去年8月、大阪・道頓堀で6階建てと7階建てのビル2棟が焼け、消火活動にあたっていた浪速消防署の消防隊員2人が死亡した火災。

発生から1年近くが経った、きょう=14日、警察は重過失失火の疑いで、当時ビルに入っていた飲食店元従業員の男性(35)を書類送検しました。

警察によると、男性はタバコの吸い殻を捨ててビルに燃え移らせ、建物を損傷させた疑いがあるということです。警察は男性の認否を明らかにしていません。

なぜこのタイミングで男性が書類送検されたのか?「重過失失火」とはどのような罪なのか?元検事の亀井正貴弁護士に見立てを聞きました。

火災発生当時の状況は?

「タバコのポイ捨て」がビル火災の原因か 飲食店元従業員の男性...の画像はこちら >>

去年12月に公表された大阪市消防局の報告書によりますと、火災当時の状況はこうです。

①西側ビルの地上付近から出た火は外壁に設置されていた室外機に燃え移り火の勢いが強まる

②さらに火が屋外広告をつたって建物上部へ一気に延焼

③隣のビルの屋外看板にも燃え移り5階の窓から室内に火が入る。

この部屋は機密性が高かったことから酸素が急速に消費され火の勢いは一時的に衰えます。

「タバコのポイ捨て」がビル火災の原因か 飲食店元従業員の男性に「重過失失火」の疑い…その重さは? 消防隊員2人死亡との因果関係「行為と結果はかなり乖離」【弁護士解説】
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当時、亡くなった2人を含む隊員3人は消火活動を行っていました。ところが真下の5階で別の隊員が部屋の扉を開けた時、火災で酸素が不足していた空間に空気が一気に流れ込んだことで急激に爆発する「バックドラフト現象」が発生しました。

書類送検まで1年弱 弁護士の見解は?

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―――火災発生から書類送検まで1年近く経っています。この期間の長さをどう見ますか?

(亀井弁護士)「通常だと思います。むしろ早いかもしれないくらい。火事の原因については、まず火元がどこなのか、どういうルートを辿って燃えていったのか、どこが最も燃えたのかを、すでに焼けた痕跡から洗い出す必要がある」

「それに加えて本件では、火災原因に関係するタバコのポイ捨てを誰がしたか、果たしてそれが火災原因になり得たのかどうかという非常に難しい問題を含んでいますから、やはりこの程度の時間はかかると思います」

実は700℃もある!?タバコの特徴 炎の見えづらさも

「タバコのポイ捨て」がビル火災の原因か 飲食店元従業員の男性に「重過失失火」の疑い…その重さは? 消防隊員2人死亡との因果関係「行為と結果はかなり乖離」【弁護士解説】
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今回の火災の原因とみられるのが「タバコのポイ捨て・不始末」。元東京消防庁の田中章氏は、タバコについて以下のような特徴を挙げています。

▼炎が上がらない

タバコは丸い形をしているため、ポイ捨てすると火が付いたまま転がります。道路に捨てたとしても側溝方面に転がってしまい、気がつかないところで燃えてしまうおそれがあります。

▼炎が見えづらい

タバコの火はくすぶって燃えるため、もみ消すだけでは消しきれていないことも。水につけて完全に火を消す必要があります。

▼700℃の高温

周りに紙やゴミがあると容易に燃え移ってしまうことがあります。

飲食店元従業員の男性を書類送検 「重過失失火」とは?

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警察は、当時ビルに入っていた飲食店に勤務していた35歳の男性を重過失失火の疑いで書類送検しました。

警察によりますと、周辺の防犯カメラの映像などから男性の関与が浮上したということです。

―――火を放ってしまったことに関する罪としては他に「放火罪」「失火罪」がありますが、そもそも「重過失失火罪」とはどのような罪で、ほかの罪とどう違うのでしょうか?

「火を放ってしまったという事実は全て共通です。ただ、放火罪というのは故意に行った場合に問われ、罪は格段に重くなります。失火罪は、いわゆる軽過失によって火を放ってしまったという場合で、罰金のみが科されます」

「その2つの間にある『重過失失火』は、重過失によって火を放って物を焼失してしまったという罪で、故意ではないが故意に近いようなところにある。そのため、重過失失火の場合は法定刑として3年以下の拘禁刑、150万円以下の罰金となります」

2人死亡、ビル2棟が燃えた「結果は重大だが…」

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―――今回の火災では2人が死亡し、ビル2棟が焼けました。それを踏まえ、重過失失火罪の中での罪の重さについてはどう見ていますか?

「これは非常に難しい。例えば『重過失致死』まで問われれば、つまり人が2人亡くなっていることの因果関係があると判断されれば、公判請求になると思います」
「ただし今回は、燃えていく過程の中で亡くなったのではなく、消防隊員が(業務として)自ら危険な所に入り消火活動をしているため、因果関係が切れる可能性がある

「結果(2人死亡など)は重大なのですが、タバコのポイ捨てという行為がどれほど悪質な行為なのかどうか。可燃物の中に放り込んだのであれば話は別ですが、可燃物と一定離れているようなところで捨てたタバコが転がっていって火災発生に至ったという場合であれば、行為と結果はかなり乖離していますから。最終的には検察が量刑を判断しますが、いろいろ迷うところはあるだろうと思います」

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