俳優の染谷将太さん(33歳)が、久坂部羊氏の小説デビュー作を映画化した『廃用身』に主演しました。廃用身(麻痺などにより回復見込みがない手足のこと)をめぐる“画期的な”治療を行う医師・漆原を怪演しています。


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 染谷さんは、9歳の時に『STACY』で映画初出演。以来25年、数々の作品で存在感を発揮。実力派俳優として活躍中です。キャリアを重ね「緊張感は増したが、楽しむことが大事」という染谷さんにお話を聞きました。

映画デビューから25年。俳優業の面白さとは

染谷将太が30代になって行き着いた境地。子役時代から変わらない「どんな現場も楽しむ」スタンスとは
染谷将太さん
――染谷さんは、ご自身の映画初出演となった『STACY』(2001)から数えると約25年のキャリアとなりますが、今、俳優業の面白さはどういうところに感じていますか?

染谷:年齢によって演じる役が変わっていくことに、今一番面白みを感じているかもしれないです。ずっと学生役をやっていた時期もありましたけど(笑)、20代になるとだんだんと制服を着ることも減って、社会に出たての若者の役などが増えていきました。30代に入ると今回のようなお医者さんや警察官など、職業人の役を演じる機会も増えてきました。

あと、作品から求められる役も変わりますし、自分の容姿ももちろん変わっていきますし、その変化が面白いですね。年齢によって変わっていくことが面白いと感じています。

――一方で、経験を重ねたからこその難しさ、俳優業の奥の深さを感じる瞬間もありそうですよね。

染谷:最近すごく感じるのは、経験が増えるほど緊張するようになったことですかね。
それが難しいことですかね。経験が増すと、上手くいった手応えを感じた経験も、悔しかった経験も、いろいろな体験が層のように積み重なっていくんです。重なっていくほどいろいろな可能性を考えられるようになったのかどうなのか、周りが以前より見えるようになってきたのかもしれません。

なので、より緊張するようになったという感覚があります。それを自分でコントロールしないといけないので、(演じることとは)また違ったことを気をつけないといけないような気がして、それがすごく難しいなと思いますね。

緊張をコントロールすることが新たな課題

染谷将太が30代になって行き着いた境地。子役時代から変わらない「どんな現場も楽しむ」スタンスとは
『廃用身』 ©︎2025 N.R.E.
――確かに一般論としても若い頃は、知らないからこそ挑めてしまうと言いますよね。

染谷:とりあえずやってみようという勢いが強かったと思います。でも経験を積むと、とりあえずやってみることは危険だなと、頭の中でどこか思う部分も出てくる。

反省を重ねれば重ねるほど、違うアプローチをしなくちゃと考えるようになるのか、たとえば今回で言えば、たくさんの患者さんを前に、長い医療用語を含んだセリフを完璧な医師として話さなければいけない場面も多かったので、かなり緊張しましたね。その緊張を自分でコントロールすることが、新たな課題だなと思っています。

――その今回の映画『廃用身』は、かなり衝撃的な題材でしたね。演じられた主人公の医師・漆原糾は、医療の限界を超えたいと力強く訴え、理想を追い求めるあまり、合理性と狂気の危うい狭間へと入っていきますが、役の感想はいかがでしたか?

染谷:自分は人に何も言わせないほど完璧に提案できるタイプではないと思っているのですが、でも今回演じた漆原先生は、それをやらなければいけない人物だったんです。目の前にいる(現場の)人にも、映画を観るお客さんにも、この人なら信じられると思ってもらわなければいけなかったんです。
だから今回は特に、完璧にやらなきゃいけないという意識が強かったですね。そういった緊張感は、以前よりも生まれましたね。

今回の役柄に抱いた“責任感”

染谷将太が30代になって行き着いた境地。子役時代から変わらない「どんな現場も楽しむ」スタンスとは
染谷将太さん
――観ていて自分だったらどうするだろうと考えてしまうというか、倫理観を揺さぶるような役、そして物語でした。

染谷:そうですね。自分だったらどうするんだろうとお客さんに考えてもらうためには、まず漆原先生という人物がしっかり確立していないといけなかったんです。そこが曖昧だと、お客さんが作品から離れてしまうと思ったので、その責任感は強くありました。

――そしてまた、観る方によって受け止めや感想が違いそうですね。

染谷:そうですね。観る方の家庭環境や年代、置かれている状況によって、受け止め方がかなり変わる作品だと思います。

純粋に映画として面白いと思う方もいるでしょうし、まったく逆の感想を持つ方もいると思います。でも、それだけいろんな感想を引き出せる映画になっているんじゃないかなと思っています。

染谷将太が30代になって行き着いた境地。子役時代から変わらない「どんな現場も楽しむ」スタンスとは
『廃用身』 ©︎2025 N.R.E.

「楽しんでできれば、大丈夫」

染谷将太が30代になって行き着いた境地。子役時代から変わらない「どんな現場も楽しむ」スタンスとは
染谷将太さん
――ところで30代に入り、いい俳優になるために、仕事に向き合ううえで心がけていることはありますか?

染谷:やっぱり、仕事を楽しむことですかね。楽しんでできれば大丈夫かなという感覚が自分の中にはあるので、一つひとつ楽しみながらやろうと思っています。

――それは撮影がどんなに大変でもでしょうか?

染谷:そうですね。
どんな現場でも、絶対に楽しめる部分はあるので、自分はそういうポイントを見つけるのが得意なタイプだと思います。現場ごとに空気も全然違いますし、毎回その環境を楽しみながら過ごしています。

――今回はどんな部分に楽しさを感じましたか?

染谷:共演者のみなさんが本当に素敵で、すごくリラックスさせてもらいましたし、スタッフのみなさんも本当に素晴らしかったです。それぞれが自分の仕事に集中している姿を見るだけでもかっこいいなと思いました。

「ここでこんなカメラワークをするんだ!」と驚くことも多くて、毎日楽しかったですね。難しい題材で、役としても大変だったからこそ、現場では反対に楽しくやれた気がします。

人生で大切にしているのは「変わらずに生きていくこと」

染谷将太が30代になって行き着いた境地。子役時代から変わらない「どんな現場も楽しむ」スタンスとは
染谷将太さん
――その楽しむ力というかライフハック的な考え方は、昔からなのでしょうか?

染谷:昔からかもしれないですね。子役の頃から現場が大好きだったので。映画の現場って、大人たちが本気で同じことを何回も繰り返して、「違う、もう一回!」ってやっているじゃないですか。子どもの頃から、それがすごく不思議で面白かったんです。

俯瞰で見ると、すごく変わったことを本気でやっている世界なんですよね。その面白さの延長線上に、今もいる気がします。


――最後に今のご自身が人生で大切にしていることを教えてください。

染谷:変わらず生きていくこと、ですかね(笑)。維持するということが、わりかしモットーかもしれません。人間ってそんなに簡単に変われないと思うんです。だから、特に自分は一生懸命やるしかないなと思っています。楽しみながら、その気持ちは変えずにやっていきたいですね。

<取材・文/トキタタカシ 撮影/塚本桃>

染谷将太が30代になって行き着いた境地。子役時代から変わらない「どんな現場も楽しむ」スタンスとは
染谷将太さん


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染谷将太さん


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染谷将太さん


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染谷将太が30代になって行き着いた境地。子役時代から変わらない「どんな現場も楽しむ」スタンスとは
『廃用身』 ©︎2025 N.R.E.


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『廃用身』 ©︎2025 N.R.E.


【トキタタカシ】
映画とディズニーを主に追うライター。「映画生活(現ぴあ映画生活)」初代編集長を経てフリーに。故・水野晴郎氏の反戦娯楽作『シベリア超特急』シリーズに造詣が深い。主な出演作に『シベリア超特急5』(05)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)などがある。現地取材の際、インスタグラムにて写真レポートを行うことも。
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