日銀は金融政策決定会合で、政策金利を現行の0・75%程度から1・0%程度に引き上げることを決めた。
 引き上げは昨年12月以来。
金利1・0%は31年ぶりの高い水準だ。会合は植田和男総裁が入院中で欠席という中で開催された。
 代理で会見した内田真一副総裁は「原油価格の上昇を起点に企業間取引における価格転嫁がやや早いスピードで進み、今後、幅広い品目の価格上昇に波及していく可能性がある」と述べ、想定を超えて物価が上昇するリスクに対応する考えを示した。
 食料品の相次ぐ値上げや家賃高騰など長引く物価高で国民生活の負担は増大している。物価上昇に歯止めをかけるためにも政策金利の引き上げは妥当と言えよう。
 だが、タイミングとしては遅きに失した感がある。日銀は前回4月に会合を開いたものの、利上げを見送った。
 利上げが遅れれば物価抑制効果は薄れる。ガソリン減税など政策要因を除いて算出した4月の消費者物価は前年同月比で2・8%上昇まで拡大した。現状において政策金利は実質的にマイナス金利であり、それが株価や不動産の高騰の一因となっている。
 実体経済を超えた「バブル景気」が崩壊すれば、スタグフレーションを招く温床ともなりかねない。物価を抑え、景気安定を確かにするためにも、機を逃さず手を打つ必要がある。

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 利上げの一方、日銀は国債の買い入れを段階的に減らす措置の停止を決めた。2027年4月以降、月2兆円のペースで買い入れを続けるという。
 インフレ懸念や財政悪化への警戒感から不安定な動きを続けている国債市場に配慮した格好だが、国債の正常化が遅れる懸念もある。
 かつて「異次元緩和」の下で日銀は、長期金利を低く抑える目的で大量に国債を購入してきた。その結果市場機能が失われ、国の借金を日銀が穴埋めする「財政ファイナンス」とも言える状態を招いてきたのである。
 国債市場への過度の介入は財政規律を損ない、結果として円安リスクを招く。
 極めて深刻な財政状態にもかかわらず、高市早苗首相は「基礎的財政収支の単年度黒字化」という健全化目標を見直そうとしている。減額停止の決定は、こうした動きを助長しかねず納得しがたい。
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 国民生活を守り、持続的で安定的な経済成長を目指す上で、政府と日銀は「両輪」でなければならない。
 預金金利がプラスに働く一方、利上げは住宅・教育ローン、事業資金の金利の引き上げにつながる側面もある。
 大学生が利用する一部の奨学金へも影響が及ぶという。
 31年ぶりの水準だ。
家計や企業が耐えられるのか。悪影響が広がるようであれば本末転倒だ。
 政府には中低所得層や中小零細企業などへの目配りが求められる。 
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