できるリーダーは何が違うのか。キーエンス元営業マンのあさひさんは「組織の成果を最大化し、部下を勝たせる思考だ。
これを象徴する5つの言葉がある。いずれも、キーエンス在籍時代に上司が授けてくれたもので、今でも私の仕事観の根幹を成している」という――。
※本稿は、あさひ著『凡人が天才に勝つ最強の営業』(SB新書)の一部を抜粋・再編集したものです。
■キーエンス上司の“5つの金言”
私が凡人からはい上がる過程で折れそうな心を何度も救い、間違った方向へ進もうとする足を正しい道へと戻してくれたのは、彼ら上司が何気なく、しかし明確な意図を持って投げかけてくれた言葉たちでした。
凡人が天才に勝つ最強の営業』(SB新書)では、私がキーエンス在籍時代に上司から授かり、今でも私の仕事観の根幹を成している「5つの金言」をご紹介しています。
本稿では、この中で、どの企業、業種、世代にも共通して役立つであろう、2つに絞って届けたいと思います。
これらは単なる名言ではありません。組織で成果を最大化し、部下を勝たせるための究極のリーダーシップ論であり、あなたがこれから目指すべきプロフェッショナルの完成形でもあります。
どうぞ、背筋を伸ばして読んでください。
■「何でも聞いてね」ほど無責任な言葉はない
「聞こうかどうか迷った時点で聞いていいですよ」
新人が配属された直後、よく言われる言葉があります。
「わからないことがあったら何でも聞いてね」
一見、優しい言葉ですが、実はこれほど無責任な言葉はありません。新人は「何がわからないかがわからない」状態であり、「こんなくだらないことを聞いたら、無能だと思われるのではないか」という恐怖と常に戦っているからです。

結果、「自分で調べてから聞こう」と悩み始め、30分間マニュアルを読んだりネットサーフィンしたりして、結局答えが出ずに時間を浪費する。本書で解説した脳内リソースの浪費がここで発生します。
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キーエンスの上司は、この迷っている時間を「コスト」だと断じます。そして、明確なアルゴリズムを提示しました。
「聞こうかどうか迷った時点で聞いていいですよ」
この一言の威力は絶大です。部下から「判断する」という重荷を取り除いたからです。
■「組織全体」のマイナスを考える
「これを聞くべきか?」と考える必要はありません。「迷った」という事実が発生した瞬間に質問することが「正義」だと定義されたからです。
「迷っている時間が無駄だし、それ自体が会社にとってマイナスなんだ」
このフィロソフィーが浸透しているため、キーエンスの営業所では常に質問と回答が高速で飛び交っています。
「すみません、この商談のネクストアクションについてなのですが……」

「それはAだ。なぜならBだから。次!」

「ありがとうございます!」
この圧倒的な回転数。
1秒でも悩む時間があれば答えを知っている人間に聞いて、早く顧客のために動く。
本書で「顧客目線」の重要性を説きましたが、社内のコミュニケーションにおいても変なプライドや遠慮を捨て、最短距離で正解に辿り着くことこそが、組織全体としての「正義」なのです。
■「上司が忙しそう」→報告は待つべきか
「私が忙しいかどうかは、あさひさんは判断しなくていいです。時間を優先して聞いてください。私たちの目的は会社の売上を最大化することです」
そして最後にご紹介するのが、私の仕事観を決定づけたあまりにも合理的で、清々しいほどプロフェッショナルなこの言葉です。
あるとき私は緊急で決裁が必要な案件を抱えていましたが、上司のカレンダーは会議で埋め尽くされていました。「会議が終わってからにしよう」と待っていた私に、あとからそのことを知った上司が静かに、しかし力強く放った言葉です。
「私が忙しいかどうかは、あさひさんは判断しなくていいです」
ガツンと頭を殴られた気がしました。私は上司に気を使うことを仕事だと勘違いしていたのです。それは間違いでした。それは「社内向きの仕事ごっこ」に過ぎません。
上司は続けました。

「私たちの目的は会社の売上を最大化することです」
ここには、一点の曇りもありません。
私の役割:売上を作ること

上司の役割:部下が売上を作るための障害を取り除くこと
もし私の案件が売上に繋がるなら、上司の会議を中断させてでも承認を得ることが、組織として「正しい」行動なのです。
■「目的」にあわせて行動を最適化する
「上司が忙しいかどうかは、上司自身のマネジメントの問題であり、部下が勝手に忖度して心配する領域ではない。部下は自分の役割に100%集中しろ。もしそれで上司がパンクしたら、それは上司の能力不足だ」
そう言い切れる強さ。感情論や浪花節を排し、「目的」という一点において、すべての行動を最適化する。
本書で「キーエンスの強さは、個人の感情を徹底的に排除した仕組みにある」と述べましたが、その仕組みを運用しているのは、誰よりも熱く、そして誰よりも冷静に目的を見据える、こうした傑出した個人たちだったのです。

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あさひ(あさひ)

元キーエンス営業

1991年、兵庫生まれ。慶應義塾大学大学院卒。大学院卒業後、キーエンスに新卒入社。研修時は部内同期でトップクラスの成績(基礎テスト1位、技術テスト3位)を収めるも、配属後は一転して成果が出ず、2年目には最低評価を受け、どん底を経験する。そこからプライドを捨て、電話や質問の一つ一つを徹底的に研究。
「凡人がいかにして成果を出すか」という再現性にこだわり抜いた結果、同下期に新商品販売ランキングで全国トップ10に2度入賞。才能に頼らず、泥くさい工夫ではい上がるための営業メソッドを確立。著書に『凡人が天才に勝つ最強の営業』(SB新書)がある。

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(元キーエンス営業 あさひ)
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