※本稿は、森本真理子『親子ではじめるAI学習法』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
■親は子どもの「好き」を知らない⁉
お母さんたちと話していると、「子どもと会話がはずまない」「毎日、子どもに対して、『起きて! 早くご飯食べて! 出発するよ! 寝る時間よ!』といった指示命令ばかりになっている……」という悩みをよく耳にします。
どうでしょう、皆さんはいかがでしょうか? ママ友とはいつまででもしゃべっていられるのに、子どもと日常でじっくり会話するって、じつはたいへんなんですよね。
子どもと会話を楽しむ習慣がないまま思春期に突入すると、会話をしない関係で大人になってしまうことも。そうなってから後悔しては遅いですよね。
親子の楽しい会話を増やすためには、子どもの「好き」を知ること。好きなことなら子どもはいくらでも話してくれますから。
でも、子どもの「好き」がわからないという親御さんってけっこう多いんです。子どもの好きが、親が好む対象ではない時は特に……(わたしも含め)。
■「ゲームばっかりやって」と言う代わりに
たとえば「うちの子はゲームが好き」ということはわかっていても、「そのゲームの何が好きなのか」「なぜ、他のゲームではなくそのゲームが好きなのか」はわからない。だから、「この子はゲームばっかりやってる」と思うんですよね。
「ゲーム」「YouTube」とひとくくりにして、つい「そんなものばっかりやって」と言ってしまう。そうすると、子どもはだんだん話してくれなくなります。親に伝えても理解してもらえない、否定されるという経験がたくさん積み重なると、本音や悩みだって、言ってくれなくなってしまうんです。
本当は、その子なりの「好き」の理由があってゲームをしたりYouTubeを見たりしているんですよね。
わたしは、発達心理学を学んだ時に初めてそれを知りました。子どもによって興味関心が異なるので、同じものに熱中していても「好き」の理由、「好き」の中身は全員違うそうです。
「好き」の理由や中身を知ることで、子どものことをもっと深く知ることができるし、子どもに寄り添った考え方ができるようになります。そして、子どもとの楽しい会話も増やすことができる。
「またゲームばっかりして」ではなく、「そんなにゲームに集中するなんてすごいね。そのゲームの何がそんなにおもしろいの? 知りたいな」と声をかけられるようになります。
親が自分の好きなことを否定しないとわかったら、子どもはどんどん話し出します。はじめはうまく説明できないかもしれませんが、アウトプット力がついてくると、説明も上手になっていきます。
■「ポケモンの何がそんなに楽しいの?」
わたしも、次男に対して「またポケモンやってる」と思っている時は会話が弾まなかったのですが、「ポケモンの何がそんなに楽しいの?」「ポケモンのおもしろさをママにも教えて」と言うと、「あのさ、○○ポケモンっていうのがいてね、それで……」と次男のおしゃべりが止まらなくなりました。
正直言って、そんなにしゃべる子だと思っていなかったのですが、ポケモンについて親が興味をもってくれるとわかってから、家族の会話が格段に増えました。
ただ、「子どもの『好き』を知る」と言っても、はじめからそううまくはいきません。子どもは語彙が少ないので、自分の思いを的確な(親が納得するような)言葉で説明することができないんです。
そうすると、親は理解できずに、またイライラしてしまい、子どもはますます話さなくなる……という負のスパイラルに。
これもAIに助けてもらいましょう!
■AIで子供の「好き」を深掘り
子どもの「好き」を深掘りし、子どもとの会話を膨らませるためにどうしたらいいか。これもAIの力を借りるとうまくいきます。
AIにゲームやYouTubeのタイトルを言って、その内容がわかるの? と思うかもしれません。AIはゲームをやったりYouTubeを見たりはしていないので(当然ですが……)、詳しい内容を把握しているとは限りません。ですが、インターネット上にある情報は網羅できるので、レビューや評価、コメントは知ることができます。その上で解説してくれるので、タイトルを伝えればたいていのことは大丈夫です。
わたしがAIに相談したのは、こんな内容です。
【AIに投げた質問】
うちの小学2年生の次男は呪術廻戦の2次創作物がすごく好きで、あとマイクラの実況中継とかもすごく好きなんだけど、なんでそれが好きかよくわかんないんだよね。なんか彼のわたしが見えていない良さとか、どういう質問したら息子からいっぱいアウトプットが引き出せるかみたいなのをちょっと考えてほしい。
次男の「好き」を分析した上で、その「好き」を持つ子にどんな声掛けをするといいかを教えてほしいと言いました。あと、「見えていない良さ」という言葉で、次男の隠れた能力や可能性を知りたいと伝えました。
すると、こんな回答が返ってきました。
■AIに悩み相談したらナイスな回答が
【AIからの回答】
すごくいい視点だと思う。「なんでそれが好きか分からない」って、実は“その子の内面の入り口”に立ってる状態なんだよね。結論から言うと、息子さんはたぶん「物語×想像×他人の視点」を楽しむタイプの可能性が高い。
① なんでそれが好きなのか(仮説)
●呪術廻戦の二次創作が好き
これはかなり特徴的で、ただのアニメ好きとはちょっと違う。
考えられるのは:
* 「公式じゃないストーリー」を楽しめる→想像力・補完力が強い
* キャラの「もしも」を考えるのが好き→感情理解・共感力が高い
* 世界観を広げるのが好き→創作寄りの思考
つまり
→「与えられたものを見る」より
→「広げたり作り替えたりする」のが楽しいタイプ
●マイクラ実況が好き
これもただのゲーム好きとは違う
* 他人のプレイを見る→視点の切り替えが得意
* ストーリー性のある実況が好き→"流れ"や"展開"に興味がある
* 自分がやるより「観察・理解」が好きな可能性
→「自分で操作する」より
→「他人の工夫や物語を見る」のが楽しい
②見えていない“良さ”たぶん今見えてる以上に、こんな力がある:
* 想像力(かなり強い)
* キャラや人の気持ちを読む力
* 「別の可能性」を考える柔軟さ
* 観察力(人のやり方を見る)
これって将来的には
* 企画
* クリエイティブ
* ストーリーテリング
* 人の気持ちを扱う仕事
とかにめちゃくちゃつながるタイプ
まずはじめに、「すごくいい視点」と言って、質問したわたしのことを認めてくれるところがいいですよね! 悩んでいること自体を“その子の内面の入り口”に立ってると肯定してもらってホッとしました。
そして、どんな思考特性があって、どんな可能性があって、将来どんな仕事への適性があるかまで提示してくれました。
「ただのアニメ好きとは違う」「ただのゲーム好きとは違う」なんて言われると、「えっ⁉ そうなの⁉」とうれしくなります(親は、なんだかんだいっても子どもがほめられるとうれしいものです)。
ただ単にゲームやYouTubeばっかりと思っていたのが、こんなに秘めた能力があったなんて! (感動)「子どもをどうほめればいいかわからない」と悩んでいる親御さんにとって、心強い回答ですよね。
■わが子の素敵な一面をAIに教えてもらった
小さい頃から身近にいる我が子のことは、よく知っているようで実は近すぎて見えていないところがたくさんあるんです。ママ友と話していると、隣の芝生は青く見えてつい「うちの子なんて……」と子どもの短所やできないことばかりに目がいきませんか?(わたしはついそうなっていました……)
でも、わたしには見えていなかった、わが子の素敵な一面をこんなふうにたくさん説明してもらえると、「うちの子、もしかしたら天才⁉」なんて思いたくなったりする変化があらわれます。
そうなんです、AIはわたしたち親を、思いっきり幸せな親バカに変えてくれるのです(笑)。そして自分の子どもの良い面が見えるようになると、子どもが同じようにYouTubeを見ていても、子どもにかける言葉がガラっと変わり、子どもとの関係性がどんどん良くなっていったりします。
そんな分析の次は、子どもを理解し、子どものアウトプット力も強化できる「すぐ使える質問例」。
■AIが教えてくれた、子供に聞くといい質問
●すぐ使える質問例
1. 具体を引き出す
* 「その話のどのシーンが一番好き?」
* 「その実況で一番すごいと思ったところはどこ?」
→好きの“正体”が見える
2. 感情を引き出す
* 「そのときどんな気持ちになる?」
* 「なんでそこがワクワクすると思う?」
→内面にアクセス
3. 想像させる(これ超重要)
* 「もし自分がそのキャラだったらどうする?」
* 「その後の話、自分ならどう続ける?」
→このタイプの子はここで一気にしゃべり出す可能性が高い
4. 比較させる
* 「その実況者と別の実況者、何が違うと思う?」
* 「このキャラとあのキャラ、どっちが好き? なんで?」
→言語化能力が伸びる
5. ちょっとだけ創作寄りに振る
* 「新しい呪術キャラ作るならどんなの?」
* 「マイクラで最強の家作るならどんなの?」
→本質的な楽しみ方に直結
目的別に質問が整理されているのはいいですね。ただ質問を羅列するのではなく、「何を引き出すために質問するのか」が明確になっています。
「言語化能力」を伸ばしたいと思ったら、「その実況者と別の実況者、何が違うと思う?」「このキャラとあのキャラ、どっちが好き? なんで?」と聞けばいい。きっと子どもは、一生懸命教えてくれることでしょう。
わたしが次男に聞いて、おもしろいように会話が弾んだのは、
「その実況を聞いて、一番うぉーーって興奮したのはどこ?」
「もし動画の続きを自分で作るとしたら、どんなありえない展開にするの?」
という質問でした。これは、AIの回答をちょっとだけ自分の言葉にアレンジしたものです。
■AIに「3つの質問」を提案してもらう
親が、ゲームやYouTubeの内容を100%理解できなくてもいいんです。「すごいね!」と言って子どもの視点や考えをほめてあげて、会話がはずみ、お母さんに話すのって楽しい!と感じてもらえたら、それでOKなんですから。
子どもが好きなものを知り、好きな理由を知り、それを認めてほめてあげる。そうすれば子どもはどんどん自分で成長していける。
親にできることって、実はそれだけで十分じゃないかなと思います。ただ、忙しい親がそんな心のゆとりや、気持ちを持つってすごくむずかしいんですよね(わたしもそうです……。一人で頑張ろうとして、しんどくなって、逆に子どもに強くあたってしまったり)。
だから、忙しい親こそ、ちょっとAIに助けてもらいましょう。ほめるポイントや励ますポイントを教えてもらい、アウトプットを引き出すための質問を提案してもらいます。
わたしはいつも「3つの質問を出して」と言うようにしています。3種類あれば、どれかは子どもにヒットするので、手を替え品を替えいろんな質問ができます。
子どもの「好き」を知ることは、会話を増やすだけでなく勉強にも応用できます。次の項目で、学びを促進する学習スタイルについて話しますが、「好き」からその子の得意な学習スタイルを探ることもできるのです。
■実験♪ 実験♪ の気持ちでトライ
前出のAIの答えの中に「キャラの『もしも』を考えるのが好き」とありましたが、たとえば「国語の音読を、好きなキャラでやってみよう!」と言えば、キャラの声色を使って楽しくできるでしょう。
その時に「キャラで読んでも勉強にならない」なんて思わなくていいんです。それまでまったく音読に関心を持たなかった子が、キャラを乗せることで積極的に音読をするなら、第一段階としてはそれでいいのではないでしょうか。
0が1になるならまずは成功!くらいに思っておくと楽になります。全部がうまくいかなくてもOK! 実験♪ 実験♪ の気持ちでトライすると楽しめます。
子どもとの会話は、量も質も大事。たくさん話すだけでなく、その子の潜在能力が開花するような声掛けや問いかけができれば、話すごとにどんどん成長していきます。
親子の会話をAIに頼るなんて……と思う人もいるかもしれませんが、頼らずに会話が減っていくよりは、AIでも何でも使って今のうちに会話を増やしておく方が大事だと思います。
会話の広げ方って、じつは難しい。特に相手が子どもの場合は。AIの提案した質問をヒントの1つとして、子どもと「好き」でたくさんつながれたらいいですよね。
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森本 真理子(もりもと・まりこ)
AIコンサルタント・親子AI活用講師
東京生まれ・東京育ち。早稲田大学政治経済学部を卒業後、ネット求人広告会社に入社。その後、税理士試験に合格。出産を機に約10年間、専業主婦として子育てに専念。7年前、夫の転勤で広島へ移住。現在は広島観光大使としても活動している。AI との出会いを機に、「まるで秘密道具のようだ」と衝撃を受け、文章・画像・動画・音楽など、あらゆる分野のAI 活用を学び始める。日々AI ツールを研究するなかで、周囲から「教えてほしい」という声が増え、2024年9月にAI コーチとして独立。現在は「AI ×学習法」をテーマに、個人・法人向けのセミナーを多数開催している。
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(AIコンサルタント・親子AI活用講師 森本 真理子)

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