熊本県で最大震度7を観測した地震から1か月。災害関連死の疑いがある人を含めて38人が死亡、住宅被害は5万3800棟を超えます。

先週には初めて仮設住宅が完成したほか、熊本県などによりますと最大で約10万8000戸に及んだ断水もすべて解消されたということです。

政府が生活や産業の再建のための1478億円の支援パッケージをまとめるなど少しずつ復旧に向けた道のりが進みつつありますが、いまなお2400人あまりが避難所生活を送っています。

MBS米澤飛鳥解説委員が、被災地のいまを取材しました。

自らも被災しながらかき氷をふるまう「一生忘れない」

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地震発生からまもない8月はじめ、MBS「よんチャンTV」は八代市で山崎洋江さん(78)と出会いました。

(山崎洋江さん)「(Qきょうは何をする予定ですか?)かき氷です。氷が冷凍室に入っていて溶けてしまうしもったいないから」

地震の影響で山崎さんが営む居酒屋は建物が傾き店内は物が散乱。自宅も建物の倒壊はまぬかれたものの、家の中は壁や天井が落ちたほか、家具が倒れるなど大きな被害を受けました。

そうした状況の中でも山崎さんは「自分がいまできることを」と、溶けずに残っていた氷で「かき氷」をつくり、地域の人に無料でふるまっていました。

【熊本地震から1か月】15年営んだ店の廃業を決断 自宅は「準半壊」で解体の補助得られず 被災地が抱える“これから”への不安「1500億円支援」のあり方は
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(山崎洋江さん)「はいコーラ」
(子ども)「ありがとうございます」
(客)「一生忘れない。いままで食べたかき氷のなかで一番おいしいかも」

被災から1か月 山崎さんはいま――

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山崎さんはいまどう過ごしているのか。8月30日、自宅を訪れるとボランティアによる片付け作業が行われていました。

(山崎洋江さん)「もう助かっていますよ。(夫と)2人じゃもうどうもできんけんですね。この人たちがいるだけでだいぶ違います」

夫と2人暮らしの山崎さん。

先週金曜日にようやくボランティアが入り、自宅の片付けが始まったといいます。

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(山崎洋江さん)「畳も外してしもてこうなっています。ここも茶碗なんかすごかったけど、全部片づけてくれた」

自宅に住むのは危険と判断 「インスタントハウス」に避難

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倒れていた大きな棚や食器は片付きましたが、天井ははがれ落ちたままです。

外壁も崩れ屋根にも被害が及んでいることから山崎さんは、このまま自宅に住むのは危険だと判断。親戚の勧めもあり、自宅の庭にドーム型の簡易住宅「インスタントハウス」を建ててもらいました。

(山崎洋江さん)「これはね、おとといぐらいに建ったんですよ。クーラーが効いていますよ。このシートを敷いて、あと布団を敷けば寝られるかなという感じ(Qはじめて中に入ったときどう思いました?)うわー涼しいと思ったんですよ」

“これから”に抱える不安

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ただ、これからの生活には不安があるといいます。

(山崎洋江さん)「この家が準半壊(一部損壊)になっているんですよ。半壊にならないと町から補助がでないんですよ」

自宅を解体したいものの、経済的負担とどう折り合いをつけるか頭を悩ませています。

15年営んだ店とのお別れ そして…

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また、15年間営んできた居酒屋も10月に解体されることが決まりました。

(山崎洋江さん)「(Qお店は?)もうしません。借金してまでしようという気はなかです」

それでもめげることなく、夫が所有していたキッチンカーでたこ焼きを売りたいと前向きです。

(山崎洋江さん)「私の所のたこ焼きは評判なので。

また来てください、そのときは」

地域密着型のスーパーが閉店へ「毎日のように来ていた」惜しむ地域住民

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地域で親しまれてきたスーパーマーケット「カガミユーウマート」も、営業を続けながら廃業を決断した事業者のひとつです。

地元の人たちが毎日のように通う地域密着型のスーパーマーケットで、店内には生活用品から食料品、日用品、贈答品まで幅広く並び、地域住民にとって欠かせない生活の拠点となっていました。

地震直後、地元住民からの「食べ物や飲み物が欲しい」という声を受け、店舗側は片付けもままならない発災2日後から一部営業を再開しました。

しかし、地震の影響で冷蔵設備などが大きな被害を受け、生鮮食品はほとんど扱えない状態となっており、空の棚が寂しく並んでいます。発災当時も停電が起き、夏の暑さも重なって商品を維持できず、泣く泣く廃棄せざるを得なかったといいます。

店内で買い物をしていた地元住民に話を聞くと、「毎日のように来ていて、ここに来たら買い物だけでなく誰かに会えるから来ていた」と話し、閉店を惜しんで涙を流す人もいたといいます。

憩いの場だった2階フロアは壁の一部が落ち什器が散乱

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店の許可を得て、立ち入り禁止となっている2階フロアへ上がると、被害の大きさがより鮮明になります。階段の踊り場は壁にひびが入り、一部が剥がれ落ちていました。

かつて100円ショップが入居していた2階フロアは、ケースなどが散乱し、天井の一部が落下。現在は閉鎖され、100円ショップの商品は1階に移して販売されています。

隣接するゲームコーナーとともに、子どもからお年寄りまでが集い楽しむ「地域コミュニティの場」となっていたようです。

同店では、9月6日に営業を終了するということですが、現在扱っている商品がなくなるまで、なるべく営業を続けたいと、地域に寄り添う姿勢を示しています。

支援の壁となる「融資」と「給付」の違い

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被災した事業者に対して、日本政策金融公庫の「災害復旧貸付」の制度があり、小規模事業者には最大3000万円、中小企業には最大1億5000万円などの融資枠が用意されています。しかし、これらはあくまで返済義務のある「貸付」です。

神戸学院大学の中野雅至教授も、この制度の限界を指摘します。

無利子を謳っていても根本は貸付、つまり借金であり、返済不要の直接給付の比重が低い支援パッケージでは、先行きが見通せない中で多額の負債を抱えて設備投資をすることは極めて難しいのが現実です。

「立て直してまでは厳しい」苦渋の決断を語る社長

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カガミユーウマートの片山孝治社長は、廃業を決めた理由について次のように語りました。

(カガミユーウマート 片山孝治社長)「建物の損傷が非常に激しく、特に2階の100円均一コーナーなどは、天井が落ちてきてしまっています。それに1階も冷蔵庫が壊れたり、配管が壊れたり、浄化槽も壊れてしまいました。それで、『立て直してまでは厳しいかな』という私の判断で、廃業を決めました」

修繕には「おそらく数億円もかかる」見込みで、融資を受けたとしても投資の回収や返済が困難であると判断したといいます。

地域住民からは「考え直してほしい」「辞めないでください」「これから私たちはどこに買い物に行ったらいいの?」といった声が寄せられており、社長自身も「本当につらいです」と苦渋の胸の内を明かしました。

被災者に寄り添うきめ細かな支援の必要性

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地震から1か月が経過し、地域コミュニティの拠点となってきた場所がまたひとつ失われようとしています。

政府は1500億円規模の「支援パッケージ」を閣議決定し、事業者の復旧費用について「最大4分の3を補助する」方針などを示していますが、具体的な開始時期はまだ決まっていません。

避難生活の長期化や事業再開の断念など、被災者が抱える事情やニーズは多種多様です。それぞれの状況に合わせた、よりきめ細かな支援が今まさに求められています。

(2026年8月31日 MBSテレビ「よんチャンTV」より)

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