もしあなたがファミレスのドリンクバーで、水筒に飲み物を詰める人を見かけたら、どう感じますか?

今回は、そんな場面に遭遇した女性のエピソードをご紹介します。

慣れた手つきで始まった非常識な行動

ある日の昼下がり。斉藤日奈子さん(仮名・35歳)は、仕事の合間に1人でファミレスに入りました。


「急ぎのメールの返信をして、遅めの昼食を済ませた私は、もうひと息つこうとドリンクバーの列に並びにいったんですよ」

すると、日奈子さんの前に並んでいた50代前半くらいの女性が、やけに大きなトートバッグをガサガサと漁り始めたそう。

「その女性は銀色の水筒を取り出すと、そこへ迷いなくアイスティーを注ぎ始め、さらにはオレンジジュースに炭酸水も注いで独自ブレンドを完成させて『この方が飽きないのよね~』と独り呟いていたんですよね」

衝撃…ドリンクバーで「水筒に詰め替えるおばさん」を目撃! 店...の画像はこちら >>
しかも女性の動きには妙に慣れた雰囲気があり、まるで当然の行為をしているような自然さでした。

前に並んでいた男性は、グラスを持ったまま一瞬手を止め、後ろにいた学生らしき2人組も、ひそひそと顔を見合わせています。けれど、誰も何も言わず、ただ見てはいけないものを見てしまったような、妙に気まずい空気だけが静かに広がっていったそう。

「飲み放題でしょ?」女性のまさかの主張

すると、30代ぐらいの女性店員さんがやってきて「お客さま、店内でお飲みいただく分のみでお願いしておりますので、そちらのご利用はお控えください」とやんわり、でもはっきりとした注意をしました。

衝撃…ドリンクバーで「水筒に詰め替えるおばさん」を目撃! 店員の注意にも“ありえない反論”
画像はイメージです(以下同)
「そしたら女性の動きがぴたりと止まり『はぁ? これって飲み放題よね? 何がいけないの?』と店員さんに食ってかかったんですよ」

日奈子さんは、その反応にさらに驚きました。

そして女性が水筒にドリンクを注ぐ様子に躊躇がなかったのは、もしかしたら本気でこれが普通だと思っているのかも? という違和感を強くしていきました。

「気づけば私は『呆れるより先に、この人かなりヤバいかもしれない……』とジワジワした戸惑いを覚えていましたね」

店員さんは一瞬だけ言葉を選ぶように間を置いて「お持ち帰りや、容器への詰め替えはご遠慮いただいております」と笑顔で返しました。

損したくないという理論に店内が凍りつく

「女性は明らかに不機嫌になり『そんなのいちいち細かく制限してたら、サービスの意味ないじゃない! 第一、私ちゃんとお金払っているんだから。損しないようにするの、当たり前でしょ?』とまくし立て始めて……いやいや、もちろん意味はあるし、それはあなたの勝手な考えでしょ? と心の中で反射的にツッコんでしまいましたね」

ルールより自分が得するかどうかを優先する身勝手極まりない言い分に、周囲は完全に静まり返ってしまったそう。

誰も何も言えないまま、まるで時間が止まったようでした。

衝撃…ドリンクバーで「水筒に詰め替えるおばさん」を目撃! 店員の注意にも“ありえない反論”
クレーム対応する女性店員
すると店員さんが「お客様、損をしないことと、ルールを守らないことは、同じではございません。当店のルールに反するご利用は、お断りしております」と、静かに、でも一層はっきりと言い切りました。

毅然とした対応に、店内から静かな拍手

「女性は一瞬口を開きかけましたが、周囲の視線が自分に集まっていることに気がついたのか、急に目が泳ぎだしました。
『まったくうるさいわね、こんな店こっちから願い下げよ!』と吐き捨てるように言うと、水筒をバッグに押し込み、そそくさとレジに向かって早足で去っていったんですよ」

さっきまでの強気な態度とは打って変わって、逃げるように店を出ていく後ろ姿が妙に印象的だったそう。

自動ドアが閉まったあと、店内にわずかなざわめきが起こりました。

「お店のあちこちで『すごかったね』という声が漏れ、私も思わず胸の奥で大きな拍手をしていました。ただ強く言うんじゃなくて、ちゃんと線を引いて、でも相手を必要以上に傷つけない絶妙な言い方がかっこよかったんです。さっきまでのモヤモヤがスッと晴れていくような清々しさがありました。」

「それ以来、そのファミレスで例の女性店員さんを見かける度に、ホッとするような安心した気持ちになるんですよね」と微笑む日奈子さんなのでした。

<文・イラスト/鈴木詩子>

【鈴木詩子】
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop
編集部おすすめ