AI生成じゃないだと?地球外生命体のようなアカメヤママユの幼虫。しかも食用
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  黒いボディに白く鋭いトゲを生やし、赤い模様が並ぶそのイモムシは、AIで作った架空のクリーチャーでもなければ、地球外生命体でもない。現実の生き物だ。

 アフリカの熱帯地域に広く分布するアカメヤママユという蛾の幼虫で、最大で体長7cmほどに達する。

 白いトゲから猛毒を発射しそうな勢いだが、毒はなく、鳥などの天敵をひるませるための見せかけにすぎない。

 アフリカでは貴重なタンパク源として好んで食べているそうだ。

見た目がクリーチャーすぎるアカメヤママユの幼虫

 アフリカの森でのんきに葉っぱをかじっているアカメヤママユ(Bunaea alcinoe)の幼虫は、架空のクリーチャー、もしくはインテリジェント・デザインされ生命体のようにしか見えない。

 ビロードのような質感の深い黒色のボディには、白や黄色の太いトゲが節ごとに8本ずつ並び、全身をびっしりと覆っている。

 体の側面には赤い斑点がいくつも並び、その中心には気門と呼ばれる呼吸用の穴がぽっかり開いている。

 いちばん大きく育った幼虫は体長がおよそ7cm、体の太さは直径1.5cmほどにもなる。

 体色には個体差や地域差があって、黒いボディに白いトゲというタイプがもっとも多いものの、鮮やかな赤に黄色いトゲという派手なタイプや、濃いオレンジ色のタイプまで見つかっている。

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 アカメヤママユはナイジェリアやコンゴ民主共和国、南アフリカなど、サハラ砂漠より南のアフリカ20か国以上に分布している。

 幼虫はキャベツツリー(Cussonia spicata)という木の葉っぱが大好物で、そこから英語ではキャベツツリーエンペラーモス(Cabbage Tree Emperor Moth)と呼ばれている。

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トゲに毒はなく、派手な色は天敵へのハッタリ

 これだけトゲトゲしていれば毒くらい持っていそうなものだが、アカメヤママユの幼虫に毒はなく、人が触っても刺されることはない。

 トゲはとくに鋭くもなく、毒液を出す仕組みも持っていない。

 真っ黒なボディに赤い斑点という目立ちすぎる配色も、鳥などの天敵に「こいつは食べたらヤバそうだ」と思わせるためのハッタリだ。

 とはいえ丸腰というわけではなく、体を強くつつかれると口から胃の内容物を大量に吐き戻す。

 食べていた葉っぱに有毒な成分が含まれていた場合、吐き戻した液体は襲ってきた相手にとってかなり不快なものとなる。

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現地では古くから食用とされていた

 毒を持たないこの幼虫は、アフリカでは古くから食用にされてきた。

 ナイジェリア東部から南部に暮らすイボの人々は幼虫を「エグ(Egu)」と呼び、市場で売り買いしている。

 現地では幼虫をつぶして消化管の中身を取り除き、天日で乾かしてからスープや煮込み料理に加えるそうだ。

 タンパク質や脂質、ビタミン、ミネラルを豊富に含むため、貴重な栄養源として経済的にも重要な存在となっている。

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卵から蛹になるまで姿を変えながら育つ

 あのトゲだらけの姿は、生まれたときから備わっているわけではない。

 飼育記録によると、メスが産む卵は白くて丸く、およそ2週間で小さな幼虫が孵化する。

 孵化したての幼虫は褐色で細かい毛が生えているだけの地味な姿で、集団で身を寄せ合いながら葉っぱを食べて育つ。

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 脱皮を重ねて3齢になったころ、黒いボディと赤い気門、白や黄色のトゲという、あの見慣れた姿がようやく完成する。

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 4齢を過ぎると幼虫は単独で行動するようになり、食べる量も一気に増えていく。

 寄主となった木の葉をあっという間に丸裸にしてしまうほどの大食漢で、飼育下では卵から5~6週間ほどで最大の大きさに達する。

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土にもぐって蛹になり、大きな蛾へ

 十分に育った幼虫は葉っぱを食べるのをやめ、木を降りて地面に向かう。

 アカメヤママユは糸で繭を作らず、土にもぐって地中に小さな部屋をこしらえ、その中で蛹になる。

 蛹は分厚い外殻に覆われていて、雨の少ない乾季のあいだは休眠して過ごし、雨季の暖かい雨をきっかけに羽化する。

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 地上に現れた成虫は翅を広げた長さが11~16cmほどある大型の蛾で、茶色い翅には黒と橙色に縁取られた目玉模様が浮かぶ。

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アカメヤママユの鱗粉はコウモリの超音波を吸収

 英国ブリストル大学の研究チームは2018年、アカメヤママユの前翅を覆う鱗粉が、コウモリの出す超音波を吸収する構造になっていることを突き止め、研究成果を『Proceedings of the National Academy of Sciences[https://www.pnas.org/doi/full/10.1073/pnas.1810025115]』誌に発表した。

 コウモリは超音波を出して、はね返ってきた音から獲物の位置を知るため、音を吸い込む翅を持つ成虫は闇の中で見つかりにくくなる。

 幼虫はトゲと派手な色で昼の天敵をひるませ、成虫は音を吸う翅で夜の天敵から逃れる。

 ハッタリと隠密を使い分けながら、アカメヤママユはアフリカの森でたくましく生きているのだ。

References: Bunaea alcinoe — “Cabbage tree emperor moth” | Welcome, visitor![https://breedingbutterflies.com/bunaea-alcinoe-cabbage-tree-emperor-moth/] / doi.org/10.1073/pnas.1810025115[https://www.pnas.org/doi/full/10.1073/pnas.1810025115]

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