最近、若者を中心にSNSでバズっている「爆乳おじさん」をご存じでしょうか? その正体は昨今、宣伝で出演したバラエティ番組での数々の珍プレーが話題の俳優・正名僕蔵さん。

 演劇ファンなら劇団・大人計画に所属していた俳優として、ドラマ好きなら『ショムニ』『HERO』(ともにフジテレビ系)の名脇役としての印象が強い人も多いでしょう。
55歳のベテラン俳優がなぜ今、このような注目を集めているのでしょうか。

地味なおじさんが…まさかの「爆乳」発言に大爆笑!

「爆乳おじさん」たるゆえんは、大ヒット映画『爆弾』のプロモーションで出演した昨年10月に放送された『ネプリーグSP』(フジテレビ系)での一コマでした。

 ハイパーボンバー「広辞苑に載っている『爆◯』という言葉を10個答えろ」という問題で、正名さんは躊躇いながらも「爆乳」と回答。広辞苑に載っていないため不正解となり、そのままゲームオーバーとなりましたが、出演者は大爆笑。朴訥で真面目そうな正名さんのイメージや、不正解の時のとぼけた反応もあいまって、まさに「爆弾発言」だと視聴者に衝撃を与えました。

 SNSでたちまち話題となり、ショート動画などでそのシーンが切り取られ大バズリ。ネットニュースに取り上げられる事態になり、番組を見ていない人の目にも触れることになりました。

 今年1月に『東京P.D. 警視庁広報2係』(フジテレビ系)の宣伝に絡めて再出演した回では、「飲み屋さんで知らない人に、爆乳の人だと言われる」と、本人自らその衝撃発言の影響力を語っていました。

 また、6月5日の『ラヴィット!!』(TBS系)では映画『ネバーアフターダーク』の宣伝で出演。番組冒頭から司会の川島明さんに(おそらくネプリーグの)衝撃発言について突っ込まれ、その期待に応えるが如く、珍プレーを続出しました。罰ゲームを受けた時の派手なリアクションや、伝言ゲームで擬音を発してはいけないルールにもかかわらず「シュー」と口で発するなどのポンコツさで、共演者や視聴者を爆笑に導きました。

 翌週の6月12日放送回でも「僕蔵さんはすごかった」と本人不在にもかかわらずスタジオで語られるなど、確実にその存在感の爪痕をバラエティで残しています。

懐かしの名作から大河まで出演するベテラン名脇役

 正名さんと言えば、その不思議な名前が表す通り松尾スズキさん主宰の劇団・大人計画に所属していた俳優として知られていますが、映像業界でもベテランの名脇役として数々の作品に出演しています。

 1990年代から数々のドラマに端役として出演。
大ヒットドラマ『ショムニ』(フジテレビ系)では、石黒賢さんの後輩でのちに人事部に異動する岡野玄蔵役(急逝した伊藤俊人氏の後任)、木村拓哉さん主演『HERO』(フジテレビ系)では、守衛から検察事務官に出世する井戸役で注目を集めました。

「爆乳おじさん」に大爆笑!大バズり中の55歳俳優って何者? ...の画像はこちら >>
 その後、数々の作品の名バイプレイヤーとして活躍。『遺留捜査』(テレビ朝日系)の巡査部長・仙道役や、『DOCTORS~最強の名医~』(テレビ朝日系)の外科医・佐々井役での人気シリーズのレギュラー出演も印象に残るところです。

 近年では『真犯人フラグ』(日本テレビ系)のカツラ部長・太田黒芳春役でも強いインパクトがありました。大河ドラマ『べらぼう』(NHK)では、ヒロインのひとりである花ノ井(小芝風花)を預かる主人・松葉屋半左衛門として出演。吉原の大店の寄合メンバーという重要な立ち位置で前半の物語を盛り上げました。今年の春期にはコア人気を誇るドラマ『るなしい』(テレビ東京系)で怪演を見せつけています。

北野武も絶賛!助演男優賞を受賞する実力

 なによりも印象深いのが07年の映画『それでもボクはやってない』の演技です。

「爆乳おじさん」に大爆笑!大バズり中の55歳俳優って何者? 実は名作に出演、たけしも認める“名脇役”だった
DVD『それでもボクはやってない』(‎東宝)
 誠実な裁判官・大森役の地味ながらも味のある演技は短い出番ながらも強い印象を見る人に与えました。この好演で第17回東京スポーツ映画大賞・助演男優賞を受賞。

 この映画賞は現在は開催されていませんが、かつて北野武氏が審査委員長をつとめ、自身の映画の関係者に賞を与えるという個人的主観が強い賞として有名でした。

 しかし、北野映画関係でもない上に、しかも事前にノミネートされていなかったにもかかわらず、北野氏の強いプッシュで正名さんに与えられたといいます。それだけ彼の存在感や演技が世界の巨匠をうならせたということでしょう。


ツダケン、岡部たかし…求められる中年以降のブレイク俳優

 数年前、小手伸也さんが『コンフィデンスマンJP』(フジテレビ系)などに出演し注目を集めたのち、バラエティなどでそのキャラクターを発揮してお茶の間に浸透していきました。そして、今も活躍する人気俳優となっています。

 正名さんも本人が影響を語るように「爆乳おじさん」として、世間にその名前が浸透しつつあります。小手さんのようにお茶の間からも愛される名俳優として今後活躍していく期待大です。

 また、小手さんもそうですが、津田健次郎さん、岡部たかしさんなど、40歳を過ぎて俳優としてブレイクした俳優さんはその後も様々な作品にひっぱりだことなっています。

「爆乳おじさん」に大爆笑!大バズり中の55歳俳優って何者? 実は名作に出演、たけしも認める“名脇役”だった
『津田健次郎 PHOTOBOOK since1995』(講談社)
 これは、年を重ね実力と円熟味を増しながらも新鮮な印象のある俳優さんが今のドラマ界で不足しているということが言えるでしょう。

『鎌倉殿の13人』をきっかけに注目された坂東彌十郎さんも、4月クールでは『風薫る』(NHK)『夫婦別姓刑事』『銀河の一票』(ともにフジレビ系)を掛け持ちしていました。それだけ中年以降の目新しい実力派俳優は需要があるのです。

話題の山田涼介ドラマではどう絡む?

 7月5日から『一次元の挿し木』(日本テレビ系)が放映開始します。この作品は、『このミステリーがすごい!』(宝島社)で2025年の文庫グランプリを受賞した同名小説を実写化したヒューマンミステリーです。

 この作品で正名さんは主演・山田涼介さんの恩師の大学教授・石見崎明彦として出演します。石見崎は山田さんのバディである白石聖さんのおじという役柄でもあり、ストーリーに非常に強く絡むことが予想されます。

 これからバラエティ、ドラマ、映画ともに正名僕蔵さんの名前を見る機会がより一層多くなっていくかもしれませんね。


<文/小政りょう>

【小政りょう】
映画・テレビの制作会社等に出入りもするライター。趣味は陸上競技観戦
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