2026年6月に、プレジデントオンラインで反響の大きかった人気記事ベスト3をお送りします。国内政治部門の第1位は――。

▼第1位 政治家に最も向いていない人を首相にしてしまった…天皇すら懸念を口にされる高市早苗がいますぐやるべきこと

▼第2位 高市首相はもう詰んでいる…"国会答弁でのウソ"で露呈した「中傷動画疑惑」よりも深刻な問題

▼第3位 習近平に特大ブーメラン…中国の「新型軍国主義」批判を黙らせた小泉進次郎大臣の"反論"を米側が絶賛した理由

■首相就任8カ月ですでに政権末期の様相
最近の高市首相の言動を見ていると、政治家に必要な資質に欠けていると思わざるを得ない。
「政治の本質的な資質は三つある。情熱、責任感、そして見識(判断力)」
そういったのは『職業としての政治』の著者マックス・ウェーバーである。
高市首相はかつてバンドを組んでドラムを叩いていたそうだ。今でもむしゃくしゃする時は自宅の防音装置のある部屋でドラムを思い切り叩いて発散するというから、情熱は持ち合わせているようだ。
しかし、自分の口から出た言葉への責任感や、それがどんな意味を持つのかという判断力が著しく欠如しているように思える。
もう一つ加えれば、高市首相には「国民の声を聞く」という、政治家ならば最低限の資質さえ持ち合わせていないように思えてならない。
政権が発足してから8カ月が経った。初の女性首相誕生に沸き、衆院選では多くの有権者が高市自民党に投票した。だが、その熱気は蜃気楼のごとく消え去り、気がつけば政権末期の様相を呈している。
それもこれも身勝手に振る舞い、熟議もせず、先の見通しもないままに独断専行してきたからである。
■国民理解を求める姿勢がゼロ
食品の消費税をゼロにすると公約した。
そのための「国民会議」なるものをつくったが、1%かゼロかでストップしたまま。実現したとしても、早くて来春といわれる。現在、物価高に悩む多くの国民は「遅すぎる」と失望している。
トランプのアメリカがイランに仕掛けた戦争で、オイルショックが起きることを恐れた高市首相は、「国家備蓄」や「民間備蓄」の石油放出を断行した。これ自体は非難されることではないが、アメリカとイランとの合意がもつれれば、イラン側はホルムズ海峡封鎖を続けるかもしれない。備蓄が尽きてしまう可能性もなしとはしない。
また、原油高の影響は数カ月遅れてくるから、さらなる物価高が国民を苦しめることになるといわれる。高市政権は国民の不安を軽減するために、どのような物価対策や家計支援策があるのか、はっきり国民に示すべきだが、「やります、やります」というだけだ。
そうかと思えば、日本維新の会と連立を組む時の合意とはいえ、「衆議院議員の45議席削減」を十分な議論もないまま、高市首相は「比例代表のみで45議席削減」案での取りまとめを自民党執行部に指示したという。
議員定数削減は、自民党の「政治とカネ」問題への批判をかわし、「身を切る改革」をアピールして国会運営の主導権を握る狙いが高市首相にあるといわれる。
■拙速な皇室典範改正
だが、比例枠が大きく削られると、得票率の低い中小政党が議席を獲得することが難しくなり、結果として二大政党や一部の大政党に有利な議会構成になりやすくなる。多様な価値観やマイノリティの視点が国政から排除される恐れがある。

自民党内からも反発の声が出ていて、終盤国会での政権運営の“火種”にもなりかねないといわれている。これこそ熟議をして、国民の多くの理解と納得を得てからやるのが当たり前ではないのか。
拙速といえば、皇室典範改正もその一つである。案は二つ。一つは、女性皇族が結婚後も皇族の身分を保つ。二つ目は、旧宮家系の男系男子を養子に迎える。
だが一案では配偶者や子の身分は明記されず、二案でも「必要に応じて一定年数ごとに見直す」と記されているといわれる。
喫緊の課題である「安定的な皇位継承のための方策」については、引き続き検討するというだけ。
国民の7~8割が望んでいるといわれる「愛子天皇」については、「男系男子」に固執する高市首相の意向もあり、全く議論もされず斬り捨てられてしまったのである。
秋篠宮は59歳の誕生日に行われた記者会見で、女性皇族が結婚後も皇室に残る案について触れ、「皇族は生身の人間」と述べた。
これは、個々の皇族も人間としての立場や感情がある。当事者たちの声を聞くべきではないかという意だと、私は受け取った。

この発言は大きな話題になったが、時の首相が動いたという話は聞こえてこなかった。
■天皇から出た衝撃発言
今の宮内庁長官の黒田武一郎氏は、高市首相が総務相時代の部下であり、親しい関係にあるといわれている。だが、高市首相が黒田長官を通じて、天皇や秋篠宮に会って話を聞いたという報道は寡聞にして聞かない。
しかし、6月13日、天皇皇后がオランダ・ベルギー公式訪問に先立って行われた会見で、天皇は高市首相を震え上がらせる衝撃発言をしたのである。
「記者会から『議論の受け止め』について問われた陛下は『制度にかかわる事項については私から言及することは控えたい』とされながらも、『皇室のあり方や活動の基本は国民の幸福を常に願い、国民と苦楽を共にすること』だと前置きされ、続けて、『こうした皇族数の確保のあり方についての議論においても、国民の皆さんの理解が得られるものとなることを望んでおります』と、お気持ちを述べられたのです」(宮内庁担当記者=週刊新潮6月25日号
これは、さる宮内庁関係者によれば、
「今回は大きく踏み込まれ、くれぐれも『国民の総意』にそぐわないような案にはしないでほしいと、国会や政府に対して念を押された格好です。つまり、現在進行している案が、多くの国民の理解を得られているとは言えない状況を、陛下は十全に把握なさっているわけです」(同)
■「浩宮の乱」以来の波紋
天皇が皇太子時代の2004年5月10日、雅子さんが宮内庁内で酷いいじめに遭い、適応障害を発症したことについてこう言及したことがあった。
「外交官の仕事を断念して皇室に入り、国際親善が皇太子妃の大切な役目と思いながらも、外国訪問がなかなか許されなかったことに大変苦労していました。雅子のキャリアや、そのことに基づいた雅子の人格を否定するような動きがあったことも事実です」
これは「浩宮の乱」と呼ばれるほど大きな波紋を呼んだ。その時も、皇太子が欧州歴訪前の記者会見の席だった。
私は、天皇は娘の愛子さんを継承者にしてほしい、といっているのではないと思う。愛子さんは24歳、秋篠宮家の佳子さんは31歳である。
彼女たちの幸せを考えたうえで、国民の理解を得られる皇室典範改正をしてくれといっているのだと推察する。

天皇は「娘は私が守る」と決意しているのであろう。天皇は「国民の理解がなければ、天皇制は存続できない」と警告を発したと、私は思っている。この言葉を伝え聞いた高市首相は頭を抱えたのではないか。
天皇による発言は、感度の鈍い大メディアでも大きく取り上げられた。
この言葉の裏には、「私が愛する娘のためなら、私は何でもやる覚悟がある」という決意が込められていることは間違いない。
■義理の孫が中国留学
さらに高市首相には「内憂」があるという。
女性セブン(6月11日号)が高市首相の夫・山本拓氏の孫が中国へ留学したと報じた。
記事では〈実は、義理の息子にあたる福井県の山本建県議の子供が、今年から中国の名門大学に留学したそうなのです〉と断片的な情報が書かれた。
この“孫”とは、元衆院議員の夫・山本拓氏(73)が、前妻との間にもうけた長男で福井県議を務める山本建氏(42)の一人息子を指す。高市首相からすると義理の孫にあたる。
週刊新潮(6月18日号)は以下のように報じている。
さる福井県政関係者が明かすには、『昨年の秋ごろ、建さんが高校を卒業する息子さんの進路について、第一志望は中国最高峰の高等教育機関への留学だと言っていてね。
それを聞いた後援者が“今はタイミングが悪い。絶対に行かせてはダメですよ”などと、建さんに忠告したのですが、能天気な彼は意に介さず、今春に息子さんを中国へ送り出してしまった。今年9月から正規の留学生として現地の名門大学に通う予定で、今はプレスクールで語学の研修を受けているそうです』」
さすがにこれはまずいだろう。いくら義理の祖母とはいえ、一国の首相で、その上、中国嫌いときているのだ。祖母の面目丸潰れである。
■実は首相の夫の一族は親中派
地元・福井県では、建氏のみならず、父である拓氏も含めた「山本一族」が“親中派”なのは、とっくの昔から知られた話なんだという。
週刊新潮によれば、
「拓さんの父親が中国通でね。昔から私費で中国の留学生を大勢、鯖江市に受け入れたりしていたんですよ。そういう家庭で拓さんも建さんも育ったから、子どもが中国に留学したいと思うのは自然なことでしょう」(拓氏の親族)
県政関係者もこう話している。
「建さんの息子は“中国志向”が強く、中国で学びたいと自ら言ったそうです。建さんは“息子の意思を尊重する”として、実父・拓さん、義理の母となる高市さんに相談せず事後報告だった。血がつながっていないとはいえ、現役首相の親族としての配慮がない人なんです」
これを知った高市首相の激怒する光景が見えるようである。

新潮本誌は山本建氏に直撃している。その答えは?
「私は子どもが自ら決めた進路を応援しているだけです。私も独立しているので、父(拓氏)などに相談はしていません」
堂々としている。義理の母親より彼のほうが政治家に向いているのでは?
■安倍第一次政権の末期と似ている
さらに高市首相の持病「関節リウマチ」が悪化しているという報道が相次いでいる。
人工関節を入れているそうだが、週刊新潮は、反対側の股関節の症状が進行している可能性(都賀整形外科リハビリクリニックの渡辺淳也院長)や、「『老年期の自律神経失調症』という可能性もある」と、小山嵩夫クリニック院長(同)といった指摘を掲載している。
さらに、目に見えるやつれや不眠、喫煙が、彼女の健康を蝕んでいる可能性も指摘されているのである。
一部メディアでは、安倍晋三元首相が第一次政権の時、「消えた年金問題」で追い詰められ、参議院選で敗れたため、「持病の悪化」を理由に辞任した時と似てきているという永田町すずめの声を報じている。
縷々(るる)高市政権の危うい現状に触れてきたが、最も深刻なのは週刊文春や週刊現代が連続して報じている「早苗陣営が総裁選、衆院選で、相手候補を中傷する動画を作り、流していた」疑惑と、「サナエトークン」疑惑である。
中傷動画もサナエトークンも、高市首相自身が関わっていたかどうかは、原稿を書いている時点では不透明だが、彼女の公設第一秘書・木下剛志氏が“全く関与していない”というのは考えにくい。
当初、これまでスキャンダルが出た政治家の逃げ方は、いつも「秘書がやったことで、私は知らなかった」として、秘書を首にして幕引きを図るというものだから、高市首相もそうするのだと思われたが、そうではなかった。
■文春の音声問題でわかった秘書との関係
当初は、「事務所の職員に確認したが、ネガティブ情報発信は一切行っていない」(5月8日)「週刊誌の記事を信じるか、秘書を信じるかというと、私は秘書を信じる」(5月11日)と秘書を庇い、威勢がよかった。
ところが、6月3日に文春が、木下秘書とオンライン上でやり取りしていた松井健氏(木下氏と頻繁にやり取りをして中傷動画を作ったと告白した)との「音声」を有料の電子版で公開すると、高市首相の発言はブレ続けるのである。
「有料会員になろうとは思わなかったので(音声を)確認できなかった」(6月4日)「(音声が)秘書本人のものかどうか判断するのは難しい」「(秘書の音声にしては)違和感がある」(6月5日)
そしてついには、こういったのである。朝日新聞デジタル(6月5日 16時50分)から引用する。
《首相は「昨日、夜中から何度か電話をした。今朝方、ようやくつかまり、本人に話をした」と答弁。「キレられましたよ。でも、私は音声を確認した」と述べた。
首相の説明によると、自らが「オンラインに出ているやつを聞いてみて」と伝えたところ、秘書は「なんで私が有料会員にならなきゃいけないんですか。知らない人(松井氏=筆者注)の主張を一方的に書き立てるストーリーを作っている、そんなところに対してなんで私がお金払わなきゃいけないんですか」などと反論したという。》
■中傷に関与していた事実関係は揺るがない
これを聞く限りこの2人の主従は逆転していると思わざるを得ないが、木下秘書はあくまでも松井氏に「会ったことも話したこともない」といっていると、高市首相は答弁しているのである。その後、「面会したことはない」といい方を変えたが……。
だが文春の報道にも致命的な「誤り」があることが判明した。松井氏側から提供された中傷動画の中に、総裁選で小泉進次郎氏を揶揄した後に映る高市首相の画像が、総裁選後のポスターだったことが判明したのである。
やはり総裁選で、小泉氏を揶揄した後に映る高市首相の画像が、「FRIDAY DIGITAL」が今年の1月30日に掲載した写真と一致したなど、4つの重大な間違いがあったのだ。
だから週刊誌の報道などいい加減なものだという、高市首相側の高笑いが聞こえてくるようだ。
そのため文春は疑義が出た関連動画を一時停止したが、木下秘書側が作成したといわれる「TikTokのアカウントに載っていた3本の中傷動画『真実の政治』には時系列上の疑義は一切確認されなかった」(週刊文春6月25日号)としている。
さらに文春は、「『真実の政治』の動画やシグナルのメッセージなどが存在している以上、高市陣営が他候補の中傷に関与していた事実関係は揺らぐものではない」と言明した。
■声紋鑑定の結果は…
文春は、6月5日の電子版で、松井氏と木下秘書との「Zoom」会議の音声を公開していたが、その音声の「声紋鑑定」を、警察の捜査などにも協力する「日本音響研究所」に依頼した。
音声鑑定の結果は「同一人物の音声と推定してよい」と出た。鈴木創所長は「高市首相が『高い声で違和感があった』と述べたのは、パソコンのスピーカーを通すと、実際に会った時より高く聞こえるからでしょう」と話している。
サナエトークン(SANAE TOKEN)は、高市早苗首相の名前や肖像を冠して2026年3月に発行された暗号資産(ミームコイン)だが、こちらも高市首相側は、「全く存じ上げない。どのようなものか知らされてない」と全否定している。
週刊現代(7月6日号)では、この問題を追っているジャーナリストの河野嘉誠氏のコメントを掲載している。河野氏によると、松井健氏という人物は「はじめから総理の名前を暗号資産ビジネスに利用するために、高市事務所に近づいたとみられる」とし、「木下氏は総裁選を機にノーボーダーから資料を受けたり、松井氏とオンライン会議をする関係になっていった」と、2人は利害が一致して協力関係にあったことは事実だとしている。
■許されるものではない
また、松井氏が文春や共同通信で実名告発をし始めたのは、河野氏によれば「松井氏が代表の株式会社neuは、トークンが取引所で流通する前に、『優先受領権』や『優先購入権』を提供するとして、投資を募った。(中略)松井氏と近しい関係者は、『少なくとも15億円程度が集まっていた』と語る」が、これは刑法上の詐欺罪になる恐れもあり、その件から目をそらすために「告発」を始めたのではないかとみている。
私は、松井氏という人間を全く知らない。永田町によくいる類いの人物のようだが、だからといって高市首相の「虚偽答弁」が“免罪”になるものではない。
文春報道が事実であれば、総裁になろうという者が、相手候補を中傷する動画などをSNSで拡散していたのだ。由々しき問題である。
今後、「自分がやったのではなく、秘書が勝手にやった」と訂正したとしても、「トランプ大統領はしょっちゅう相手を誹謗中傷しているではないか」と詭弁を弄しても、許されるものではない。
■首相がやるべきは「身を引くこと」
高市首相が自分の「レガシー」を残したいというのであれば、選挙中のSNS活用について、早急に基本方針を作り、便所の落書きのような誹謗中傷合戦にならないようにする法案を成立させ、それを「レガシー」にして辞任すればいいのではないか。
さらに、政治資金規正法の不記載・虚偽記載で高市首相と会計責任者の木下剛志氏の2人が奈良地検に刑事告発されたといわれる。告発したのは神戸学院大学の上脇博之教授。
高市首相は“ガラスの天井”を打ち破って初の女性首相に就いたのだから、そのレガシーが泥まみれにならないうちに、身を引くことを進言したい。

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元木 昌彦(もとき・まさひこ)

ジャーナリスト

1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任する。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)『編集者の教室』(徳間書店)『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)、近著に『野垂れ死に ある講談社・雑誌編集者の回想』(現代書館)などがある。

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(ジャーナリスト 元木 昌彦)
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