※The xxのサイン会が7月23日(木)に開催決定、詳細は記事末尾にて
ザ・エックス・エックス、2026年にコーチェラにて撮影(Photo by Maddy Rotman)
The xxとフジロックの関係
ザ・エックス・エックスを初期から追ってきたファンならば、彼らがフジロックでのスロットを理想的な形で駆け上がってきたのを知っているだろう。初出演は一作目『xx』で鮮烈なデビューを飾った翌年、2010年のレッド・マーキー。同ステージのヘッドライナーであるブロークン・ソーシャル・シーンのひとつ前のスロットだった。徐々に夜の闇が苗場に広がっていく時間帯の出演で、その情景が彼らの静謐なサウンドと美しくマッチしていたのを今でも覚えている。
二度目の出演は、セカンドアルバム『Coexist』リリース後、2013年のホワイト・ステージでヘッドライナーを務めた。そして三度目は、2017年にサードアルバム『I See You』を携えてグリーン・ステージに登場。スロットはヘッドライナーのひとつ前だった。グリーンでも堂々たるパフォーマンスを披露した3人の姿を見て、「次はヘッドライナーしかありえない」と強く実感した人も多かったはずだ。もちろん筆者もその一人である。
彼らはアルバムをリリースするたびにフジロックに出演し、スロットを着実に上げてきた。
フジロック'17でのパフォーマンス映像
ロミー・マドリー・クロフト(Photo by Maddy Rotman)
オリヴァー・シム(Photo by Maddy Rotman)
ジェイミー・エックスエックス(Photo by Maddy Rotman)
ディスコグラフィを振り返る
言うまでもなく、ザ・エックス・エックスのフジロックでの成功物語は、彼らがアルバムを出すたびに成長してきた結果でもある。これを機に、改めてそのディスコグラフィも振り返っておこう。
デビューアルバムの『xx』(2009年)は、今もなお新鮮に響く。その魅力の核にあるのは、大胆な音の余白と、耳元でそっと囁かれているような親密さだ。モノクロの線画のように簡素なフレーズを奏でるギター、ベース、ドラムマシン。当時からよく言われていたようにモダンR&Bやヤング・マーブル・ジャイアンツを彷彿とさせるスカスカさだが、その音の隙間には当時隆盛していたダブステップの冷たい空気が流れ込んでいる。
そしてやはり素晴らしいのは、ロミー・マドリー・クロフトとオリヴァー・シムの歌声だ。上手さ以上に際立つ特徴的な声質。ボソボソと呟くようだからこそ、余計に耳をそばだてたくなる歌唱。それは聴き手を集団的熱狂ではなく、アーティストと一対一のパーソナルな繋がりへと導いていく。The GuardianやLos Angeles Timesなどは、ザ・エックス・エックスの幽玄かつ親密な空気感がビリー・アイリッシュにも影響を与えたと指摘しているが、もっとさかのぼれば、『xx』の伏し目がちなR&Bポップは、初期ザ・ウィークエンドやドレイクとも緩やかに共振していた。
続く『Coexist』(2012年)は、堅実な成長作と位置付けられることが多い。一作目よりさらにミニマルになった、やや地味になったと評されることもあったが、それはロミーの印象的な単音ギターリフが曲を牽引する場面が前作ほど見られなくなったからだろう。代わりに際立っているのは、エレクトロニックな質感を増したビートのプロダクション。そこには、ジェイミー・エックスエックスがソロでDJ/プロデューサーとしても活躍するようになった経験が反映されている。ソングライティングに大きな変化はないものの、プロダクションの進化によってスケールを増したサウンドは、ホワイト・ステージのヘッドライナーにも相応しいものだった。
そして現時点での最新作『I See You』(2017年)は、ザ・エックス・エックスのポップへの冒険である。ロミーとオリヴァーの唯一無二の歌声さえあれば、どんなに大きな音楽的変化を遂げてもバンドのアイデンティティは失われない──そんな確信を抱いているかのように、これまででもっとも開かれた、色彩豊かなダンスポップ・サウンドを打ち出している。
ここでもカギとなっているのは、ジェイミーのセンスが冴え渡ったプロダクションだ。UKクラブカルチャーのリアルな現場から受けた刺激を惜しみなく注ぎ込むことで、ベッドルームの親密さとダンスフロアの熱狂を繋ぎ、それをポップへと昇華している。同作のリリース前年の2016年は、フランク・オーシャン『Blonde』やソランジュ『A Seat at a Table』といった、オルタナティブR&Bの金字塔がメインストリームで大きな存在感を放っていた。『I See You』は、そうしたポップで冒険的なR&Bの潮流に、ザ・エックス・エックスが自分たちなりの形で応答した作品だったと言ってもいい。
彼らはアルバムを重ねるごとに、よりスケールが大きく、開かれたサウンドへと歩みを進めている。
コーチェラでの鮮やかな復活ライブ
数年前からニューアルバムを制作中との情報が流れていたザ・エックス・エックスだが、復帰はまずライブサーキットからとなった。今年4月にメキシコで3日間にわたって開催されたウォームアップギグを皮切りに、コーチェラ、プリマヴェーラ・サウンド、ロック・ウェルフテルなど大型フェス出演を経て、7月末にはフジロックの地を踏む。
本稿を読んでいる人の中には、コーチェラのYouTube生配信でザ・エックス・エックスのライブを観た人も多いだろう。改めて振り返ると、その映像からは彼らの変わらぬ魅力と成長した姿の両方が見て取れた。そもそも8年ぶりの復活となれば、バンドが本調子を取り戻すまでしばらく時間がかかってもおかしくない。しかし1曲目の「Crystalised」で滲むようなリヴァーブがかかったロミーのギターが響き渡った時点から、一気にあのザ・エックス・エックスの世界へと引き込まれた。長いブランクなど最初からなかったかのように、そこには静かな抱擁のように親密な世界が広がっていた。
Photos by Maddy Rotman
中盤のハイライトは、メンバー各自のソロアルバムから楽曲を披露するメドレーパートだった。ロミーがギターを置き、マイクを片手に花道を闊歩しながら祝祭的なハウスバンガー「Enjoy Your Life」を歌い上げ、ジェイミーが「Wanna」~「Treat Each Other Right」でよりハードなサウンドへと橋渡しをすると、オリヴァーは観客の中に降りていってダークなテクノポップ「GMT」を歌い上げる。3人の息の合った連携も見事だが、とりわけフロント2人の堂々たるステージングは、ソロ活動を経て、一人のパフォーマーとしてさらなる自信を身につけたことが伝わってきた。
そして最後に演奏された「Intro」は、オリジナルにはないラストのパートがひときわ鮮烈だった。
総じてコーチェラでのライブ映像から感じられたのは、ザ・エックス・エックスらしい親密さを失わないまま、大きなステージに相応しい見せ方をより意識したパフォーマンスへと進化していたということだ。このパワーアップしたザ・エックス・エックスが、その後も数々の大型フェス出演でパフォーマンスをさらに磨き上げ、完全に脂の乗り切った状態でフジロックのヘッドライナーとしてやってくる。これ以上望みようもない最高の状態で、彼らは初日グリーン・ステージのラストを飾るのだ。こんなに贅沢なことはない。
Photos by Maddy Rotman
日本へのスペシャルメッセージ
では最後に、ザ・エックス・エックスの3人の連名で到着したスペシャルメッセージをお届けしよう。復帰後初となったメキシコでのライブ、コーチェラでのライブ、そして日本でのライブに対する思いが綴られている。このメッセージにもあるように、日本とフジロックを特別な場所として受け止めている彼らと共に、ぜひフジロックの歴史に残る最高の一夜を作り上げたい。
*
メキシコでの3日間は、自分たちにとって深く感情を揺さぶられるものだった。8年ぶりのライブだったから。観客には本当に惜しみない温かさがあり、その場にしっかりと存在しているという感覚があった。最終日の夜には、もはや”復帰”という感じではなく、また何か続いていくものの一部になれたように感じた。
そして、コーチェラに戻ってきたこと、とりわけサンセットの時間に出演できたことは、そのスケールや、過ぎてきた時間、そしてそれが今も自分たちにとってどれほど大きな意味を持っているのかを、しっかりと受け止める瞬間を与えてくれた。以前にはなかった穏やかさがそこにはあって、自分たちは一緒に、その瞬間の中に本当に立っていられたような気がした。
そして日本は、私たちにとって昔から特別な場所。行くたびに、みんなの温かさやエネルギーに触れて、その感覚は日本を離れたあともずっと心に残っている。
今年またフジロックに戻れて、本当に嬉しい。前回が2017年だったなんて、ちょっと信じられないくらい。
あの場所には、ほかにはない特別な空気がある。
またみんなと一緒にあの時間を過ごせることを、心から楽しみにしています。
ーThe xx
2026年5月のメキシコ公演にて撮影(Photo by Daniel Patlan)
The xx Signing Session(サイン会)
2026年7月23日(木)19:00-
代官山 蔦屋書店 2号館2階 Anjin
■抽選販売(オンライン購入後抽選方式)
申込期間:2026年7月10日(金)13:00 - 2026年7月17日(金)23:59
抽選対象商品:CD、LP、フジロックで販売されるオリジナルTシャツ
※サイン会への参加は抽選となります。以下のリンクより購入方法、及び意事項をご確認ください。
https://store.tsite.jp/daikanyama/event/music/55566-1424360709.html
POP UP STORE
会期:2026年7月21日(火)~ 8月3日(月)※最終日は19時まで
展開場所:代官山 蔦屋書店 1号館1階
※フジロックで販売されるオリジナルTシャツの先行販売や、CD、帯付きLPなどが販売
ザ・エックス・エックス
フジロック '26 ヘッドライナー出演記念
日本限定デラックス盤CD&日本語帯付LP3タイトル同時発売
詳細:https://www.beatink.com/artists/detail.php?artist_id=686
FUJI ROCK FESTIVAL '26
2026年7月24日(金)~26日(日)新潟・苗場スキー場
※ザ・エックス・エックスは7月24日(金)出演
公式サイト:https://fujirockfestival.com/


![VVS (初回盤) (BD) [Blu-ray]](https://m.media-amazon.com/images/I/51lAumaB-aL._SL500_.jpg)








