※本稿は、工藤孝文(監修)、ホームライフ取材班(編)『「腎臓にいいこと」、ぜんぶ集めました。』(青春出版社)の一部を再編集したものです。
■外で昼食を食べるときのベストチョイス
ランチはいつも外食。あるいは、今日は外出するから、飲食店で昼食を済ますことになる。こういった場合、腎臓の検査数値が気になる人は、どのようなメニューを選択すればいいのか。
できれば避けたいのは、糖質の量が多くなりがちな丼物。栄養が糖質に偏って、野菜類が少なく、しかも塩分を摂り過ぎてしまうラーメンなどの麺類も、腎臓が喜ぶメニューではない。
外で昼食を食べるときのベストチョイスは、魚がメインの和定食だ。さっぱりした白身魚ではなく、EPAやDHAをたっぷり摂取できる脂ののった青魚なら、なおさらいい。
野菜料理の小鉢がふたつほどついた「一汁三菜」タイプであれば、もう言うことはない。
■肉から摂取するカロリーと脂肪分は抑える
病気の連鎖の仕方を示す「メタボリックドミノ」という考え方がある。悪い生活習慣が肥満を生み、それを起点として、まるでドミノ倒しのように負の連鎖が起こり、腎臓病を含めた生活習慣病を続けて発症するというものだ。
肥満になると、尿にたんぱく質が混じる「たんぱく尿」が出やすくなり、腎不全のリスクも高まる。腎臓病の予防にも、その引き金になる肥満を防ぐことはとても大切なのだ。
腎臓病につながるメタボリックドミノを防ぐには、糖質とカロリーの多い食べものを摂り過ぎないようにしなければいけない。ここでは肥満の原因のひとつ、肉のカロリーについて考えてみよう。
肉は重要なたんぱく源だが、食べ過ぎると、場合によっては脂肪の摂り過ぎになり、カロリーオーバーになって肥満を招く。さらに、血中コレステロールが増えて血管を傷め、これも腎臓の機能を低下させてしまう。
肉のカロリーを減らすには、脂身を食べないのがいちばんだ。肉の主成分であるたんぱく質は、糖質と同じく1g当たり4キロカロリー。
これに対して、脂質は1g当たり9キロカロリーと、2倍以上もカロリーが高い。
■バラ肉でも鶏モモ肉でもなくこれを
文部科学省の「日本食品標準成分表」から、100g当たりの肉の部位別カロリーを見てみよう。牛肉の場合、和牛のバラ肉は472キロカロリーもあるが、モモ肉なら脂身つきでも235キロカロリーとぐっと低い。
豚肉もバラ肉が366キロカロリーなのに対して、脂身つきモモ肉は171キロカロリー、脂身なしなら138キロカロリー。鶏肉は皮つきモモ肉が190キロカロリーある一方、ササミなら98キロカロリーとぐっとヘルシーだ。
肉の部位を変えるだけで、カロリーと脂肪の摂取をだいぶ抑えられる。数字で見てみると、こんなに違うの?とちょっと驚くのではないか。
ただ、あっさりした肉ばかりでは味気ないのなら、週に1回は好きな部位を存分に食べる。まだ腎臓の働きが悪くないのなら、そんなゆるめの食べ方でもいいだろう。
■腎臓が喜ぶおやつ
おやつをつまんで、ちょっとひと息。楽しい時間ではあるが、食べるものによっては血糖値が急上昇し、腎臓の毛細血管が悲鳴をあげるかもしれない。
避けたいおやつは、糖質たっぷりのお菓子。甘い洋菓子や和菓子はもちろん、甘くないせんべいも糖質のかたまりなので、空きっ腹で食べたら血糖値が爆上がりする。
とはいえ、おやつを全面禁止というのも味気ない。週に1回、あるいは3日に1回というふうに、自分を少しだけ律して味わうといいだろう。
腎臓の負担が小さいおやつとしては、カカオポリフェノールの抗酸化作用を得られる高カカオチョコ、ビタミンEやα-リノレン酸が豊富なミックスナッツ、食物繊維たっぷりで意外に血糖値が上昇しないふかしイモなどがおすすめだ。
ただ、いずれも食べ過ぎるのはNG。ひと口、ふた口程度でやめておこう。
■心臓病の死亡率が3分の1以下になる料理の種類
1950年代、米国では生活習慣病を発症する人が増えていた。そこで、ミネソタ大学などが世界の国々の食生活を調査。その結果、地中海沿岸のイタリアなどの国々では、米国と比べて心臓病による死亡率が3分の1以下しかないとわかった。
なぜ、これほどまでに違うのか? 研究の結果、その秘密は「地中海食」にあるとされた。どのような食事なのか紹介しよう。
・毎日食べる……野菜、果物、全粒粉、オリーブオイル、豆類、ナッツ類、ハーブやスパイス
・週に数回食べる……魚、シーフード、鶏肉、卵、チーズ、ヨーグルト
・月に数回食べる……牛肉、豚肉、お菓子などのデザート
ほかに、ワインを適度に飲む習慣なども加えられている。
地中海食で最も特徴的なのは、前菜から主食まで、オリーブオイルがたっぷり使われていることだ。野菜をよく食べ、肉より魚を好むのも見逃せない。
こうした食事を日常的に取っていると、オリーブオイルの主成分であるオレイン酸、魚のEPAやDHA、野菜に含まれている抗酸化物質などの働きにより、血管の健康が保たれて、心臓病を発症しにくいのだろう。
■運動を加えると腎臓病リスクが52%低下
地中海食が血管に好影響を与えるのなら、毛細血管の集合体である腎臓にも有効ではないか。その推論を確かめたのが、米国国民健康栄養調査の14年間のデータを解析した研究だ。
それによると、地中海食をよく食べるグループは、最も食べないグループと比べて、慢性腎臓病を発症するリスクが20%近く低かった。
さらに、日ごろから地中海食を好み、積極的に運動もした場合、慢性腎臓病のリスクが約52%も低下することがわかった。
今日からでも、オリーブオイルを使った魚料理や野菜料理をよく食べ、毎日、適度な運動で汗を流してはどうだろう。
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工藤 孝文(くどう・たかふみ)
内科医
工藤内科院長。福岡県みやま市の同医院で地域医療を行う。糖尿病内科、ダイエット外来、漢方医療を専門として、テレビや雑誌などでも活躍。
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(内科医 工藤 孝文)

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