アメリカ・アリゾナ州の化石の森国立公園では、持ち出しが禁じられている化石化した木を盗んだ人々から、謝罪の手紙を添えて盗んだ木が返還されている。
石を持ち帰った後に、本人や家族に病気、失業、親しい人やペットの死などの不幸が重なったため、盗んだ木の化石の「呪い」だと考えるようになったためだ。
手紙には、不幸になった顛末と心からの謝罪がつづられている。本当に木の化石の呪いがあるのだろうか?
この不思議な現象を題材にした短編ドキュメンタリー映画も公開された。
国立公園から持ち出される貴重な化石、珪化木
アメリカ・アリゾナ州北東部にある化石の森国立公園[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%96%E7%9F%B3%E3%81%AE%E6%A3%AE%E5%9B%BD%E7%AB%8B%E5%85%AC%E5%9C%92]には、約2億2500万年前に生育していた針葉樹が化石化した「珪化木(けいかぼく)」が数多く残されている。
珪化木とは、地中に埋もれた木に鉱物がしみ込み、長い年月をかけて木の成分と置き換わった化石だ。
この公園の珪化木は、ほぼ石英からできており、含まれる不純物によって赤、黄、紫などの鮮やかな色を見せる。
年間50万人以上が訪れる人気の国立公園だが、珪化木を記念品代わりに持ち帰る人が後を絶たない。
国立公園内の植物、岩石、化石、歴史的遺物などを傷つけたり持ち出したりすることは、連邦規則で禁じられている。
対策が講じられているにもかかわらず、毎年最大約12トンの珪化木が持ち去られていると推定されている。
盗んだ後に不幸が続き、「呪い」を恐れる人々
珪化木を持ち帰った直後から、本人や家族に立て続けに不幸が降りかかってきた人も少なくなかった。
公園へ届いた手紙には、親友や愛犬を失った、仕事を失った、家庭内暴力や流産、住む場所を失った、といった内容が記されていた。
家族17人のうち14人が嘔吐と下痢の症状になった。という手紙もあった。
不運が重なった人々は、以前からネット上で広まっていた「この公園の化石を持ち帰ると呪われる」という噂と自らの体験を結び付け、珪化木を「呪いの化石」だと信じるようになった。
もちろん、これらの不幸が化石を盗んだことによって起きたと示す根拠はない。
だが、盗んだことへの後ろめたさを抱えた人々にとっては、偶然起きた不運にも意味や原因を求めずにはいられなかったのだろう。
国立公園に返還される化石と謝罪の手紙
不幸に見舞われた人々は、自分が盗んだ事実と後悔を記した謝罪の手紙を同封して公園へ送る。
化石の森国立公園に、珪化木の返還とともに「謝罪の手紙」が最初に届いた記録は、1935年までさかのぼる。
インドから送られてきたその手紙を皮切りに、返還品と手紙は今も公園へ届き続けている。
短い走り書きもあれば、何ページにもわたって自分の人生をつづった手紙もあった。
40年前に化石を盗んだ88歳の母親に代わり、家族が返還の手続きをした例もある。
「不運を取り除きたい」と切実な願いを込める人もおり、手紙の内容は悲劇的なものから、どこかユーモラスなものまで幅広い。
中には、元恋人への未練を断ち切り、新しい自分へ進むための象徴的な儀式として化石を返す女性もいた。
呪いを恐れる気持ちと、長年抱え続けた罪悪感が、一通一通の手紙から伝わってくる。
ブライアン・ボルスター監督の短編ドキュメンタリー映画『The Conscience Files』は、公園に送られた手紙を朗読しながら、この奇妙な現象と人間の心理に焦点を当てている。
化石の呪いは本当に存在するのか?
化石の森国立公園の主任科学者ビル・パーカー氏は、化石の呪いは存在しないという見解を示している。
盗みが悪いことだと分かっているため、罪悪感を抱いた人が、人生で起こる不運と自分の行為を結び付けてしまうのだと、パーカ氏は考えている。
ただし、郵送で返還された石も、元の採取場所が分からないため自然に戻すことはできない。
References: AEON[https://aeon.co/videos/thieves-of-cursed-rocks-pen-letters-of-remorse-to-a-national-park] / Sfgate[https://www.sfgate.com/national-parks/article/stolen-wood-petrified-forest-22396584.php]











