コーチ・エィには「9Values」と呼ばれる行動指針があります。

「Gokigen!(ごきげん)」「Thinktogether」「Staycurious」――

一般的な企業の行動指針に並びそうな「顧客第一」や「挑戦」といった言葉はありません。


その代わりにあるのは、自分自身のあり方や、人との関わり方を表す言葉たち。

9つの言葉には、「未来に残していきたい、コーチ・エィが大切にしている考え方や哲学」が凝縮されています。

いまでは、人事評価や目標設定にも活用され、社員一人ひとりが日常的に触れていますが、「こうあるべき」と社員を縛るためのルールとして語られることはありません。

では、社員たちは9Valuesをどのように受け止め、日々の仕事や人との関わりの中で活かしているのでしょうか。

今回は篠原さん、松山さん、石川さんの3人に、9Valuesとの出会いから現在までの関わり方について聞きました。

見えてきたのは、「いつも体現できている人」の話ではなく、迷ったり立ち止まったりしながら、自分なりのあり方を選び続ける姿でした。

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左から順に、石川さん、松山さん、篠原さん

ー9Valuesー

自分のあり方を、自分で選ぶ。社員3人に聞く、9Valuesとの付き合い方




「何これ?」から始まった 9Valuesとの出会い

―皆さんは最初に9Valuesを見た時、どのような印象を持ちましたか。

松山

私は一言でいうと、「普通の会社じゃないな」でした(笑)。

私にとっての「普通の会社」では、「顧客第一」とか「社会にどう貢献するか」といったことが行動指針に入っています。

でも9Valuesにはそういう言葉がない。だから最初はすごく不思議でした。

篠原

私が初めに9Valuesを見たときの印象は、もっとストレートでしたよ。

「何これ?」です(笑)。


前職の金融機関では、「自分のあり方」みたいな話は、仕事の場であまり聞いたことがなかったんです。対してコーチ・エィは、自分たちはどうあるかを語る。

その発想自体が新鮮でした。

石川

私は新卒で入社したので、「会社のルールのようなものなんだろうな」と受け止めていました。

ただ、実際に働き始めると、9Valuesはルールや単なるスローガンではない、と思うようになりました。

評価の場面でも出てきますし、日常会話でも出てくる。

「Shareできてる?」とか「Thinktogetherでいこう」とか。本当に使われているんです。

篠原

私は、もう一つ印象深い体験があります。入社してすぐ受けた研修で行った「シェア」です。

コミュニケーションを体感するような研修があり、

その中で行うエクササイズでは必ず「感想をシェアしてください」と言われました。

その時の私は「きっと“正解の感想”があるはずだ」と思って、「正解の感想はなんだろうな」と周りの人たちの発言を様子見していました。


ところが、誰が何を言っても否定されない。

「そう感じたんですね」「そういう見方もありますね」そんなふうに受け取られていく。

正直、戸惑いました。でも同時に、「自分が本当に感じたことを言ってもいいんだ」とも思いました。

唯一絶対の正解があるわけじゃないという世界観が、とても面白いと思ったんですよね。

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一人ひとりの意見に価値がある

―皆さんが関心を持っているValueは何ですか。

石川

私は新卒で入社してから数年間、「Updateyourself」を選び続けていました。

知識も経験も足りないと思っていましたし、「早く成長したい」「一人前になりたい」という気持ちが強かったんです。

でも最近は、「Dogood for others」や「Share」の方が気になっています。

きっかけは、新人時代のある経験でした。

当時は会議に出ても正直ほとんど分からなくて(笑)。知らない言葉ばかりで、「私がここにいて意味あるのかな」と思うこともありました。

そんなある日、役員から「石川さんはどう思う?」と聞かれたんです。


分からないなりに感じたことを話してみたら、その意見をすごく丁寧に扱ってもらえた。

その時に、「今の私が感じていることも、その場への貢献につながるんだ」と感じました。振り返ってみると、自分が成長することだけが価値ではなかったんですよね。

経験の有無に関わらず、その時の自分だからこそ見えている景色があって、それを共有することにも価値がある。

そう思えるようになってからは、「Updateyourself」だけではなく、「Dogood for others」や「Share」にも自然と目が向くようになりました。

自分のあり方を、自分で選ぶ。社員3人に聞く、9Valuesとの付き合い方


松山

私は「Staycurious」と「Learnfrom others」です。

実は入社当初は、あまり得意じゃなかった。

前職で「正しい答えを出すこと」が求められていたし、実際、会議でも提案でも「これが正解です」というスタンスで話していました。

ところがコーチ・エィに来ると違う。

自分では自信満々で提案したことにも「そういう視点があるんですね」と返ってくる。

最初はかなり戸惑いました。

内心では、「いや、視点じゃなくて正解だけどな」と思っていましたから(笑)。


でも、その経験を何度も繰り返すうちに、自分の考え方が変わっていきました。

自分の意見も一つの視点でしかないし、相手の意見も一つの視点でしかない。

そう思えるようになると、人の話を聞くことが楽になったんです。

以前は違う意見を聞くと反論したくなっていましたが、今は「そういう見方もあるんだな」と思える。

私にとっては大きな変化でした。

篠原

私は「Thinktogether」です。前職との違いを一番感じたValueかもしれません。

以前の職場では、まず自分で考えるのが当たり前でした。ある程度完成させてから相談する。

だから入社したばかりの頃も、「整理してから行かなきゃ」と思っていたんです。

でもコーチ・エィでは違いました。何か課題があると、「まず話そう」なんです。


「まだ考えがまとまっていないです」と言っても、「大丈夫だから来て」と言われる。

最初は本当に不思議でした。でも今は、その意味がよく分かります。

一人で考えている時には見えなかったものが、誰かとの対話の中で見えてくるんです。

考えてみると、コーチ・エィではイベントなどの担当をするときも、アサインの最小単位が2人なんです。一人でアサインされることが無い。必ず、誰かと一緒にやる、一緒に考えるようになっている。

コーチ・エィにいると、「一人でできる人がすごい」という世界観から少し離れられる気がします。

ごきげんじゃない時こそ、立ち止まり選び直す

―9Valuesを体現されているように感じますが、実際には、そうできない時もありますよね。



篠原

ありますよ、もちろん(笑)。

私は「Drive your passion」が難しくなる時があります。

Drive yourpassionは、すぐに行動して、その役割になりきって、その役割や環境をとことんたのしむ、という姿勢を大切にする言葉です。



でも、新しい取り組みが始まった時に、「それ本当に進めるのか……?」と思うこともありますし、正直、気が乗らない時もあります。

それでも、前に進むしかありません。

だったら、いやいややるのか、ただやるのか、たのしんでやるのか、とことんたのしんでやるのか。

それは自分で選べると思っています。

石川

私は忙しくなると、「Think together」から離れてしまうことがあります。

結果的に遠回りになることが多いですし、本当は相談した方がいいと分かっているのに、一人で抱え込んでしまうんです。

自分で調べて、自分で考えて、自分で解決しようとする。相談する時間も惜しくなってしまう。

そんな時に、周囲の人から「何か困ってる?」「一緒に考えようか?」と声をかけてもらうことがあります。

それで、「あ、自分はまた、一人で頑張ろうとしていたな」と気づくんです。

いつでも「Think together」でいられるわけでもない。

だから、一人で考える自分と「Think together」の間を行ったり来たりする自分も認めながら、周囲のみんなとチームワークをとっています。

松山

私は圧倒的に「Gokigen!」です。

もともと何もなくてもずっとごきげんでいられるタイプじゃないですし、忙しくて余裕がなくなることもあります。

だから周りの人には、ごきげんに見えない時に「今、ごきげんですか?」って聞いてもらうことにしています。

だいたい「ごきげんじゃなかったわ…ありがとう」って答ることになりますが(笑)。

でも、言葉に出すと不思議なもので、「そうか、自分は今ごきげんじゃないんだ」と認識する。

以前までの自分は、「Gokigen!って常に明るくいなきゃいけないことなんだ」と思っていました。

でも今は違います。

ごきげんじゃない日があってもいい。イライラする日があってもいい。人間だから当たり前じゃないですか。

大事なのは、「今の自分はそうなんだな」と気づいて、自分は何に引っかかっているんだろうとか、何を気にしているんだろうとか、そうやって立ち止まることだと思います。

自分のあり方を、自分で選ぶ。社員3人に聞く、9Valuesとの付き合い方


―皆さんにとって9Valuesはどのような存在ですか。

自分のあり方を、自分で選ぶ。社員3人に聞く、9Valuesとの付き合い方


篠原

365日完璧な体現を目指さないといけないというものではなくて、「コーチ・エィの社員として自分は何を選ぶのか」を考えるための言葉だと思っています。体現できていないときもあると思いますが、自分がどういう状態にあるかを認識して、そこからもう一度選び直す。そのための拠り所が、9Valuesなんだと思います。

私にとって9Valuesは、仕事だけでなく、人生も豊かにしてくれるものです。

人との関わり方や物事の捉え方まで含めて、自分の世界が広がった感覚があります。

今では駅からオフィスまで歩いている最中に、「今日は誰の役に立てるだろうか」なんて自然に考えている自分もいます。

松山

私もそう思います。完璧に体現することではなく、迷った時や、Gokigenでいられない時に、立ち止まって自分のあり方を選び直すこと。その積み重ねこそが、コーチ・エィらしい文化をつくっているのかもしれません。

人と関わりながら新しいものを生み出していく。その土台になっているのが9Valuesなんだと思います。

石川

私は、「そのままの自分でも参加していい」と思わせてくれる存在だと思っています。

9Valuesは、ハッピーでキラキラとした人とか完璧な人になるためのものではなくて、自分のあり方を選び続けるためにある。自分なりのやりかたで体現していい。それが私にとっての9Valuesです。

それに、コーチ・エィにはそれを実践しやすい環境がありますよね。

周りに頼ることも歓迎されるし、自分の考えを話すことも歓迎される。

9Valuesは、高いところに掲げられている言葉というより、日常の中で生きている文化なんだと思います。

9Valuesについて話を聞くなかで印象的だったのは、誰一人として「いつもできている」と語らなかったことでした。



忙しくなると一人で抱え込んでしまう。

新しい挑戦を前に気が乗らなくなる。

ごきげんでいられない日もある。

それでも、自分がどんな状態にあるのかに気づき、もう一度選び直していく。



9Valuesは、理想的な行動を求めるためのルールというより、「自分はどうありたいのか」を考えるための言葉なのかもしれません。

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