自民党の小野寺五典税制調査会長が、社会保障国民会議の実務者会議で、飲食料品の消費税率を2027年4月から1%に下げる議長案を示した。会議ではほとんど議論していない案を唐突に提示したのだ。
来年4月以降2年間に限り食品消費税を8%から1%に下げ、併せて所得に連動した給付を行うという中身である。給付には消費税1%相当分の年6千億円を充てることから、食品消費税は「実質ゼロ」になるとする。
2月の衆院選で自民と日本維新の会は、食品消費税の2年間ゼロを掲げた。
ただ税率をゼロにすると小売店のレジ改修に1年程度かかるため、政府は半年ほどで済む1%案を有力視している。
1%案は公約との整合性と、スピードを優先した「奇策」というわけだ。
国民会議は、給付付き税額控除や消費税減税について話し合うため設置された。
実務者会議には与野党8党が参加し、会議は8党の合意形成に重きを置いてきた。これまで減税で打撃を受ける業界から聞き取りなどを重ねてきたが、税率1%を具体的に話し合ったことはない。
それだけに今回の議長案の出し方は拙速で、野党は一斉に反発している。
国民会議の名に値するのか。
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そもそも消費税を巡る各党の考えには大きな隔たりがある。
中道改革連合は恒久的な減税を求め、国民民主党やチームみらいは減税には反対で中低所得者への現金給付を先行させるべきだと訴えている。
物価高が家計を圧迫する中、減税はもちろん助かる。とはいえ2年後に税率が元に戻り「大増税」となった時、どのような副作用が起きるのか。
高市首相は減税を「給付付き税額控除」導入までの「つなぎ」と位置付ける。だが全国民が対象の消費税減税と、働いて所得を得ることが支援の前提となる給付付き税額控除では効果が異なる。「つなぎ」と言えるのか。
そして何よりも大きな懸念は、減税する消費税が社会保障を支える財源だということだ。1%案で年間4兆円超の税収が失われる。
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消費税は年金、医療、介護、子育て支援の「社会保障4経費」に充てられている。
危惧するのは減税の穴埋めも、所得連動給付の財源も曖昧なまま進んでいることだ。
社会保障の安定は国家百年の計。
高市首相は秋に見込む臨時国会に関連法案を提出したいとの意向を表明しているが、結論を急ぐべきではない。まして強行突破を図るようなことがあってはならない。

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