ひょうたん納品)のような要素を、別ステージでやらせてほしいという気持ちがあります。既存の拠点が詰まっている状態で、さらに何かを作るとなると負担が大きい。工業にはそこまで競争要素がないと思うので、みんなで復興イベントのようなものがあると面白いかなと思います。一定数納品したらアイテムがもらえるから、他の管理人が協力して復興していくようなイベントです。

シナリオ面では、『アークナイツ』とのつながりが気になります。アルダシルの発言や、サーミに関する要素など、『アークナイツ』側を知っているからこそ気になる部分があるので、そこをどうつなげていくのか楽しみです。

ーー『アークナイツ』とのつながりは、ドクターとしては気になるポイントですよね。

あまくだり: グローバル版をプレイしていると、『アークナイツ』と『エンドフィールド』がクロスして楽しめる段階が来ているように感じます。

たとえば新マップがどうなるのか、サルカズやカズデルに関する要素がどう描かれるのか、直近のイベントとどうリンクしていくのか。『アークナイツ』で出てきた技術や土地、種族の話が、『エンドフィールド』側でどう見えるのかはかなり楽しみです。

グローバル版の実装順や、『アークナイツ』側のイベントと『エンドフィールド』側の展開を合わせてくる可能性もあるのかなと感じています。もちろん、急にまったく別のものが来るパターンもあるかもしれません。何が来るかわからないところが『エンドフィールド』の楽しみなところなので、そこに期待しています。

oyuki: 一番楽しみなのは、新マップの世界観やビジュアルです。次の新マップがどういう場所で、どういう世界観を持っていて、プレイヤーの目にどう映るのか。そこを一番楽しみにしています。

オペレーターの見た目や服のディテールも本当に作り込まれていて、このオペレーターを引きたい、使いたいと思わせる部分が強いです。たとえば靴のデザインひとつを見ても、他のゲームではあまり見ないくらい作り込まれていると感じます。

ストーリーも読んでいますし、メモ帳のような要素も集めていますが、私が根本的に惹かれているのは、やはりビジュアルやデザインの部分です。昔からそこは変わりません。

あとは音楽やBGMも楽しみです。Hypergryphは音楽にも強いこだわりがありますし、新しい曲やBGMが追加されることにも期待しています。みんなと共有しながら楽しめる部分でもありますね。

Milhaud: 『エンドフィールド』には、タロIIを開拓していく大きな目標があります。集成工業システムによって、これまで復興できなかったところが復興していく様子を、実際のグラフィック面でも見たいです。

世界観と状況がリンクしていく演出が欲しいですね。たとえば四号谷地の実験エリアのような場所でも、事件が終わった後にどう変化していくのか。サイドストーリーでもいいので、復興が進んでいく様子をプレイとして体験できると嬉しいです。

個人的には、言語へのこだわりにも期待しています。アンケートで今後どの言語についてどう思うか、といった項目があったと思いますが、『アークナイツ』でもサーミ語などの言語的なフレーバーはすでに入っていました。『エンドフィールド』でも、そうした言語関連の要素が今後さらに出てくるのではないかと思っています。

英語ボイスでのアクセントや名前の出し方など、細かい演出にもHypergryphらしさがあります。日本人なのに英語で遊んでいるというのは少し珍しいかもしれませんが、英語圏の人たちからすると受け入れられるポイントだと思うんです。そういった演出は絶対にやると思いますし、楽しみにしています。

開発陣がやりたいことを自由にやれる状態になって、それが実現するところを見たいです。今はまだ、いろいろな理由でやりきれていない部分もあると思います。だからこそ、今後やりたいことが形になっていくのを見たいですね。

rate-dat: たぶん他の方とはかなり違う答えになると思いますが、武器ガチャのシステム改善をしてほしいというのが、強く思っているポイントです。

シナリオについては、今出てきているものを全力で読み込み、沢山の人に「こういう展開になっている」と紹介することを、メディアの立場として真剣にやっています。万人に受けるとまでは言いませんが、シナリオや世界観を楽しむ前にシステム面で気持ちが削られてしまうところがあるなら、そこは直してほしいですね。あとは個人的な話ですが、イヴォンヌの登場をもっと増やしてくれると嬉しいです。

――本日はありがとうございました!

『エンドフィールド』は、『アークナイツ』の世界観を知るプレイヤーにも、新しく3Dゲームとして触れたプレイヤーにも、それぞれ異なる入口を用意した作品です。座談会では、世界観への期待、リリース時の不安、グローバル展開による変化、工業/戦闘/シナリオ面の課題、そして今後への要望が語られました。

特に印象的だったのは、参加者全員が『エンドフィールド』を単なるスピンオフとしてではなく、『アークナイツ』と並走し、時に接続し、時に異なる表現手段で世界を広げる作品として見ていたことです。

サイハテさんは『アークナイツ』との接続や新規ユーザーへの導線を、あまくだりさんは3Dゲームとしての広がりと界隈外への波及を、oyukiさんは開発姿勢がグローバルへ届くことやビジュアル面の魅力を、Milhaudさんは言語による世界観の細部を重視していました。

半年という節目を迎える中で、今後『アークナイツ』と『エンドフィールド』がどのように交差し、タロIIの開拓がどのように進んでいくのか。半周年以降のアップデートで、今回語られた期待や課題にどのような答えが示されるのか、引き続き注目したいところです。

『アークナイツ:エンドフィールド』は、スマホ(iOS/Android)/PS5/PC向けに、基本プレイ無料のアイテム課金制で配信中です。詳しくは、公式サイトをご確認ください。
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