太陽の死に際、地球は生き延びる可能性があると最新研究が示す
Image by unsplash / <a target="_blank" href="https://unsplash.com/ja/@javidnaderi">Javid Naderi</a>

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 約50億年後、太陽は内部の水素を燃やし尽くし、現在の何百倍もの大きさに膨らみ、地球は飲み込まれる、というのがこれまでの定説だった。

 しかしベルギー・ルーヴェン大学の研究チームの最新研究によると、地球は火星と共に生き延びられる可能性があるという。

 太陽が膨らむにつれて重力が弱まり、地球の軌道が外側へと押し広げられるためだ。 

 ただし、その頃の地球はすでに太陽の強烈な熱と光にさらされ、生命にとっては過酷な環境になっており、人類が生き延びるのは厳しそうだ。

 この研究成果は学術誌『Astronomy & Astrophysics[https://www.aanda.org/articles/aa/full_html/2026/06/aa60576-26/aa60576-26.html]』(2026年6月19日付)に掲載された。

太陽の死はどのように訪れるか

 太陽は今から約50億年後、中心部で水素を燃やし尽くしたとき、現在の安定した状態を終える。

 そこから太陽は「赤色巨星分枝(せきしょくきょせいぶんし:RGB)」と呼ばれる段階に入る。

 赤色巨星分枝とは、恒星が中心部の水素を燃やし尽くした後、外層が大きく膨らんで赤く輝く巨星へと変化する進化段階のことだ。

 このとき太陽の直径は現在の数百倍にまで膨れ上がり、水星と金星の軌道を飲み込む。

 続いてヘリウムも燃え尽きると、太陽は「漸近巨星分枝(ぜんきんきょせいぶんし:AGB)」と呼ばれる最終膨張段階に突入する。

 漸近巨星分枝とは、赤色巨星分枝の後にさらに膨張が進み、星が生涯で最大のサイズに達する段階だ。

 太陽はこの段階で膨大な量のガスを宇宙空間へ吹き出しながら、さらに巨大化していく。 

 その後、太陽は外層のガスを宇宙空間へ穏やかに放出し「惑星状星雲(わくせいじょうせいうん)」を形成する。超新星爆発のような激しい爆発は起きない。

 核融合を終えた中心核だけが「白色矮星(はくしょくわいせい)」として残り、徐々に冷えて暗くなっていく。

 太陽がこの死のプロセスをたどる間、地球はどうなるのか。

 RGB・AGB段階における地球の運命については、これまで2つの説が対立してきた。

 1つ目は、膨張した太陽の引力が地球の軌道エネルギーを奪い、地球を内側へと引き込んで飲み込むという説で長年の定説とされてきた。

 2つ目は、太陽が質量を失うにつれて重力が弱まり、地球の軌道が外側にずれることで膨張した太陽の圏外に出られるという説だ。

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太陽が死のプロセスをたどる間、地球はどう影響を受けるのか

 地球の運命を左右するのは、2つの力の綱引きだ。

 1つは「潮汐力(ちょうせきりょく)」だ。

 太陽が膨張すると、太陽と地球の間に引き合う力が生じる。

 月の引力が地球の海に潮の満ち引きを起こすのと同じ原理で、膨張した太陽が地球の軌道エネルギーをじわじわと奪い、地球を内側へと引き込む力として働く。

 これまでの研究では、この潮汐力が最終的に地球を太陽へと引きずり込むと結論づけるものが多かった。

 もう1つは「恒星風(こうせいふう)による質量損失」だ。

 恒星風とは恒星の表面から高速で吹き出す粒子の流れのことで、太陽では「太陽風」として知られている。

 太陽はAGB段階に入ると、この恒星風によって膨大な量のガスを宇宙空間へ吹き出し続け、総質量が減少していく。

 質量が減ると重力も弱まる。

地球を引き留める力が小さくなり、地球の公転軌道は自然と外側へと広がっていく。

 潮汐力が地球を「内側へ」引っ張り、質量損失が地球を「外側へ」押し出す。

 地球の運命はこの2つの力のどちらが勝つかによって決まる。

 両プロセスとも複雑な物理現象を含んでいるため正確なモデル化が長年難しく、科学者たちの間でも答えが割れてきた。

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地球は生き残る可能性がある

 ベルギー・ルーヴェン大学のマッツ・エッセルデゥールス氏らの研究チームは、過去15年間で大きく進歩した最新の潮汐モデルを用いてこのプロセスをを再検証した。

 更新された計算によると、膨張した巨大星が潮汐エネルギーを散逸させる効率は従来の推定より低く、太陽が地球を内側へ引き込む力はこれまで考えられていたより弱い可能性がある。

 さらに研究チームは、太陽がAGB段階でどのくらいの質量を失うかを推定するため、太陽に似た老齢星「かじき座L2(L2 Puppis)」の観測データを活用した。

 かじき座L2は数十億年後の太陽に似た状態にある星で、太陽の将来の質量損失率を推定するための参照対象となった。

 最新の潮汐モデルとかじき座L2の観測データを組み合わせてシミュレーションを実行した結果、地球の公転軌道はRGB・AGB両段階を通じて外側へ十分に広がり、膨張した太陽の最大サイズの圏外にとどまることができるという。

 地球は太陽に飲み込まれることなく生き残る可能性が出てきたのだ。火星もまた生き残り組に入るという。

 ただし、水星と金星は依然として太陽に飲み込まれることが示された。

 潮汐散逸に関する更新されたモデルと、質量損失に関する最新の観測的制約により、現在の知見の範囲では、地球は以前の予測とは異なり太陽から遠ざかる可能性があるという。

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太陽に飲み込まれなくても、地球の未来は厳しい

 今回の研究は地球が生き残る可能性を示したが、それは地球の生命の生き残りとはまた別の話だ。。

 太陽はRGB段階に入るはるか以前から、光度を徐々に高め続ける。

 地球の気温は上昇し、海水は蒸発し、大気は失われていく。

 太陽が本格的な膨張段階に突入するころには、地球の表面はすでに生命が存在するには過酷な灼熱の世界と化している。

 地球が太陽に飲み込まれずに済んだとしても、その上に生命が残っている可能性は低いのだ。ニュータイプの生命が誕生すれば話は別だが。

 また今回の結果は確定的なものでもない。

 研究チームは「地球と太陽系内部の生存は、潮汐散逸と恒星質量損失の扱い方に決定的に依存しており、現時点では確固として決まっていない」と明記している。

 かじき座L2の観測精度の向上や、恒星潮汐モデルのさらなる改良によって、結論は今後も変わりうる。

 太陽の死に際に地球がどうなるかは、まだ断言できないのだ。

まとめ

この研究でわかったこと

・約50億年後、太陽が膨張しても地球は飲み込まれずに生き延びられる可能性がある
・太陽が質量を失って重力が弱まることで、地球の軌道が外側へ押し広げられるためだ
・水星と金星は確実に飲み込まれるが、地球と火星は助かるシナリオが示された
・ただし生き延びた地球も、太陽の強烈な熱と光で生き物が暮らせない環境になっている

まだわかっていないこと

・太陽がAGB段階でどれだけ質量を失うかが正確にわかっていないため、結論はまだ確定していない
・潮汐力と質量損失のどちらが勝つかは、今後の観測とモデルの改良にかかっている

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References: doi.org/10.1051/0004-6361/202660576[https://www.aanda.org/articles/aa/full_html/2026/06/aa60576-26/aa60576-26.html] / The Sun may not engulf Earth after all, scientists say[https://phys.org/news/2026-06-sun-engulf-earth-scientists.html] / Challenging Assumptions, Earth Might Not End Up Being Destroyed By The Sun In 5 Billion Years After All | IFLScience[https://www.iflscience.com/earth-might-not-be-engulfed-by-the-sun-in-5-billion-years-after-all-83888]

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