野生の母トラ2頭が協力して子育て!自然界ではありえない光景
Image by Istock / <a target="_blank" href="https://www.istockphoto.com/jp/portfolio/Nitish_Madan?mediatype=photography">Nitish Madan</a>

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 野生のトラは単独で行動し、母親は自分の産んだ子を自分だけで大切に育てる。他のメスとは縄張りを分け、よその子の世話などしないと思われていた。

ところがネパールの国立公園で、野生のベンガルトラの母親2頭が、互いの子どもを共同でお世話している姿がドローンに捉えられた。

1頭が休む間、もう1頭が5頭の子どもすべての面倒をみて、交代で食事に出かけていたのだ。

ドローンがとらえた、2頭の母トラが共同で子育て

 ネパール西部のタライ平原に、野生動物の保護区として知られるバルディア国立公園がある。

 ここで、BBCの自然番組「タイガー・アイランド」のクルーがドローンを飛ばして撮影を行っていた。

 追っていたのは、ゴマと名づけられたベンガルトラの母親と、その2頭の子どもだった。ゴマは横たわって休み、子どもたちはそばに寄り添っている。

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 ところが、そこへ別の子トラ3頭が近づいてきた。この3頭は、ゴマの子ではない。近くで暮らす別の母トラ、ジュギニの子どもたちだった。

 すると驚くべき光景をドローンがとらえた。

 母トラ2頭のうち1頭が、よその子も含めた5頭をまとめて見守り、その間にもう1頭は、食事に出かけていたのだ。

 どうやら母トラ同士は、お互いの子供たちを共同で面倒を見て、食事の時間に預かってもらっているようなのだ。

 まるで人間界のママ友同士の関係だ。

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野生のトラには珍しい光景

 母トラ同士が子どもを預け合う姿は、これまで誰も記録したことがなかった。

 トラは、オスもメスもふだんは単独で暮らす。それぞれが広い縄張りを持ち、獲物や繁殖相手を求めるとき以外は、ほかの個体と関わらない。

 子育ては母親となるメスが単独で行うことで知られている。

 バルディア国立公園のガイドを務めるマンジュ・マハタラ氏も、長年ここで働いているが、トラの母親が別の母親に子どもを預ける姿を見たのは初めてだと語っている。

 撮影に立ち会ったクルーたちも驚きを隠せなかった。

 ベンガルトラは、主にインドやネパール、バングラデシュに生息しており、オスは全長3m、メスでも全長2.4mを超える。

 20世紀に入ると、毛皮や薬の材料を目当てにした乱獲と、開発による森林の減少によって数を大きく減らし、絶滅の危険性が高まった。

 その後、各国の保護・保全活動により、インドでは、2010年の1706頭が2022年には3682頭へ増えた。 

 ネパールでも2009年には国全体で121頭まで激減したが、2022年には355頭にまで回復している。

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なぜ共同で育児を行っていたのか?

 なぜ、トラがこんな行動をとったのか。1つの可能性は、この地域の特殊な環境にあることだ。

 母トラのゴマやジュギニが暮らすのは、バルディア国立公園を流れる川に囲まれた中州の小さな島になっており、BBCはこの島を「タイガーアイランド」と呼んでいる。

 バルディア国立公園では密猟の取り締まりと地域住民による保護が進み、トラの数が大きく増えて、今では125頭ほどが暮らしている。

 ところが、本来トラのメスは、最大で100km²ほどの縄張りを必要とするが、タイガーアイランドでは、川に囲まれたわずか4km²ほどの土地に、複数の母トラが暮らしている状況だ。

 近くで暮らせば、メス同士が顔を合わせる機会も増える。

 狭い空間で共に生きるうちに、互いを警戒する関係から、助け合う関係へと変わっていったのかもしれない。

 もう1つはオスの脅威から子どもたちを守るための母トラたちの知恵だ。

 子トラにとって、近づいてくるオスは大きな脅威になる。オスのトラは、自分の子ではない子トラを殺すことがあるからだ。

 母親が1頭で子どもを守るより、2頭で協力して見張る方が、子どもを危険から遠ざけられる。

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母と娘の可能性も

 もしかしたら、ゴマやジュギニだけが特別な可能性もある。

 ジュギニはゴマの娘かもしれない。親子であれば、縄張りを分け合うことも、子どもを預け合うことも、警戒なく受け入れやすくなる。

 ベンガルトラのメスは100日ほどの妊娠期間を経て、一度に2頭から4頭ほどの子を産む。

 メスは3歳ごろから子を産みはじめ、子育ての間は次の繁殖をしないため、出産は2年から3年に一度になる。

 野生での寿命は12年から15年ほどで、母と娘がそれぞれ子を連れて同じ時期を過ごすことは十分にありうる。

 実際にイエネコの世界では、母親と娘が共同でそれぞれの子供たちを育てているケースもある。

 ゴマとジュギニが、なぜ子育てを分け合ったのか。ご近所で顔見知りになったからなのか、オスから子を守るためか、血のつながりゆえか。

 本当の理由は、まだわかっていない。

 タイガーアイランドで他のメスの個体も調べる必要がある。

 だが、ドローンを通してこれまで知られていなかった母トラ同士の尊い共同子育てが記録された。その姿は、私たち人間の心を温かくしてくれる。

References: No One Has Ever Seen Tigers Do This Before[https://www.youtube.com/watch?v=TQFXaoT8QWo]

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