その中で唯一の日本人メンバーが高橋佳帆さん。2024年にRakuten Girlsに加入して以来、キュートなルックスとダンスパフォーマンスを武器に、日台の垣根を越えて多くのファンを魅了し続けている。
今回は、単身台湾へ渡りチアリーダーとなった高橋さんに、その経緯や現地で「愛される存在」になるまでに重ねてきた努力について詳しく話を伺った。
就職浪人を経て見つけた「もう一つの居場所」
高橋さんは、3歳から18歳までクラシックバレエに打ち込み、上京を機に法政大学の応援団チアリーディング部に所属。東京六大学野球が開催される神宮球場で4年間、体育会のチアとして活動を続けたという。その後、就職活動ではテレビ局のアナウンサーの道を志したものの、思うような結果が出ず、進路を見失いかけていた。そんな折、偶然目にしたチアリーダーのオーディションが原点になったと高橋さんは語る。
「どうしてもアナウンサーになりたかったので、“就職浪人”を選択してまで試験に挑んだのですが、最終的には良いご縁には恵まれませんでした。そんな時に出会ったのが、東北楽天ゴールデンイーグルスの公式チアリーダー「東北ゴールデンエンジェルス」募集の案内でした。
就活がうまくいかず悩んでいた時期だったこともあり、大好きなダンスを活かして心機一転、頑張ってみようと決意し、オーディションに応募したところ、合格をいただくことができました」(高橋さん、以下同)
チアでプロの世界へ飛び込むことに対して、不安や葛藤はなかったのだろうか。
「実は幼少期にクラシックバレエをやっていた頃は、コンクールに出場するなど本当にプロを目指すレベルで打ち込んできたので、不安は全くありませんでした。
また、東京から仙台への引っ越しという大きな環境の変化があったことで、スムーズに気持ちを切り替えることができたんです」
「この世界に飛び込みたい」。台湾遠征で見た独自の応援文化と異例の“直談判”
さらなる転機となったのは、東北ゴールデンエンジェルスの一員として、台湾で開催された楽天モンキーズの試合に出演した時のことだった。
「現地で目にした台湾独自の応援風景に圧倒され、『この世界に飛び込みたい』と思ったのが始まりでした。すぐにスイッチが入り、遠征初日には現地球団へチャンスがないか直接話を聞きに行ったほどです。
その後も、プライベートで台湾へ足を運び、熱意を伝え続けた結果、さまざまなご縁が重なって、Rakuten Girlsへの加入が決まったんです」
台湾でゼロから中国語を学び始めたため、「最初は苦労した」と語る彼女だが、どのようにして現地の生活に慣れ、道を切り拓いていったのだろうか。
また、言葉が通じない初期の頃は、日本語が話せるチームのメンバーたちが本当に温かくサポートしてくれました。そうした周囲の優しい支えがあったからこそ、異国の地でも決して心が折れることなく、やってこれたんだと感じています」
台湾チアではセルフプロデュース力が求められる
また、日本と台湾ではダンスのスタイルや求められるものが大きく異なり、戸惑うことも多くあったとか。「これまで自分はダンスに強い自信を持っていましたが、台湾に来てみると、必ずしもダンスだけが評価の中心ではなく、『ビジュアル』や『スタイルづくり』なども非常に重視されていることに気づきました。
そうした環境の中で、自分自身も“美意識”を高めることを意識するようになり、メンバー同士で刺激を受けながら成長していると感じています。ダンスだけでなく、美容やセルフプロデュースも含めて切磋琢磨できる環境が、台湾チアの魅力の一つだと思います」
さらに、台湾チアの活動を通じて印象的だったのは「ファンとの距離の近さ」だという。日本とは異なり、台湾ではファンから食べ物の差し入れをもらうことも珍しくなく、まるで友人のようなアットホームな感覚で交流できるのが魅力になっているそうだ。
「リアルな現場では、どうしても言葉だけでは伝えきれない部分があります。でも、動画なら後から自分の想いや字幕を添えることで、ファンの皆さんへ直接的にメッセージを届けられると思っています」
日本と台湾を繋ぐ架け橋になりたい
台湾チアの大きな特徴は、まさにアイドルや芸能人のような存在として扱われる点である。テレビCMや街中の広告など、日常生活のいたるところでメンバーの姿を目にする機会が多く、高橋さんは「常に刺激を受けている」と話す。Rakuten Girlsには現在、台湾のみならず日本や韓国など、多様なバックグラウンドを持つメンバーが集結している。彼女たちとお互いに切磋琢磨しながら、目指すのはアジア全域で広く愛されるグループになること。
高橋さんは「これからも日本と台湾を繋ぐ『架け橋』となれるように努力していきたい」と抱負を語ってくれた。
異国の地で活路を見出した彼女の挑戦は、まだ始まったばかりだ。
<取材・文・撮影(インタビュー)/古田島大介>
【古田島大介】
1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている
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