18世紀、ベネチアのピエタ慈善院には女性だけのオーケストラが存在した。フード付きの赤いドレスにアイマスクで姿を隠した女性たちが演奏し、彼女たちの音楽を楽しんだ貴族たちが慈善院に献金するという怪しげなシステムが成立していた。

 ピエタ慈善院の赤ちゃんポストに捨てられた主人公チェチリアは成長し、教師として赴任したヴィヴァルディに才能を見いだされ、バイオリニストとして開花していく。
 一生オーケストラを続けるか、貴族に気に入られて結婚するか。慈善院という鳥籠で育った少女たちの運命は、その2択しかない。不自由を拒否する権利さえ有さない彼女たちの境遇は時代のせいか、社会のせいか。
 天才ヴィヴァルディの自由な創造の中、精神を解き放つ少女の姿に「次、恋する相手は天才がいい」が頭をよぎる。(桜坂劇場・下地久美子)
◇桜坂劇場で上映中
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