上海の街角でもサッカーワールドカップが盛り上がっている。協賛メーカーの巨大な看板が目につき、ショッピングセンターでは関連イベントが開催されている。
今回のワールドカップは参加チームが32から48へ16チーム増加し、総試合数も64から104へと40試合も増え、過去最大規模の大会となる。ただ、その48チームの中に中国はいない。中国がこれまでワールドカップの舞台に立ったのは2002年の日韓大会の1回だけだ。日本と韓国が開催国枠で予選を免除され、棚ぼた式にアジア枠が回ってきた、いわば“おまけ”のようなもの。FIFAランキング94位の中国は今回もアジア最終予選の壁を突破できなかった。中国男子サッカーは、「いくら投資や強化を行っても、一向に結果が出ず期待を裏切り続ける組織や対象」の比喩として用いられたりもする。
なぜ、これほど人気スポーツなのに、「弱い」のだろうか。その理由として挙げられるのが「実質的競技人口」の少なさだ。日本であれば、学校の部活動や地域のクラブチームで中高生になってもサッカーを続ける環境があるが、中国では事情が大きく異なる。
現在の中国社会の底流にあるのは、大学入試を頂点とする凄まじい学歴社会だ。12歳前後を境に、子どもたちは熾烈な受験戦争へと駆り立てられ、スポーツは「勉強の合間の息抜き」程度に格下げされてしまう。組織に所属して公式戦を戦い抜くような本格的な競技生活を継続できるのは、あらかじめエリートとして選抜されたごく一部の選手だけとなり、選手層が薄いのだ。
人口が減り始めた中国では人型ロボット(ヒューマノイド)の発展スピードが著しい。すでに人型ロボットによるマラソン大会や、サッカー大会も開催されている。昨年は転んでばかりだったロボット運動会だが、2026年のハーフマラソンでは、なんと人間の記録を抜いた。サッカーも、投資の分だけ強化されているはずだ。もしサッカーワールドカップに男子・女子に続き「ロボット」が開催されれば、中国観衆は夢にまで見た中国代表の世界一を見られることだろう。
野村義樹(のむら・よしき) 中華圏歴22年目。妻、娘2人と上海在住。現地のビジネスや生活をメルマガ「中カツ!通信」にて配信中。
【KyodoWeekly(株式会社共同通信社発行)No.24からの転載】











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