FBIが小さな町のレプリカを建設し、サイバー攻撃をシミュレーション(アメリカ)
サイバー攻撃訓練用にFBIが開設したリアルな町型のシミュレーション施設/image credit:youtube

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 アメリカ連邦捜査局FBIが、米アラバマ州に小さな町のレプリカを丸ごと建設した。目的は増加の一途をたどるサイバー攻撃のシミュレーションだ。

 この町には、小規模ながらも道路や住宅、病院やホテル、食料品店、裁判所まで建っている。ガソリンスタンドや電力会社もあり、信号機までちゃんと動く徹底ぶりだ。

 この屋内訓練施設は2025年2月に開設され、以来1,400人以上が訓練を受けたという。

 サイバー犯罪が絶えないアメリカでは、被害総額約3兆3,600億円の過去最高額を記録したばかり。世界唯一とされる訓練施設の全容に迫る。

FBIが建設した世界唯一の訓練都市

 アメリカ・アラバマ州ハンツビルに位置するアメリカ陸軍の基地、「レッドストーン兵器廠。その中の屋内訓練施設「キネティック・サイバー・レンジ(Kinetic Cyber Range)」に、実際のアメリカの地域社会を忠実に再現した小さな町が存在する。

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 広さは約2,044平方メートル(22,000 平方フィート)。バスケットボールコート約5面分に相当する。

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 小規模ながらも、家具付きの住宅、ホテル、ガソリンスタンド、食料品店、裁判所、病院、電力会社、データセンター、アーケード、ビジネスセンターまで揃い、道路にはちゃんと動く信号機まで設置されている。

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 施設のプログラム・マネージャー、デイブ・ビーチボード氏は、「このような施設は他に存在しない」と説明する。

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 開設したのは2025年2月。以来FBI職員のほか、NASA、米陸軍、複数の地元法執行機関を含む1,400人以上がここで訓練を受けたという。

町のすべてが現実と同じように機能

 各建物には、実際の地域社会や企業と同様に動くデバイスとシステムが接続されている。

 模擬攻撃が施設外に影響を及ぼさないよう、すべての通信は施設内に封じ込められており、訓練中に起きるいかなる攻撃も外部には漏れない設計だ。

 この町のデータセンターには物理サーバーが200台以上稼働しており、WindowsとLinuxの両方のOSが搭載されている。

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 町の雰囲気は見た目こそおしゃれだが、実際のオフィス内で捜査官が直面するサーバー環境を徹底再現しているため、居心地は良くないそうだ。

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 ビーチボード氏はその環境を「寒くて、狭くて、うるさくて、薄暗くて、最悪な環境だ」と語っていた。

 こちらはFBIが2026年6月11日に公開したキネティック・サイバー・レンジの動画。再生数はすでに8万回超え、注目度の高さがうかがえる。

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ランサムウェア攻撃で病院のシステムが落ちる瞬間を訓練

 この施設では、ランサムウェア攻撃とその現実的な影響をそのままシミュレートできる。

 ランサムウェアとは、コンピューターに侵入してデータを暗号化し、元に戻す代わりに身代金を要求する、悪意あるソフトウェアだ。

 訓練は、攻撃を受けた病院のシステムがダウンするというシナリオを中心に実施される。

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 医療機器やカルテ管理システムが、サイバー攻撃で機能を失った場合どうするか。

 訓練生は、その場で患者の命に直結する判断を迫られる。現実と同じプレッシャーを受けながらの判断を繰り返し体験することになる。

 なお、こうしたシナリオは過去に起きた実際の事件に基づき構築されている。

 あるシナリオでは、訓練生はインターネット接続機器だらけの家の中を歩き回り、押収すべき物を見極める訓練を行う。

 別のシナリオでは、企業に捜索令状を執行し、システム管理者と協力して企業ネットワーク内に埋もれたデータにアクセスする。

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「この施設内で失敗してほしい。学びの機会になるからね。実際の現場じゃ禁止されてることをここで身をもって体験しないと」

 サイバー訓練ユニットを率いるステファニー・カシオッピ氏はそう語る。

サイバー犯罪被害が過去最高額を記録

 FBIがこれほど大規模な訓練施設を求めた理由は、止まらないサイバー犯罪被害だ。

 100万件以上の被害申告をもとにまとめた「2025年インターネット犯罪報告書」によると、アメリカ国内のサイバー犯罪による被害総額は、過去最高の209億ドル(約3兆3,600億円)にのぼり、前年比26%増を記録した。

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 とりわけ深刻なのはランサムウェア被害だ。電力網や病院、交通機関など、社会基盤を支える重要インフラにとって最大の継続的脅威とされている。

常に最新の脅威に対応する訓練を実施

 かつてFBIの捜査官は教室ですべてを学んでいた。理論と少しの実習が中心で、現場に出るまで実際の機器に触れる機会はほとんどなかった。

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 ビーチボード氏いわく、「世界でたった一つだけ、最高にリアルな環境」であるキネティック・サイバー・レンジが、そうした訓練のあり方を根底から変えた。

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 訓練範囲は幅広く、サイバー攻撃への対応に加え、IoT機器(インターネットに接続された家電や設備)、ドローン、車両フォレンジック(自動車の電子制御システムからデータを抽出する技術)など、急速に進化する最新技術も含む。

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 その流れに合わせ、訓練内容は定期的に見直され、新たな脅威が生まれるたびにシナリオが更新される。

物議を醸すデジタル・フォレンジックツール

 キネティック・サイバー・レンジは、デジタル・フォレンジック(digital forensics)の訓練の場としても機能している。

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 デジタル・フォレンジックとは、スマートフォンやパソコンなどのデジタル機器から犯罪捜査に必要な証拠データを収集・解析する技術で、日本を含む多くの国の捜査機関が活用している。

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 と同時に、こうした訓練用ツールの一部は物議をかもしている。

 AppleやGoogleはユーザーのプライバシー保護のため、スマートフォンなどに強固なセキュリティ機能を組み込んでいるが、問題のツールを使ってメーカーがまだ把握してないソフトウェアの欠陥(脆弱性)を悪用すれば、その保護セキュリティを突破できてしまうからだ。

 こうした仕組みから「この手法は倫理的に許されるのか?」という議論が続いている。

 メーカー側もアップデートで脆弱性をその都度修正しているが、依然として「いたちごっこ」の終わりは見えない。

 まだできて間もない特殊な”町”でのリアルな訓練。その効果が実感できるのはもう少し先のことになりそうだ。

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References: The FBI built its own replica sBell-bottoms today, miniskirts tomorrow: Math reveals fashion’s 20-year cycle | EurekAlert!mall town to simulate real-world cyberattacks | TechCrunch[https://techcrunch.com/2026/06/13/the-fbi-built-its-own-replica-small-town-to-simulate-real-world-cyberattacks/]

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