アメリカ・テキサス州の街中に謎の動物が出没し、目撃した人々から警察に相次いで通報が寄せられた。
誰も見たことのない動物で、通報者もその正体の見当がつかず「小さなカンガルーのような、サルのような…」といったあいまいな描写しかできなかったという。
駆けつけた警察官がピザ屋のゴミ箱の裏を確認すると、暑さをしのぐように身を潜めていたのは、中南米原産の「キンカジュー」であることが判明。
テキサス州には存在しないはずのこの珍客がいったいどこからやって来たのか?現在もまだ不明なままだ。
見たこともない謎生物がいる!警察に通報
2026年8月20日午後、テキサス州ノース・リッチランド・ヒルズ警察に、「通りに奇妙な動物がいる」との通報が相次いだ。
通報した人たちもその動物の正体がわからず、「カンガルーにも見えるし、サルにも見えるがよくわからない」と説明した。
警察官が現場に到着すると、MOD Pizzaというピザ店の外にあるゴミ箱の後ろで、小さな動物が日差しを避けるように身を隠していた。
この日のテキサス州北部は、厳しい暑さに見舞われていた。警察によれば、動物は明らかに暑がっており、喉も渇いている様子だった。
そこで3人の警察官がその動物の周囲を囲い込み、逃げ道をふさぎながら慎重に近づいていった。
最後はディラン・デイヴィス巡査がタオルをかぶせて無事に捕獲。その一部始終は、警察が公開した動画に記録されている。
こうして謎の動物は保護されたのだが、近くで確認すると、カンガルーでもサルでもなかった。
その正体は、中南米原産の「キンカジュー」だったのだ。
足の裏には熱いコンクリートによる火傷も
保護されたキンカジューは、ノース・リッチランド・ヒルズ動物保護サービスセンター[https://www.facebook.com/NRHpets]へと運ばれた。
翌21日になって、野生動物の専門家が診察したところ、この個体はメスであることがわかった。
さらに足の裏には、熱くなったコンクリートの上を歩いたことによる複数の火傷が見つかったという。
ノース・リッチランド・ヒルズ警察の広報担当者、カリッサ・カテカルさんは、このキンカジューについて次のように説明している。
警察官たちはタオルを用意して、この子を捕まえました。うちのキャプテンが言っていたように、まるでスティーブ・アーウィンみたいでした。
(キンカジューは)熱くなったコンクリートの上にいたため、足の裏にいくつか火傷の跡があります。
これからリハビリを行い、元の健康な状態に戻れるよう手助けしていく予定です
ちなみにスティーブ・アーウィンとは、カラパイアでも紹介したオーストラリアの野生動物保護活動家で、「クロコダイル・ハンター」として知られた人物だ。
残念ながら2006年にエイに刺されて亡くなったが、今は息子のロバート氏がその後を継ぎ、立派なクロコダイル・ハンターとして活躍しているらしい。
つまり「正体不明の野生動物を大胆に捕まえにいった警察官たち」を、冗談交じりにスティーブ・アーウィンになぞらえて紹介したわけだ。
その後キンカジューはより専門的なケアを受けるため、野生動物やエキゾチックアニマルの保護を行う「ネイチャーズ・エッジ 野生動物・爬虫類保護センター[https://www.newrr.org/](NEWRR)[https://www.newrr.org/]」へ移されたという。
サルのように見えるが、実はアライグマの仲間
キンカジュー(学名:Potos flavus)は、メキシコ南部からブラジルにかけての熱帯林などに生息する夜行性の哺乳類である。
丸い顔と大きな目がチャームポイントで、主な食べ物は昆虫や果物などの雑食性。木登りが得意で、ほとんどの時間を木の上で過ごしているそうだ。
枝から枝へ器用に移動する姿から、サルの仲間と間違われることがあるが、実は霊長類の仲間ではない。
分類上は食肉目アライグマ科キンカジュー属に属しており、実際はアライグマに近い仲間なんだそうだ。
体長は約42~76cm、体重は約1.4~4.5kg。そしてさらに、体と同じくらいの長さの長い尻尾を持っているのが特徴だ。
この長い尻尾は枝にくるりと巻きつけて、木の上で体を支えたり、バランスを取ったりするために使われる。
また、足首は180度回転させられるほどの柔軟さを持っており、木の上では上下左右好きな方向へ、自由自在に動き回ることができるんだとか。
分類上は食肉目だが、長さ約13cmにもなる舌を使って花や蜂の巣から蜜をなめ取ることもある。このため英語では「ハニーベア」とも呼ばれているという。
なぜテキサスの街中にキンカジューが?
さて、無事に保護されたのは何よりだが、中南米の熱帯林に暮らすキンカジューが、なぜテキサス州の街中、それもピザ屋のゴミ箱の後ろにいたのだろう?
キンカジューはアメリカではエキゾチックペットとして飼育されることがあり、テキサス州でも飼育されている例がある。
そのため、保護直後は警察も「誰かキンカジューを探していませんか?」とSNSで呼びかけ、飼い主を探し始めた。
だが、地元であるノース・リッチランド・ヒルズ市内では、キンカジューなどのエキゾチックアニマルをペットとして飼育することは認められていないらしい。
今のところ、このキンカジューがどこかの家で飼われていたペットだったのか、それとも別の背景があるのかについては、何もわかっていないようだ。
なお、8月24日の海外掲示板Reddit[https://www.reddit.com/r/animalid/comments/1vumnl6/what_is_this_texas_looks_like_someones_pet/]に、このキンカジューの写真を投稿したNoteSmooth5909[https://www.reddit.com/user/NoteSmooth5909/]というOP(投稿主)がいた。
彼は他にもエキゾチックアニマルをたくさん飼育しており、このキンカジューを引き取るために7,000ドル(約112万円)用意するつもりだったそうだ。
だが、「数時間前に別の誰かに先を越された」とコメントしているので、これが本当なら、既にキンカジューは新たな居場所を見つけたのかもしれない。
それが別の保護施設への移送を指しているのか、それとも正式に引き取り先が決まったのか、あるいは飼い主が見つかったことを意味するのかはわからないが。
かわいいけれど、ペット向きの動物ではない
キンカジューは大きくてキュートな目と丸っこい顔を持ち、見た目だけならとても愛らしい小動物だ。
現在のところ、日本では特定動物には指定されていないため、エキゾチックアニマルを扱うショップやブリーダーから入手することが可能だ。
その価格は数十万円から100万円ほどで、国内で繁殖された個体も販売されている。ただし、「入手できる」ことと「飼える」こととは別問題だ。
住環境を整えてやらなければならないし、専用のペットフードも売っていない。何かあったときに診てくれる獣医が近くにいるかどうかも考えなければならない。
人懐っこく懐いてくれる可愛い動物ではあるのだが、あくまでも野生動物であることを忘れずに、最後まで責任をもって面倒を見る覚悟が求められる。
先述のRedditのOP・NoteSmooth5909さんは、自分もエキゾチックアニマルを飼育している立場から、以下のようなコメントをしている。
40℃を超えるような猛暑の中で、自分の動物が逃げ出さないようにすることすらできない人なら、そもそも飼うべきじゃないと思う。
だいたいキンカジューなんて、ペットとして飼うべき動物じゃないんだよ
この子は保護されていたのに、誰も飼い主だと名乗り出なかった。最低限、問い合わせることすらできないんだったら、その人はこの子のことを大切にしていないってことだよ
どうやら彼は、「責任をもって飼えないなら、エキゾチックアニマルをペットにするべきではない」という考えから、今回のキンカジューについて「行き場がないなら自分が引き取ろう」としていたようだ。
飼い主のもとを逃げ出したのか、あるいは飼いきれなくなって捨てられたのか、どんな背景があったのかはわからない。
いずれにせよ、このキンカジューが、今後ずっと幸せに暮らせる場所が見つかることを祈るばかりだ。
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