迷子になっちっち!アイスランドの夜の街に迷い込んだニシツノメドリのヒナを保護
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 アメリカで動物保護施設を運営する夫婦が、念願のアイスランド旅行に出かけたところ、そこで待っていたのは思いがけない「救助活動」だった。

 毎年巣立ちを迎えるこの時期、人工の街の明かりに惑わされ、迷子になってしまうニシツノメドリのヒナが続出する。

 そんなヒナを住民が保護し、海へ帰す活動が行われているのだが、2人も早速この活動に参加することとなる。

 迷子になっていたヒナを発見し、本来の目的地であった海へと、無事に帰してやることができたのだ。

アイスランド旅行で知った「パフィリング・パトロール」

 アメリカ・テネシー州で動物保護施設「Fabled Farm Rescue & Sanctuary[https://www.fabledfarmrescue.org/]」を運営するエイプリル・ホリングスワースさんとブライアン・クリーガーさん夫妻は、以前から楽しみにしていたアイスランド旅行へ出かけた。

 2人は普段から動物の保護に携わっているだけに、旅先でも現地の野生動物を見ることを特に楽しみにしていたという。

 そして2人は、ヘイマエイ島にある、海洋生物の保護に取り組む団体「SEA LIFE TRUST」の施設[https://belugasanctuary.sealifetrust.org/en/]を訪れた。

 ここには世界初のベルーガ(シロイルカ)の海洋サンクチュアリと、アイスランド唯一のニシツノメドリ(パフィン)の保護施設「パフィン保護センター」がある。

 彼らはこの保護センターで、「パフィリング・パトロール」と呼ばれる地元の活動について知ることになる。

 この活動については、以前カラパイアでも取り上げたことがあるのだが、もう一度簡単に説明してみよう。

 ニシツノメドリのヒナは成長すると、巣穴を離れて夜の海へ飛び立つ。ところがヘイマエイでは、街や港の人工照明に惑わされ、本来向かうべき海ではなく、市街地へ飛んでいってしまうヒナがいる。

 そこで巣立ちの季節になると、住民たちが夜の街を探し回って迷子のヒナを保護し、翌日、状態を確認したうえで海へ帰しているのだ。

 この話を聞いたエイプリルさんは、すぐに自分たちも参加しようと決めた。

「夜になるとみんなでツノメドリのヒナを助けに行くんです」と聞いた瞬間、もちろん私たちもやることにしました

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真夜中の街で迷子のヒナを探す

 早速2人は迷子のヒナを探すため、真夜中の街へ繰り出した。ところが午前0時ごろになっても、周囲には人もおらず、肝心のヒナも1羽も見つからなかった。

真夜中に歩き回ったのですが、人もツノメドリもまったく見当たりませんでした。途中から、私たちはこのアイスランドの習慣を完全に勘違いしているんじゃないかと思い始めたほどです

 あとになって、地元の人たちはもっと遅い時間や早朝に探しに出ることが多いと知ったという。

 結局、2人は自分たちの空回りぶりを笑いながら歩き続け、そろそろ戻ろうかとなったとき……。路上に1羽の小さなニシツノメドリのヒナが現れた。

それまで笑いながらやっていた珍道中が、一瞬で「うわあ、本当にヒナがいる!」に変わりました。

家では100匹ほどの保護動物の世話をしている2人なのに、ものすごく小さなアイスランドの鳥1羽を前にして、笑ってしまうほど準備不足でした

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ケースを忘れたことに気づいたが、ヒナの保護には成功

 夫妻はヒナを安全に捕まえるための手袋こそ用意していたものの、保護した後に入れるケースを持ってくるのをすっかり忘れていた。

 それでもなんとか、路上にいたヒナを無事に保護すると、現地で推奨されている方法を改めて調べ、翌朝まで安全に預かることにした。

 2人はこのヒナに「エルン(ワシの意)」と名付けた。その日の早い時間に、保護センターのギフトショップで出会った男性の名前から取ったんだとか。

 翌朝、夫妻はエルンを保護センターへ連れて行った。施設ではヒナの健康状態を確認し、治療が必要なのか、そのまま野生へ戻せるのかを判断する。

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 エルンも体重を量ってもらい、自然に帰すことができる状態だと判断された。そこで夫妻はエルンを連れて海岸にある崖へ向かった。

海に向かってエルンを放すと、翼を広げて飛んでいきました。それを見た瞬間、私は泣き出してしまいました。

この小さな鳥と一緒にいたのはほんの数時間です。それでも一晩中、この子を安全に守る責任がありました。

ちゃんとできているだろうか、これで正しいのだろうかとずっと心配していたんです。

だから、この子が本来いるべき場所へ飛んでいく姿を見たら、どうしようもなく胸がいっぱいになりました

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島ぐるみで迷子のヒナを海へ帰す

 ヘイマエイ島で行われているパフィリング・パトロールは、最近始まった観光客向けのイベントなどではない。

 先述の通り、ニシツノメドリのヒナは巣立ちの時期になると夜間に巣穴を離れ、海へ向かって飛び立つ。

 だが、街の人工照明に方向を惑わされると、港や道路、住宅地など、人間の居住する場所に降りてしまうことがある。

 そうなるとヒナは海へたどり着けず、猫やカモメに襲われたり、車にはねられたりする危険もある。

 そこでこの「パフィリング・シーズン」には、地元の子供や大人たちが迷子のヒナを探す「パフィリング・パトロール」が何世代にもわたって続けられてきた。

 保護したヒナは、一晩安全な場所で過ごさせた後、体重や状態などを記録し、飛べることを確認してから海へ帰す。

 2025年のシーズンには、島全体で7,000羽を超えるヒナが住民やボランティアによって保護され、海へ戻されたという。

 また、ケガをしていたり、油で汚れていたり、体重が不足していたりした276羽が保護センターに持ち込まれ、治療やケアを受けたそうだ。

顔が全然違う?ニシツノメドリの成鳥とヒナ

 ニシツノメドリ(学名:Atlantic puffin)は、北大西洋や北極圏周辺に生息するウミスズメ科の海鳥だ。

 普段は外洋で暮らしているが、繁殖期になるとアイスランドなどの島や海岸の断崖に集まり、地面に掘った巣穴などで子育てをする。

 体長は30cmほど。成鳥は黒い背中と白い腹、白っぽい顔を持つ。特に目を引くのが大きなくクチバシで、繁殖期には赤やオレンジ、黄色の鮮やかな色に変わる。

 その特徴的な姿から「海のオウム」と呼ばれることも。また、名前の由来となった角のような目の周りの模様が、なんとなく困っているようにも見えるらしい。

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 ところで、今回保護されたエルンは顔からクチバシまで黒っぽく、成鳥とはかなり印象が違うことに気づいただろうか。

 これはエルンが巣立ったばかりの幼鳥だから。ニシツノメドリの幼鳥は成鳥より顔の黒い部分が多く、クチバシも小さく暗い色をしているのだ。

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 そして成長するにつれ、顔の白い部分が目立つようになり、繁殖期になるとクチバシも鮮やかに彩られていく。

 なお、成鳥でも一年中カラフルなわけではなく、繁殖期を終えるとクチバシの鮮やかな外側の部分が落ち、顔も灰色がかった地味な姿になるんだそうだ。

 基本的に一夫一婦で、同じ相手と何年もペアを組むことが多く、繁殖期になると前年と同じ相手、同じ巣穴に戻ってくることも多い。

 繁殖は年1回で、メスが産む卵はわずか1個。オスとメスが協力して卵を温める、仲睦まじい姿が特徴だ。

 生まれたヒナは巣穴の中で、親が運んでくる小魚を食べて成長し、孵化から6週間ほどすると巣立ちの時を迎える。

 巣立ちは夜に行われ、親鳥に付き添われることなく、ヒナは1羽で巣穴を出て海を目指すんだとか。

 今回エイプリルさんたちが保護したエルンも、そんな巣立ちの途中で、人口の照明に惑わされ、街中に迷い込んでしまったとみられている。

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動物保護に人生を捧げている夫婦

 エイプリルさんとブライアンさんが運営している「Fabled Farm Rescue & Sanctuary[https://www.fabledfarmrescue.org/]」は、2021年に開設したサンクチュアリだ。

 以来、馬やロバ、ヤギ、羊、豚、アルパカ、鳥類、猫など665匹を保護し、511匹を新しい家族のもとへ送り出してきたという。

 病気や障がい、行動上の問題などで譲渡が難しい動物は施設で終生飼育しており、現在も70匹以上がここを「永遠の家」として暮らしているそうだ。

 2人が保護施設を始めた経緯について、エイプリルさんはこう話している。

地域で保護を必要とする動物たちは増える一方でした。私たちは助けずにはいられませんでした。

私には動物保護に携わってきた15年の経験があり、ブライアンにはビジネスの経験があります。



そこで、馬や家畜を保護するレスキュー施設とサンクチュアリを作ることを、2人の共通の使命にしようと決めたんです

 下の動画は、たくさんの動物たちの世話をしている2人の朝のルーティン。

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 普段は遠く離れたテネシー州で動物たちを保護しているエイプリルさんとブライアンさんだが、今回旅先のアイスランドでもまた、助けを必要としている小さな命と出会うことになったわけだ。

動物保護は決して楽な仕事ではありません。胸が張り裂けそうになることもあります。それでも、そこにはいつも希望があります。

救うことができた1匹1匹が、優しさには意味があるということを思い出させてくれるんです

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