知事選で自民党や日本維新の会など6党が推す古謝玄太氏が勝利したことを受け、政府・与党内から来年度の沖縄関係予算を3千億円超に増やす話が出ている。
 同予算は内閣府が先月末、概算要求を2897億円と決定したばかりだ。
当選の「ご褒美」的増額だとしたら何とも露骨だ。説明責任が求められる。
 これまで県は3千億円台を切実に求めてきた。
 しかし、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設反対を掲げた翁長雄志氏が知事に就任して以降、目に見えて減っている。
 玉城デニー県政では、この5年間、当初予算で2600億円台が続いている。県や市町村が主体的に事業を行うための「一括交付金」は今回の概算要求で前年度から5億円増えたが、ピーク時の半分以下にとどまる。
 高市早苗首相は15日、当選後早々に上京した古謝氏と面会。「経済、安全保障の面で大きな勝利だ。古謝氏と連携し、沖縄を元気にするため力を尽くす」と経済振興に意欲を示したという。
 増額について黄川田仁志沖縄担当相は「そうした事実関係はない」としたものの、「新知事の意見を聞きながら今後の予算編成過程で適切に対応したい」とも述べた。
 翁長氏が2014年の知事選で初当選し上京した際、当時の安倍晋三首相ら政府首脳は面談に応じなかった。会談が実現したのは4カ月も後のことだ。

 実に対照的な対応だ。
■    ■
 透けて見えるのは、基地問題と沖縄振興を結び付ける「リンク論」だ。
 かつて高市首相も振興策と移設計画とのリンクを明言したことがある。
 沖縄担当相時代の06年「移設問題は進まなくても丸ごと(振興策を)国で受けますという形にはならない」と述べた。
 しかし、そもそも沖縄関係予算は、沖縄が抱える地理的・歴史的な特殊事情による課題を解消し、自立的発展を図るためのものである。
 返還後の経済効果を見れば、米軍基地の集中が沖縄の発展を阻害しているのは明白だ。
 知事が基地を認めるか否かが、予算に影響するのは理屈に合わない。
 政府のこういった対応は「沖縄は基地の見返りにたくさんお金をもらっている」との誤解を与えることにもつながっている。
■    ■
 一方、現実には辺野古新基地建設の地元である久辺3区への直接補助や、県を通さない特定事業推進費など、振興体制が「基地維持装置」として働いてきた側面がある。
 沖縄関係予算が「基地維持の貢献度に応じて」となれば自治はゆがむ。地域の自立的発展と自治は表裏一体だ。自治が機能しているからこそ、自立した経済発展を成し遂げることができる。
 
 第6次沖縄振興計画は来年度6年目の折り返しにさしかかる。制度の再検証が必要だ。
編集部おすすめ