▼第1位 年収でも学歴でも家庭環境でもない…2万人の実証研究が証明した「人生の幸福度」を決める"第3の要素"
▼第2位 「能力はあるが器が小さい人」VS「能力はないが器が大きい人」会社を腐らせる最も危ないリーダーはどっちか
▼第3位 「印鑑離れ」で倒産寸前→3万本売れた"猫のハンコ"で大復活…手仕上げ印鑑店で本当に起きた"保護猫の恩返し"
人間の幸福度は何で決まるのか。ワンキャリア取締役の北野唯我さんは「人が幸福を感じるために必要な要素は、所得や学歴よりも『選択』に大きく左右される」という――。
※本稿は、北野唯我『仕事を好きになる技術』(朝日新聞出版)の一部を再編集したものです。
■なぜ「ホワイト企業」でも病んでしまうのか
「今の仕事が、どうしても好きになれません」「毎日が消化試合のようで、夢中になれるものが何もないんです」「給料に不満があるわけではないけれど、このままでいいのかと焦燥感ばかりが募ります」
私は職業柄、20代から30代のビジネスパーソンから、キャリアに関する相談を受ける機会が多くあります。
彼ら彼女らの多くは、非常に真面目で優秀です。「会社に行きたくない」と無断欠勤するわけでもなく、与えられた業務は期限通りにそつなくこなします。
ハラスメントが横行するようなブラック企業に勤めているわけでもなく、むしろ福利厚生の整った「ホワイト企業」にいる若手から、こうした相談を受けることのほうが多いくらいです。
しかし、持て余すエネルギーの持って行き場がないかのように、その瞳はどこか冷めていて、自分自身の現状に対して鬱屈としたモヤモヤを抱えている心模様が伝わってきます。
■「仕事がつまらない」の正体
あなたも、日曜日の夜にスマートフォンを眺めながら、似たような感情を抱いたことはないでしょうか?
激しく「この仕事が憎い!」「今すぐ会社がなくなればいい!」と怒り狂っているわけではない。過労で心身をすり減らしているわけでもない。
ただ、適温のぬるま湯の中にずっと首まで浸かっているような感覚で、目の前の仕事に対して「消化試合」のような、あるいは「終わりのない作業」のような虚無感を感じてしまう――なぜ、私たちは仕事に対して、このような「ぬるい絶望」や「無気力」を抱いてしまうのでしょうか?
多くの人は、その原因を「仕事の環境」や「自分自身の適性」に求めます。
「配属ガチャに外れて、希望の企画部署に行けなかったからだ」「今のルーティン業務が、自分の本来やりたいことと合っていないからだ」「会社の方針が古く、上司が自分のアイデアを理解してくれないからだ」
たしかに、それらもモチベーションを下げる要因の一つでしょう。
結論から言いましょう。
仕事がつまらない、夢中になれない最大の理由は、仕事の業務内容そのものではなく、あなたの中に「選択肢がない」という状態、あるいは「自分で選択肢を決められていない」という状態が慢性的に存在しているからです。
正確には、「自分には選択肢がない」と認知しているからです。
■「人間の幸福度」に関する研究
世界中で行われている「well-being(ウェルビーイング/心身ともに満たされた幸福な状態)」に関する研究でも、このことを裏付ける非常に興味深いデータが出ています。
人が幸福を感じるために必要な要素を突き詰めていくと、大きく3つの条件に行き着くそうです。
1つ目は、「健康」であること。2つ目は、良好な「人間関係」があること。そして三つ目が、「選択肢と意思決定(自分で納得して選べたという感覚)」があることなのです。
たとえば、神戸大学と同志社大学が国内約2万人を対象に行った大規模な実証研究(「所得や学歴より『自己決定』が幸福度を上げる」─神戸大学ニュースサイト)でも、この事実が明確に示されています。
「進学や就職などの進路を、自分の意思で決定したかどうか(自己決定)」という要素が、実は「所得の多さ」や「学歴の高さ」よりも、人の幸福度に強い影響を与えていることがデータで証明されているのです。
健康と人間関係が重要であることは、誰でも直感的に理解できるでしょう。体が痛ければ何も楽しめませんし、職場でいじめに遭っていれば地獄です。
しかし、多くの人が見落としがちでありながら、実は最も人間のメンタルを左右するのが、この3つ目の「選択肢(自己決定感)」なのです。
■自分で選択できないゲームは苦しい
想像してみてください。あなたが最新のRPG(ロールプレイングゲーム)をプレイしているとします。
広大なオープンワールドを自由に歩き回り、仲間にするキャラクターを選び、戦うモンスターを自分で決め、自分だけのストーリーを作っていけるゲームなら、寝る間も惜しんで何十時間でも熱中できるでしょう。
しかし、どんなにグラフィックが美しくても、「右に行け」「次はこいつと戦え」「この武器しか使ってはいけない」「ここではこのセリフを言え」と、システム側からすべての行動を強制され、決められた一本道をただ進むだけのゲームだとしたらどうでしょうか。
自分の意思が介在する余地が1ミリもないゲームをやらされたら、どんなに壮大な世界観でも、開始30分でコントローラーを壁に投げつけたくなるはずです。仕事もまったく同じです。
「自分にはこの会社で、この仕事をするしか道がない」「この仕事を辞めたら、自分のキャリアは終わってしまう」「上司の言う通りに動くしか、生き残る術がない」
もしあなたが心の底でそう思い込んでいたとしたら、どうなるでしょうか。
■自分が「自分の仕事の舵」を握ろう
上司から理不尽な要求をされても、言うことを聞くしかない。
なぜなら、あなたには「逃げる」という選択肢も、「別のやり方を試す」という選択肢も、「別の道を選ぶ」という選択肢もない(と思い込んでいる)からです。
人間にとって「選択肢がない」という状態は、猛烈な息苦しさと、魂の窒息を生み出します。
逆に言えば、「自分は、自分の意思であえてこの道を選んでいる」という状態さえつくることができれば、極論、仕事の内容そのものが泥臭いテレアポであれ、単調なエクセル入力であれ、人はそれなりに前向きに取り組むことができるのです。
自分自身が自分の仕事の舵を握っている。そんな感覚を持てるからです。
「やりがい」や「面白さ」を外の世界に探す前に、まずは自分自身の現在地を確認してみましょう。
あなたは今、自分の意志でその場所に立っていますか? それとも、「ここしか居場所がない」と思い込んで、見えない鎖に繋がれたような気持ちで働いていますか?
仕事に対するモヤモヤを解消するための第一歩は、「仕事の環境や内容を変えること」ではなく、あなた自身の頭の中にある「選択肢の欠如」という根本的なバグに気づくことなのです。
(初公開日:2026年6月24日)
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北野 唯我(きたの・ゆいが)
ワンキャリア取締役
兵庫県出身、神戸大学経営学部卒。就職氷河期に博報堂へ入社。ボストンコンサルティンググループを経て、2016年、ワンキャリアに参画。
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(ワンキャリア取締役 北野 唯我)

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