2035年に建設予定の月面基地にロボット犬を導入(中国)

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 人類は再び月を目指し始めた。月面に研究拠点を築いて長期滞在し、資源などの調査を行うところまで視野に入れる時代になりつつある。

 だが、過酷な月での生活を人間だけで乗り切るのはハードモードだ。そこで中国は、その解決策としてロボット犬を送り込もうとしている。

 ロボットと人間の宇宙飛行士がチームを組んで、役割を分担しながら長期にわたって支えあう、未来の月面基地生活の構想案が提出された。

 この研究成果は『中国空間科学技術(Chinese Space Science and Technology)[https://journal26.magtechjournal.com/kjkxjs/EN/10.16708/j.cnki.1000-758X.2026.0055]』(2026年7月31日付)に掲載された。

長期の月面探査を支えるロボット犬

 中国はロシアなどと共同で、月の南極を中心とする国際月面研究ステーション(ILRS)を2035年までに建設する計画を進めている。

 現在はその準備段階にあり、無人月探査機「嫦娥7号」「嫦娥8号」による探査や技術実証を経て、将来の長期的な月面活動につなげる計画だ。

 そんな中、中国の宇宙研究者たちが、将来の有人月面研究基地で、人間とロボットがチームを組んで働く構想を発表した。

 そこでは4本脚で歩くロボット犬が、月面での宇宙飛行士の活動を支える「頼もしい相棒」として想定されている。

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 この構想をまとめたのは、中国空間技術研究院の王翔氏と、北京空間飛行器総体設計部の黄震氏らの研究チームである。

 ILRS計画で描かれているのは、月面に人間が生活できる基地を建設し、そこを拠点にできるだけ長く滞在して調査を行う、SFのような未来の光景である。

 だが月の重力は地球よりはるかに小さく、月面は放射線や過酷な温度差にさらされ続けている。生身の人間にとって、月面での暮らしは生易しいものではない。

 そこで考えられているのが、人間とロボットがそれぞれの得意分野を生かし、役割分担をすることだ。

 人間は予想外の出来事が発生した際のとっさの判断や臨機応変な対応、デリケートな作業を担当する。

 そして繰り返しの多い作業や力仕事、危険な場所での作業などは、すべてロボットに任せてしまおうというのである。

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月面探査でのロボットと人間それぞれの役割分担

 では実際、ILRS計画での月面研究基地での生活はどんなものになるのだろうか。そこで登場するのが、今回の主役ともいえる2台の「ロボット犬」だ。

 具体的な探査シナリオでは、まず3人の宇宙飛行士のうち1人が2台のロボット犬を指揮し、地形など危険箇所の有無を調べ、周囲の安全を確認する。

 月面の地形には、クレーターや岩、傾斜など、宇宙服を着た人間がいきなり入り込むには危険な場所も少なくない。

 ロボット犬を先に進ませて周囲を調べさせることで、宇宙飛行士が危険にさらされる可能性を減らすことができるのだ。

 そしてもう1人の飛行士は、岩石のサンプルを採取するなど、実際の詳細な科学調査を担当する。

 そして3人目は大型の与圧式移動車の中に残り、探査全体を調整しながら、必要に応じてほかのロボットの操作も担当するのだそうだ。

 中国の宇宙開発プロジェクトの中で、月面でのロボットの出番は今後さらに増えることが想定されている。

中国は有人宇宙飛行のフロンティアを、地球軌道から月へと拡大しています。将来における月面探査は、「宇宙飛行士主導の意思決定と自律型ロボットによる作業遂行」に依存することになるでしょう

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長期にわたる探査を見据えた研究が続けられている

 将来、新たな基地の建設や鉱物資源の採掘などがはじまった場合、その作業はロボットたちが担うことになるかもしれない。

 危険な場所での調査や力仕事をロボットに任せることができれば、宇宙飛行士の負担は大きく減らせるはずだ。

 また、将来の長期的な人類居住に向けた月面の環境整備においても、ロボットたちは中心的な役割を果たすだろう。

 実際に、月の地下に存在する溶岩洞を人間の居住空間として利用するというアイデアは、中国だけでなくNASAやESA(欧州宇宙機関)でも研究されている。

 厚い岩盤に覆われた地下空間なら、宇宙放射線や微小隕石から人間を守り、月面よりも安定した温度環境を確保できる可能性があるからだ。

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 基地での日常生活でもロボットの出番は多そうだ。基地内外のパトロールや設備点検、空調管理のほか、清掃や調理までロボットが担うことになるかもしれない。

 さらに研究者たちは、ロボットに宇宙飛行士たちの話し相手になってもらうことも考えている。

 地球から遠く離れ、閉鎖的な環境での長期にわたる生活は、肉体的にはもちろん、心理的にも大きな負担やストレスとの戦いになる。

 ロボットとの会話や交流が孤独感をやわらげ、健全な精神状態の維持につながる可能性も、大いに期待されているのである。

「どこまでロボットに任せられるか」を見極める

 研究チームは、月面基地での活動を「居住」「科学実験」「資源開発」「支援サービス」の4分野に分け、それぞれで人間とロボットが何を担当するのかを検討した。

 さらに両者が共同で探査する際には、情報のやり取りを「感知」「意思決定」「計画」「操作」の4つの段階に分け、人間がロボットにどこまで任せるかについても4つのレベルを設定している。

 つまり、月面で「どんな仕事をするのか」「どうやって一緒に動くのか」「どこまでロボットに任せるのか」を、それぞれ4つに分けて考えたわけだ。

 もちろん、何もかもロボット任せにするわけではない。仕事の難しさや危険度に応じ、どこを人間が担当し、どこまでロボットに任せるのかを変えていく。

 例えば単純で予測がしやすい仕事なら、ロボットにかなりの部分を任せられる。

一方で、予想外の事態が起きやすい作業では、人間の判断を優先する。

 人間とロボットが、お互いの得意な部分を生かして働くこと。それが、今回の研究の基本的な考え方なのである。

本格化する「月面探査ロボット」の開発

 中国は2030年までに中国人宇宙飛行士を初めて月面へ送り、科学調査や試料採取を行うという計画を公表している。

 とはいえ、こうした未来の月面基地は、まだ構想段階に過ぎず、ここに登場するロボット犬も、現段階ではまだ存在していない。

 だが中国では、もっと具体的に月面での運用を想定した四足歩行ロボットが、実際に開発されているらしい。

 中国科学技術大学の蔡浩鋭氏らが開発しているのは、4本脚で歩くだけでなく、脚を折り畳んで円筒状になり、坂を転がって移動できるロボットだという。

 開発が始まったのは2024年初めだが、2026年7月時点では複数の模擬環境で検証され、関連する宇宙研究機関との調整も進められているという。

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 さて、「月面を自律的に動く小型ロボット」なら、我が日本もすでに素晴らしい実績を残している。

 2024年1月、JAXAなどが共同開発した手のひらサイズの変形型ロボット「SORA-Q(ソラキュー)」が、実証機「SLIM」とともに月に向かい、月面に到達した。

 そして地球からの遠隔操作に頼らず、自ら判断して動き回りながら月面を撮影。その画像は地球に届けられ、月面での探査能力を実証して見せたのだ。

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 かつてSFの領域であった、宇宙での人間とロボットの共同作業が、いよいよ現実の計画の中で語られるようになってきた。

 今回の研究はまだ将来を見据えた構想の段階だが、月面で実際に活動するロボットの開発はすでに始まっている。

 将来、人類が月面で長期間活動するようになったとき、人間とロボットはどのように役割分担していくのだろうか。今後の研究の進展が注目されるところだ。

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References: China’s lunar research station could be guarded by robot watchdogs, space scientists say[https://www.scmp.com/news/china/science/article/3363149/chinas-lunar-research-station-could-be-guarded-robot-watchdogs-space-scientists-say] / China’s 2035 moon base could see robot dogs patrol, build and explore[https://interestingengineering.com/ai-robotics/robot-dogs-in-space-china]

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