高市早苗政権初となる防衛白書が公開された。防衛力の抜本的強化と防衛費増額により経済波及効果を促すという高市カラーが色濃く出た内容となった。

 中国軍空母が繰り返し太平洋に進出し、活動を拡大している実態を具体的に記載。中国の軍事動向を前年同様、「深刻な懸念事項で、これまでにない最大の戦略的挑戦」と強調した。
 ロシアによるウクライナ侵攻を例に挙げ、各国がドローンなど、大量で安価な無人アセット(装備品)や人工知能(AI)を使った「新しい戦い方」への取り組みを進めていることにも焦点を当てた。
 周辺の安全保障環境の厳しさを強調することで防衛力変革の根拠にしようとする意向が明確に出ている。
 中国はロシア軍との合同演習で太平洋に向けて潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射実験を行うなど軍備増強や軍事行動をエスカレートさせている。
 これに対し防衛省は無人アセットの本格導入に乗り出している。南西地域への配備を念頭に、島しょ部への侵攻を大量の無人機で食い止める沿岸防衛体制「SHIELD(シールド)」を構築する。攻撃能力を持つ無人潜水艇の開発、導入の検討にも入った。
 だが、対抗する形で軍事力を強めるだけでは軍拡のジレンマに陥る。高市首相の台湾有事発言以降、7月に茂木敏充外相が中国の王毅外相と立ち話をしたが、関係修復の糸口はつかめていない。軍事偏重では逆に危機を高めかねない。対話のきっかけをつかむ努力を続ける姿勢が求められる。

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 白書では「継戦能力」確保の重要性にも触れた。
 国内での防衛装備の生産・技術基盤の確立や、十分なミサイルの確保、民間インフラを使った多重的な物流・補給ネットワーク構築の必要性を挙げた。
 県内では、ミサイルを保管する弾薬庫の増設や、物資、人員の輸送力確保を目的とした空港、港湾の「特定利用」の指定が進む。
 継戦能力として県内の施設が組み込まれれば、南西諸島全体が「補給基地」と位置付けられ、標的対象となりかねない。
 7月まで在沖米海兵隊第3海兵遠征軍の司令官を務めたロジャー・ターナー氏の日米同盟の意義に関する寄稿も掲載された。「海兵隊は今も、これからも『今戦う』準備ができている」と即応態勢を誇示した。住民を無視した、まさに軍の視点そのものだ。
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 政府は安保関連3文書改定で在日米軍との指揮統制の強化などを盛り込む方針で、白書にも基地の日米共同使用や共同訓練の頻度向上が明記された。
 だが、嘉手納基地でのパラシュート降下訓練の恒常的な実施や、旧海軍駐機場での騒音を伴う運用など、県内では日米の「合意」に反する基地使用が相次いでいる。地元は抗議を無視するような米軍の対応に強く反発している。
 沖縄の基地負担を顧みずひたすら防衛力強化にまい進する安保政策は認められない。
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