広大な米軍基地を抱えたまま、「南西シフト」という名の自衛隊増強計画が、地元住民への十分な説明もないまま急ピッチで進む。
 那覇駐屯地を拠点とする陸上自衛隊第15旅団を「師団」に格上げする改正自衛隊法が成立した。

 沖縄に自衛隊が配備されたのは1972年の復帰の年。陸自の第1混成団は、2010年に第15旅団に昇格し、それが26年度中には、さらに規模の大きな師団となる。
 これによって主要部隊の「普通科連隊」は、現在の1個から2個に倍増。隊員数は約1・7倍の3900人規模となる。単に人数が増えるだけでなく、司令部の機能も強化される。
 新たに105ミリ砲を登載した「16式機動戦闘車(MCV)」も装備。並行して石垣駐屯地への電子戦部隊、与那国駐屯地への対空電子戦部隊の配備も進める。与那国には30年度に地対空ミサイル部隊も置かれる。
 自衛隊の増強計画は、中国の海洋進出や「台湾有事」への対応など安全保障環境の変化に対応したものだが、暮らしへの影響は避けられない。
 おととし、うるま市のゴルフ場跡地で持ち上がった陸自の訓練場計画は、生活環境を無視した一方的な押し付けだとし、住民の激しい反対に遭い、断念に追い込まれた。
 旅団の師団化に合わせて陸自が新たな訓練場探しを加速させるのは確実だ。沖縄にとっては目に見える極めて大きな負担増となる。

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 米軍が沖縄の施政権を排他的に行使していた復帰前、沖縄では軍事上の必要性が全てに優先された。
 今はどうか。負担軽減は遅々として進まず、日米の作戦上の必要性が各分野において優先されている。
 米軍と自衛隊の「相互乗り入れ」とも言うべき軍事一体化は急速に進行。米軍は民間空港や民間港湾を頻繁に利用するようになった。
 今月22日には米軍普天間飛行場に、陸上自衛隊の輸送機オスプレイ3機が初めて飛来した。
 宜野湾市は、普天間飛行場への外来機の飛来禁止を求めてきた。陸自のオスプレイについても事前に沖縄防衛局に飛来禁止を申し入れたという。
 沖縄の過重負担と犠牲を前提にした安全保障政策を受け入れることはできない。
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 今月下旬に始まった多国間訓練で、米軍は中距離ミサイル発射装置「タイフォン」を海上自衛隊鹿屋航空基地(鹿児島県)に展開した。昨年、米軍岩国基地(山口県)に日本国内では初めて持ち込み、今回は自衛隊基地に対象を広げたことになる。
 恒久配備への布石ではないかとの懸念が広がる。

 中距離ミサイルの配備は、中国との間で「ミサイル軍拡」を招き、この地域をますます不安定にする。そうなれば沖縄への影響は避けられない。
 日中対話を復活させ、歯止めなき軍事化からの転換を図るべきだ。
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