イギリスのドーバー沖に沈む難破船から、日本の幕末にあたる1864年に製造された未開封のギネスビールの瓶ボトルが発見された。
発見したのはベルギーの水中写真家で、深海の環境と瓶が逆さまだったことで海水が入り込まず、なんと現在も飲める可能性があるという。
現在、ベルギーのルーヴェン・カトリック大学の研究チームがビールのDNA解析を進めており、162年前の味を現代に蘇らせるプロジェクトが進行している。
沈没した難破船から未開封のギネスビールの瓶を発見
イギリスのドーバー沖の海底には、今から162年前の1864年11月に別の船と衝突して沈没した「ミンドラ号」という難破船が眠っている。
ベルギーの水中写真家であるステファン・パニスさんは2025年、この難破船を探 索している最中に、海底の砂に埋もれた古い瓶を発見した。
水面に戻ってその瓶を軽く洗い流すと、そこには見慣れた「Guinness」のラベルが貼られており、1864年の年号が刻まれていた。
日本の時代でいえば江戸の幕末にあたる年に造られた貴重なビールである。
パニスさんによると、この瓶は24本入りのケースの一部と見られ、難破船の周囲
の砂の下にはまだ多くのケースが埋もれている可能性があるという。 彼は海況などの条件が許せば、再び難破船に戻ってさらに瓶を回収する計画を立てている。
密閉状態で保存された162年前のビールがまだ飲める可能性
162年も前のビール瓶が、なぜ完全な状態で状態で残っていたのか。
パニスさんから相談を受けた醸造歴史家のエドワード・ボークさんは、瓶が逆さまに保管されていたことが幸いしたと指摘している。
瓶が逆さまになることで生じる気泡が圧力をかけた密閉状態を作り出し、海水がコルクを通って入り込むのを防いだ可能性があるという。
深海の高い水圧と完全な暗闇という条件が、ビールの保存に最適な環境を作り出していたのだ。
パニスさんは、コルクから海水が浸入していなければ、このビールはおそらく現在も飲めるだろうと推測している。
酵母のDNAを解析し、当時のギネスの味を現代に蘇らせる試み
現在、この貴重なビールのサンプルは、ベルギーにあるルーヴェン・カトリック大学の微生物学者たちのもとへ送られている。
研究チームは分析を進め、瓶の中に残された当時の酵母から完全なDNAを抽出しようと試みている。
もしDNAの回収に成功すれば、1860年代のギネスビールの味を現代に再現し、当時のレシピで小規模な再醸造ができるかもしれないという。
ギネスブランドを保有するイギリスの酒類メーカー、ディアジオ社もこの発見を歓迎している。
同社の広報担当者は、この発見がブランドの遺産に対する理解を深めるのに役立つと述べた。
現在はギネス・アーカイブ・チームがダイバーたちと連絡を取り合い、さらなる情報を集めて評価を行っている。
162年前のビールを飲んでみたいか?人々の好奇心と期待
162年もの間、2つの世界大戦を超え、海の底で過ごしたビールの味について、多くの人が関心を寄せている。
ギネス(GUINNESS)は、1759年にアイルランドのダブリンでにアーサー・ギネスが創業したビール醸造会社だ。
黒ビール(スタウト)が主力商品で、焙煎した大麦が生み出すコーヒーのような香ばしさと、窒素ガスによるクリーミーで滑らかな泡が特徴と言われている。
発見者のパニスさんは自身はギネスの大ファンではないと認めつつも、もし専門家が安全だと宣言すれば喜んで試飲すると語っている。
イギリスのメディアが一般の人々にインタビューをしたところ、好奇心から「ぜひ飲んでみたい」と答える人が相次いだ。
もちろん安全性を考慮して飲みたくないという人もいたが、歴史的な発見に対する人々の期待は大きい。
162年前の海に沈んだビールがどのような味だったの か、現代の科学技術による味の再現プロジェクトの今後に注目が集まっている。
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