SACO合意を反故(ほご)にする運用が続いている。日本政府は沖縄の基地負担軽減という合意の趣旨に立ち返って毅然とした対応を取るべきだ。

 米軍嘉手納基地の旧海軍駐機場の使用頻度が増している。
 旧駐機場を巡っては、1996年の日米特別行動委員会(SACO)最終報告で「騒音軽減イニシアチブの実施」として「嘉手納飛行場における海軍航空機の運用および支援施設を、海軍駐機場から主要滑走路の反対側に移転する」と明記された。
 住宅地から離れた場所に新駐機場が完成したのは2017年1月だ。
 しかし、米軍は3週間もたたないうちに旧駐機場の使用を再開。以降、地元の抗議も意に介さないような運用が続いている。
 特に今年2月10日以降は延べ278機が使用し常態化している。
 嘉手納基地の北西にある旧駐機場は、嘉手納町の住宅地に近接している。周辺住民は長時間の騒音や排ガスのひどい悪臭に悩まされており、使用停止は地元の長年の要望だ。
 この問題に対して木原稔官房長官は23日、解決に向けて米側と協議中としつつも「具体的にどのような場合であれば、当該イニシアチブの趣旨に沿うか示すことは困難」と述べた。
 旧駐機場の使用を容認するような発言であり、合意を結んだ政府として当事者意識に欠ける。
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 背景の一つには、日米合同委の合意内容や議事録が原則非公開となっていることがある。
 旧駐機場の使用について過去に米軍側は09年の日米合同委の合意を根拠とした。

 当時、日本政府側は「米軍との認識は異なる」と明確に否定したものの、使用については黙認してきた経緯がある。
 だが、新駐機場の建設では日本側が157億円を負担した。にもかかわらず移転後も旧駐機場を駐機場として使用するのでは道理に合わない。
 小泉進次郎防衛相は「問題の早期解決に向けて(米側との)協議を加速化していく」とするが、進捗(しんちょく)は判然とせず協議の中身もいまだに明かされていない。
 新駐機場の完成からすでに9年半が過ぎている。これ以上、解決が先延ばしにされることがあってはならない。
 政府は目に見える形で解決策を早急に示すべきだ。
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 嘉手納では米軍パラシュート降下訓練も常態化している。
 降下訓練はSACO合意で原則、伊江島補助飛行場で行うことになっているにもかかわらず、である。
 合意の趣旨を真に実現するためには、日米合同委の在り方の見直しも必要だ。このまま官僚任せでは負担軽減が進まないことは明らかである。
 米軍がSACO合意を反故にし、さらに日本政府がそれを「追認」するなら主権を放棄したに等しい。

 合意の原点に立ち返り協議すべきだ。
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