夜空を見上げれば、いつでもそこに浮かんでいる静かな「月」。

手を伸ばせば届きそうなほど身近に感じられるのに、実際は遥か遠くで光を放つその姿に、人類は古くから神秘的なロマンや想像力を掻き立てられてきました。


今回は、1年で最も月が美しいとされる「中秋の名月」の季節にぴったりな、月にまつわる多彩な世界観と極上の物語を味わえる厳選5タイトルをお届けします(なお、2026年の中秋の名月は9月25日です)。

◆『プラグマタ』(ニンテンドースイッチ2/PS5/Xbox Series X|S/Steam)
本作はカプコンが手掛ける、完全新作のハッキングSFアドベンチャーゲームです。ルナフィラメントと呼ばれる素材が発見されたことで、あらゆるものが3Dプリントできるようになった、近未来の月面研究施設を舞台に物語は展開されます。プレイヤーは主人公の「ヒュー」とアンドロイドの少女「ディアナ」を操作して、協力しながら探索や敵との戦闘を繰り広げます。

戦闘はTPS形式で、銃撃や回避といった基本アクションはヒューが担当します。しかし、敵として登場する「ボット」は頑丈で、なかなかダメージを与えられません。そこで重要になるのが、ディアナの「ハッキング」能力で、ガード機能を解除して弱点を露出させることが可能です。このバトルとハッキングを同時に行う操作感こそが、本作におけるバトルデザインの核で、ゲームを象徴するシステムと言ってよいでしょう。

月面研究施設を舞台に、重装の主人公ヒューとアンドロイドの少女ディアナが織りなす「バディの絆」が物語の核となります。頑丈な敵ボットのガードをディアナのハッキングでこじ開け、ヒューのTPS銃撃で撃破する並行アクションの爽快感はもちろん、互いに助け合いながら月面を往く切なくも力強いストーリーは必見です。

◆『moon』(ニンテンドースイッチ/PS5/PS4/Steam)
満月の日に発売された伝説のアンチRPG『moon』が、オリジナル版のスタッフによる監修・完全移植で登場します。「アンチRPG」と銘打たれた本作では、「なぜ勇者は勝手にタンスをあけて人の家からアイテムを盗むのか?」「なぜ勇者は世界中のモンスターを皆殺しにするのか?」など、誰もが感じるRPG世界の奇妙な出来事を、新たな視点から味わうことができます。


物語の舞台は、経験値稼ぎのために罪のないアニマルを殺しまくる勇者がうろつく、「ムーンワールド」。主人公は、勇者が殺したアニマルの魂を救済しながら、世界中の「ラブ」を集めて成長していきます。ひとクセもふたクセもある愉快な住人の生活や生き様を観察して、彼らが隠している「秘密のラブ」も見つけましょう。

「もう、勇者しない。」という衝撃のキャッチコピーと共に伝説となった唯一無二の作品。

罪なきアニマルを経験値稼ぎのために倒しまくる勇者の後を追い、その魂を救済しながら世界中のラブを集めていく唯一無二のシステムが心を打ちます。時間や曜日の流れに沿って生活を営む個性豊かな住人たちの日常を観察し、隠されたエピソードを解き明かしていく時間は、今なお色褪せない温もりと優しさに満ちています。

◆『ファミレスを享受せよ』(ニンテンドースイッチ/Steam)
試験のために深夜遅くまで起きていた主人公は、明るい月に誘われて、深夜営業中のファミレス「ムーンパレス」に向かいます。注文してうとうとしながら待っていると……「あれ、本当にここはさっきまでいたファミレスか?」と違和感を覚えます。店員もおらず、椅子やテーブルの配置も変で、先客たちに話を聞いてみると、どうやらここにずっと閉じ込められているらしく……。

独特の世界観から始まる本作は、基本的にポイント&クリックで操作するアドベンチャーゲームです。気になる箇所を触ったり、先客に話を聞いて回ったりすることで物語が展開します。細かなアクションを求められることはなく、隅々まで遊んでも数時間ほどで終わるボリュームなのも忙しい人にはありがたいポイントです。
また、脱出を図るゲームだからといってもホラー要素は一切なく、恐怖演出もないため、安心してプレイできます。

ポイント&クリックで店内の先客たちと他愛のない会話を重ねていく、どこか心地よく気だるい深夜の空気感が癖になります。ドリンクバーで飲み物を注ぎながら、個性的で愛すべき住人たちと静かに言葉を交わす数時間のチルな体験は、忙しい現代人の心をそっと解きほぐしてくれるはずです。

◆『月姫 -A piece of blue glass moon-』(ニンテンドースイッチ/PS4)
幼い頃の事故によって、モノの壊れやすい線が見えるという、特異な能力に目覚めた主人公「遠野 志貴」。彼はわけあって遠い親戚の家に預けられていましたが、突然本家に戻ってくるよう言われ、7年ぶりに帰ることになります。実家である遠野家はお金持ちであり豪華な屋敷での生活が始まるのですが、そんなある日、「吸血鬼」の王族である「アルクェイド・ブリュンスタッド」との出会いをきっかけとして、常識では計り知れない怪異の世界に足を踏み入れることになってしまいます。

テキストノベルADVとしても、非常に進化が感じられる本作。「既読スキップ」や「フローチャート」といった、読み進める上で必須とも言える機能は当然のように完備。

また、セリフに合わせてキャラクターの表情がころころと変わるのはもちろん、そのときの距離感に応じてグラフィックの見せ方も変化しており、場面の随所にこだわりが溢れています。

20年の時を経て新生した本作は、息を呑むような演出と美麗なビジュアル、距離感や心情に応じて巧みに変化する表現によって、怪異の潜む現代の闇を鮮烈に描き出します。重厚なテキストと圧倒的な世界観が織りなす極上の物語体験を、ぜひその目で確かめてみてください。

◆『Together: Moon Escape』(Steam)
本作は、低重力の月面施設を舞台とした、2人専用のパズルアドベンチャーゲームです。
それぞれ異なる役割や視点で情報を共有しながら、ギミックを解き明かす楽しさがSNSでも話題になっています。

本作の特徴は、単なる協力プレイに留まらず、2人でなければ成立しないギミックにあります。片方にしか見えない情報や、2人同時に操作することを要求されることもあり、コミュニケーションそのものが攻略の鍵になりそうです。また、宇宙空間のため低重力による独特の挙動や、ユーモアを交えた演出も評価を得ているようです。

発表後、日本および海外のX(旧Twitter)で取り上げられ、一気に拡散された本作。開発者によると、15年のゲーム開発歴で初めてのバズりだそうです。まずは無料体験版で、息ぴったりの月面脱出劇に挑戦してみませんか。

今回は月をテーマとしたタイトルを5作、紹介しました。

月面で紡がれるバディの絆、愛を探すアンチRPG、永遠の深夜ファミレス、真紅の瞳を持つ吸血鬼、そして2人で挑む月面パズル……。見上げる月と同じように、ゲームの中に広がる「月」の世界もまた、私たちの心を惹きつけてやまない不思議な魅力に満ちています。今宵の月を眺めながら、あなたが旅立ちたい「月の物語」は見つかりましたでしょうか?

それでは、静かな夜のひとときに、最高のゲームライフをお楽しみください。
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