外食中、見知らぬ男性が当然のように向かいの席に座ってきたら……あなたならどうしますか?

 今回は、そんな経験をした女性のエピソードをご紹介しましょう。

雰囲気のいい定食屋さんで昼食

 岸田菜月さん(仮名・28歳)は、営業先の近くで昼食をとろうとお店を探していました。

定食屋で“勝手に隣に座るおじさん”にゾゾッ! 手まで触られ困...の画像はこちら >>
「するといい感じに古い雰囲気のある定食屋さんがあったので入ってみたんですよ」

 どこか懐かしい匂いのする店内は、作業着姿の男性客で賑わっており、昼時らしい活気に満ちていました。
少しだけ場違いかな? という気持ちもありつつ、菜月さんは空いていた2人席に腰掛け、肉野菜炒め定食を注文したそう。

「おしゃれなカフェやファストフードより、こういうお店の方が栄養バランスが良い食事が取れるので好きなんですよね」

店員を無視して、勝手に相席してきたおじさん

 やがて運ばれてきた定食は湯気が立ち上り、食欲をそそる香りが広がります。ほっと一息つき箸を取ったその瞬間でした。

「50代ぐらいのおじさんが1人で入店してきて、若いバイトと思われる男性店員さんが『ただいま満員なので、こちらの席に相席でもいいですか?』と男性客との相席をうながしたんです。それなのに、なぜかそのおじさんは無視をして真っ直ぐに私の隣の席に座ってきたので、面食らってしまって」

 その動きはあまりにも自然で、まるで最初からそこが自分の席であるかのようでした。視線を感じて顔を上げると、おじさんはじっと菜月さんを見つめ、口元はニヤついていたそう。

偶然を装って手まで触ってきて……

「少し怖く感じた私は『とにかく、早く食べ終わってお店を出よう』と決め、コショウに手を伸ばすと、おじさんもニヤニヤと同時に手を伸ばしてきて、手を触られて鳥肌が立ってしまったんですよね」

定食屋で“勝手に隣に座るおじさん”にゾゾッ! 手まで触られ困っていたら…年配女将が“ド迫力の神対応”
手を重ねる男女
 偶然とは思えないタイミング。避ける間もなく触れた指先に、ゾワッとした嫌悪感が走りました。

 その瞬間、菜月さんは「無理だ。ほとんど食べてないけど、もう出よう……」と心の中でため息をついたそう。

店の空気を一変させた女将の一声

「そして椅子を引いて立ち上がろうとしたその時『ちょっと、何やってんのよあんた!』と低く、よく通る声が店内に響いたんですよ」

 空気が一変しました。

 顔を上げると、厨房から現れたのは割烹着姿の女将さん。年配ながら背筋がピンと伸び、その一言だけで場を制するような迫力があります。

「その後ろにはさっきの若い男性店員さんがついてきて、私の方を見てぺこぺこ頭を下げていたので『あ、彼が呼んできてくれたんだな』と分かりましたね」

 女将さんは一直線におじさんの前まで歩み寄ると、間髪入れず「そこ、勝手に座らないでよ」と言い放ちました。

見逃さなかった優しさと、救われた時間

店内の視線が一斉に集まります。

「『相席は、お願いして了承をもらってからがうちのルール。
あんた、勝手に座ったでしょ?』と女将さんが詰め寄ると、おじさんは一瞬たじろぎながらも『別にいいだろ、空いてんだから』とぶっきらぼうに言い返していました」

 ですが女将さんは一歩も引かず「良くないね。ここはうちの店だよ。ルール守れないなら、食べさせるわけにはいかない」その言葉は静かでありながら、逃げ道を完全になくす強さがありました。

「さらに女将さんは『それにね、その手さっき見ていたよ』と一瞬、私の方へ視線をやり、全て分かってくれている様子でした」

 女将さんは「わざと嫌がる女性に触れるなんて、言語道断。二度と来ないでいいよ」と続け、店の出口を指差したそう。

ようやくホッとすることができた

 追い詰められたおじさんは視線を泳がせた後、舌打ちをして立ち上がり「うるせぇな、ふざけんなよ!」そう吐き捨てながらも、先ほどまでの不気味な余裕は消え失せ、足早に店を後にしました。

「そして女将さんはすぐに私の方へ向き直り、柔らかい声で『ごめんね、嫌な思いさせて』と、にこっと笑ってくれて……私はようやくホッとすることができたんですよね」

 さらに女将さんは「落ち着いて食べられるように、席替えようか? すぐ料理も作り直すからね。温かいのを食べていってね」と優しく声をかけてくれたそう。

「その言葉に、胸の中に溜まっていたモヤモヤが一気にほどけていき『もう大丈夫です。でも……本当にありがとうございます』と私も笑顔でお礼を言うことができたんですよ」

定食屋で“勝手に隣に座るおじさん”にゾゾッ! 手まで触られ困っていたら…年配女将が“ド迫力の神対応”
快適な暮らし 笑顔 女性
 その後、出し直してもらった肉野菜炒めは、さっきよりもずっと美味しく感じられました。

「あやうく最悪のランチになるところが、女将さんのお陰で温かい幸せランチにありつくことができました。女将さんの優しさを感じて、午後の仕事も頑張ることができたんですよね」と微笑む菜月さんなのでした。


<文・イラスト/鈴木詩子>

【鈴木詩子】
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop
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