ゼイン・ロウがザ・ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)のミック・ジャガーキース・リチャーズ、ロニー・ウッドと対談したApple Music特別インタビューをお届けする。バンドは待望の新アルバム『Foreign Tongues』のリリースを記念し、制作の裏側やポール・マッカートニー、アンドリュー・ワットとのコラボレーションの秘話を語るとともに、60年以上にわたる音楽活動を振り返り、これからの展望についても語っている。


『Foreign Tongues』制作について

ゼイン・ロウ: このアルバムを作る上で、一番楽しかったことは何ですか?

ロニー・ウッド: やっぱり、お互いのやり取りと、その場のノリじゃないかな。「スポンテニアティ(即興性)」っていうのが、まさにそれなんだよ。まず曲の基本的なアイデアをつかむ。ミックが「ちょっとこっちの部屋来て、ルーティンやってみようよ」って感じで声をかけてくれる。そうして基本的な構成を把握したら、あとはそれぞれが自分なりのアイデアを持ち寄る。最終的にその構成に戻ってくれば、あとは何をやってもいいんだ。

キース・リチャーズ: 本当に戦わなきゃいけないのは、スタジオの雰囲気と曲そのものだけ。お互いに争わなければ、それでいい。このアルバムは作っていて楽しかったし、仕上げるのに全力を尽くした。スティーヴ・ジョーダンもダリル・ジョーンズも、新しいリズムセクションと一緒に仕事できたのは本当に良かった。きっとチャーリー・ワッツも上から微笑んで見てくれてると思うよ。そう思うと、すごく気持ちがいい。


ザ・ローリング・ストーンズが語る『Foreign Tongues』制作秘話、ロックンロール史上最長バンドの過去・現在・未来【Apple Music】

©️Apple Music / The Zane Lowe Show

ストーンズの新世代メンバーとのコラボについて

ゼイン・ロウ: 彼らにとってどんな気持ちなのかと、ずっと気になっていました。あなたが一番よくわかっているはずですが、ツアーを共にし、世界中を旅してきた、いわばバンドのファミリーが、これだけの時間を経てついてにレコーディングに参加し、制作プロセスにも貢献できたことは、あなた自身にとっても特別なものがあったのでは?

キース・リチャーズ: 今の世代のストーンズをレコードに残せたのは、本当に良かった。特別なことだよ。さっきも言ったけど、彼らの演奏が本当に素晴らしくてね、あのままもう一ヶ月続けられたと思う。チャーリー・ワッツが以前、もし別のドラマーと組む機会があるなら、スティーヴ・ジョーダンがいいと言ってたんだ。スティーヴはチャーリーのプレイスタイルを深く尊敬していて、子供の頃からチャーリーの音楽を聴いて育ってる。だから二人のスタイルは違っても、自然とお互いへのリスペクトがあるんだよね。スティーヴと仕事をしていると、ファミリーと働いてる感じがしたよ。

メンバーを集めてのコラボレーションについて

ゼイン・ロウ: アルバム制作のプロセスはミックが主導するんですか?「みんな集まって、言いたいことがある、レコードを作ろう」って声をかけるのは彼なんでしょうか?そのプロセスはどんな感じですか?全員の意識を合わせてメトロポリスなどのスタジオに集まるのは、難しいですか?

ロニー・ウッド: まず全員を同じ国に集めるのが大変だよ(笑)。スタジオに集めるのは、その次の話。でも一度動き始めれば、あとはお互いからエネルギーをもらいながら進んでいく。ミックが中心的な推進力になるんだけど、彼のエンジンに火をつけたら、ドラムにもギターにも、ベースにも、ピアノやキーボードにも、すべてに対してすごく密にインタラクトしてくれるんだよ。


アンドリュー・ワットとのコラボについて

キース・リチャーズ: アンドリューと出会ったのが本当にタイミングが良かった。彼はストーンズについて、俺が忘れてしまったようなことまで知ってるんだ。そしてその熱量がすごい。一緒に仕事をするのがすごく楽しいよ。実は『Foreign Tongues』が生まれたのも、もともと『Hackney Diamonds』の制作で膨大な量の曲を作っていたからで、アンドリューと俺が出来上がったものを見て「これ、実質ダブルアルバムだよね」ってなったんだ。だから少し間を置いて出すことにした。以前は18年もスタジオアルバムの間が空いたことがあって、それはさすがに長すぎたと思う。アンドリューはもうきっと3枚目のアイデアを持ってるはずだよ……。

ロニー・ウッドが語る、ローリング・ストーンズへの加入について

ゼイン・ロウ: あなたが加入したとき、ストーンズにまったく新しい要素をもたらしましたよね。あなたが丁寧に話してくれたように、あなたのスタイル、プレイの仕方が、バンドに新しいフィーリングを生み出した。自分がストーンズにもたらしたものが本当に根付いたと感じるまで、どのくらいかかりましたか?確か正式加入は1976年、でも実際にはその前から録音もしていたと思います。75年くらいからでしたっけ?

ロニー・ウッド: そうだね、73年に最初のソロアルバムを作ったとき、ミックとキースとミック・テイラーがずっといてくれた。
テイラーとは最初のバンドからの付き合いで、彼がゴッズにいたころ、俺はザ・バーズってバンドにいたんだ。テイラーはステージに上がるのが怖くて、俺が代わりに彼のパートを弾いてやったこともあった。彼がストーンズに加入したと聞いたとき、「あいつはあんなにメロディカルで美しい演奏をするんだから、そのポジションが取れてよかった」って思ったよ。今でも彼のことが恋しいな。でも俺はファンとして、少年時代からストーンズの音楽に育ってきたから、ブライアン・ジョーンズがキースのプレイにどう貢献してたかも知ってたし、ミック・テイラーが加えたものも受け継いで、自分なりに続けることができた。彼ら全員のファンだったし、リスペクトしながら、自分自身のやり方で表現することもできたんだ。

ザ・ローリング・ストーンズが語る『Foreign Tongues』制作秘話、ロックンロール史上最長バンドの過去・現在・未来【Apple Music】

©️Apple Music / The Zane Lowe Show

ゼイン・ロウ: ファンだったバンドに加入したプレイヤーから、同じ話をよく聞きます。特に自分が前任者のファンだった場合、その人の時代を愛情を持って発展させながら、同時に加入した当初はそのプレイヤーへのリスペクトを示し続けなければならない、と。

ロニー・ウッド: それは難しいことじゃないよ、自然な流れなんだ。ファンであれば、ミック・テイラーが弾くような好きなリフを、できる限り自分のものにしようとする。あるフレーズのギリギリのところまで迫ろうとして、そこを中心に自分のアレンジを広げていく。その曲のアイデンティティ、つまりそのフレーズに戻ってくる限り、何をやっても大丈夫なんだ。


『Foreign Tongues』の新曲について

ゼイン・ロウ: 自虐的な面もあって、自分自身を少し笑い飛ばしてるような感じがするんですが、同時に資本主義を少し批判してもいる。アルバムの中で連続する3曲が特にそう感じます。「Mr. Charm」「Divine Intervention」「Ringing Hollow」――特に「Ringing Hollow」について話したいんですが、あれはすごい曲です。今の人生の時点に立って外の世界を眺めているという感覚、ストーンズはいつも世の中を映し出してきましたよね。社会政治的なテーマについても、オープンなバンドであり続けてきた。

ミック・ジャガー: 社会問題を歌うことの難しさはね、まず、取り上げたテーマが3ヶ月後にはすっかり人々の関心から消えてしまうことがある。誰も気にしなくなって、無関係な曲になってしまうんだ。だからあまり説教じみたことはしたくない。でも、ちょっとそういう要素を混ぜ込むことはできる。「Rough and Twisted」でも、一見「女性の話かな」と思うけど、まあそうとも言えるし、そうじゃないとも言える。ちょっとした社会的コメントをさりげなく忍ばせているんだよ。もちろん、「Ringing Hollow」や「Divine Intervention」はある種のディストピア的な曲だね。


新曲「Ringing Hollow」について

ゼイン・ロウ: まさにディストピア的な曲で、「Ringing Hollow」でその小さなチャプターをうまく締めくくっていると思います。曲の冒頭は昔の恋愛の話みたいで、「これはマリアンのこと?ジェリーのこと?誰のことを歌ってるんだろう?」と思わせておいて、「あ、これはアメリカのことだ」って気づくんです。

ミック・ジャガー: そう、アメリカへのラブソングだよ。最初は女性への歌だと思わせておいて、4行目か、もう少し後で、実はそうじゃないと気づく。自由の女神、つまり「リバティ(自由)」を概念として使っていて、それが曲の中の比喩にもなっている。アメリカでは自由が女性として象徴されているんだよね。

ゼイン・ロウ: 人生のある地点に達したとき、年齢や成熟とは関係なく、成功や実績を積み重ねた上でまだ「Ringing Hollow」のような表現が見つかるということ、すごく充実しているんじゃないかと思います。多くのものを与えてくれながら、多くを約束してきた国への、重要な声明ですよね。

ミック・ジャガー: この国にはたくさんのものをもらったし、尊敬もしている。でも同時に、今この国が抱えている欠点や問題も見えるんだ。だからそこに向き合いたかった。そのテーマを歌った曲をいくつか書いたんだけど、これを選んだのは、他の曲より直接的すぎなくて、もっと繊細さがあると思ったから。
他の曲は候補から外したんだ。

ゼイン・ロウ: 曲が完成したとき、メンバーに聴かせて「そう、ミック、これだよ」って反応があることはありますか?

ミック・ジャガー: あるよ。キースにこの曲を聴かせたら、すぐに気に入ってくれた。彼にはちゃんと伝わったし、それに音楽のスタイルも新鮮だったから。ロックなサウンドや四つ打ちのグルーヴから離れて、カントリースタイルでアメリカについての歌を表現するのが、一番良いアプローチだと思ったんだ。ロック調の曲にもできたけどね。

キース・リチャーズ: 「Ringing Hollow」は、ある意味アメリカへのとても優しいラブソングだよ。「一体何がこうなってしまったんだ」っていうね。でも50年代のことを思い出すと、ジュークボックスとタバコの記憶があって、あの頃は俺たちみんなアメリカに憧れてた。BBCしかない国と違って、全国に無数のラジオ局がある、そのアイデアだけで「もう死んでも天国に行ける」って思ったくらい。本当にアメリカに憧れることがたくさんあった。でも近づいてみると、自由の鐘(Liberty Bell)にいくつかの亀裂が見えてくる。それも書いておかなきゃね。ミックは本当に良い仕事をしたと思う。

「Start Me Up」の作曲秘話

キース・リチャーズ: 書いてからリリースまで10年かかったんだよ、「Start Me Up」は。ワインみたいなものさ。熟成させると美味しくなるものもある。最初の100テイクはレゲエリズムで録ったのを覚えてる。いろんなスタイルを試した末に、「普通にロックンロールを弾けばいいじゃないか」って気づいた。そのテイクが採用されたんだ。

ポール・マッカートニーとのコラボレーションについて

ゼイン・ロウ: ポール・マッカートニーは今回でストーンズのレコードに2度目の参加ですね。音楽ファンとして、今の時代にあらゆる方向でドアが開かれていて、みんなが一緒に仕事できることは素晴らしいと思います。『Hackney Diamonds』から今回にかけて、ポールとストーンズのレコードで「以心伝心」的な関係が築けてきていることは、あなた個人にとってどんな意味がありますか?彼自身もそう話してくれましたよ。

キース・リチャーズ: ポールはバンドの一員でいることをすごく恋しく思っているんだと気づいたよ。そういう環境にいられることを心から喜んでいる。もし次に一緒にやれる曲があれば、連絡するよ、ポール。彼とはザ・ビートルズが始まった頃、俺たちが始まった頃からの付き合いだけど、ずっと周辺的なつながりで。ジョンとポールは昔、「We Love You」と「Dandelion」でバックボーカルをやってくれたことがあって、67年頃だったかな。でもそれ以外は、同じ時代を生きてきた仲間と一緒にいられることがいいんだよ。素晴らしいプレイヤーだし、もっと一緒にやりたいね。

ゼイン・ロウ: スタジオで彼が演奏し始めると、みんなそれぞれ独自のスタイルがあるけど、ポールが弾き始めた瞬間はどんな感じですか?完全にマッカートニーのスタイルで、彼以外には弾けないような。

ミック・ジャガー: 「Covered in You」での彼のベースは、ファンキーな感じで、正直ポールのスタイルだとは気づかなかったよ。パンクスタイルというか、俺たちが求めていたシンプルな演奏ができるとは思っていなかった。でもすぐにそのスタイルを理解してくれた。それだけギアチェンジができる人なんだよ。

AIと「In The Stars」のミュージックビデオについて

ゼイン・ロウ: 「In The Stars」のビデオについて話したいのですが、ローリング・ストーンズがキャリアのこの段階でも、AIという新しい未知の領域の最前線にいることは驚きではないですよね。ミュージックビデオ史上最高のディープフェイクと言っていいかもしれません。初めて見たとき、どう思いましたか?

キース・リチャーズ: 新しいビデオにしては、自分なかなかいけてると思ったよ(笑)。でもすぐにAIだと気づいた。正直、詳しくないから多くは語れないけど、ソーシャルメディアと同じで、使い方次第でいいことも悪いこともある。これからいろいろわかってくるだろうね。まだ進行中の冒険だよ。

『Foreign Tongues』のツアーの可能性について

ゼイン・ロウ: バンドとしてではなく個人的な話として、これらの曲をライブでやりたいとか、ツアーに出たいという気持ちはありますか?

ロニー・ウッド: もちろんさ、無理やり引っ張り出す必要なんてないよ。招集がかかったら、すぐに出るよ!

ゼイン・ロウ: できればツアーに出たいですか?

ミック・ジャガー: うん、ぜひ出たいよ。

キース・リチャーズ: 来年はまだスケジュールが空いてるし、可能性はあるよ。

ザ・ローリング・ストーンズが語る『Foreign Tongues』制作秘話、ロックンロール史上最長バンドの過去・現在・未来【Apple Music】

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最も長く続くバンドであることについて

ゼイン・ロウ: あなたにとって、このバンドを他のどのコンテンポラリーなロックバンドよりも長く続けてきた秘訣は何ですか?ロックンロール史上最長の関係ですよね。

ロニー・ウッド: 一緒にいすぎないことかな。それぞれが自分の人生を生きていて、また集まったときは、まるで時間が経っていないみたいなんだ。悪ガキ仲間がまたスタジオという遊び場に戻ってきた感じ。お互いからエネルギーをもらうのが好きなんだよ、音楽からも伝わると思うけど。ミックは今でも本当に引っ張ってくれる存在だよ。

ゼイン・ロウ: その中心にあるのが、あなたとミックの友情ですよね。音楽的な面で言うと、結婚でさえその半分も続かない。あなたとミックが、いい時も辛い時も一緒にやってこれたのは、結局のところ音楽に帰着するんですか?

キース・リチャーズ: ある意味、結婚みたいなものだよ。どっちが奥さんでどっちが旦那なのかはわからないけど(笑)、それが続く理由かもしれない。同じ音楽の趣味を持って、同じように感じ取れる人間に出会えたら、喜びが倍以上になる。なぜなのか言葉では説明できないし、それ自体がミステリーだと思う。ずっとそのミステリーであり続けてほしい。考えて、解明しようとしたこともあったけど、無意味だと気づいた。

ミック・ジャガー: ローリング・ストーンズがたくさんの失敗をしていたら、続いていなかったと思う。運が良かったし、これだけ成功できた。出したものが全部素晴らしかったわけじゃないけどね。

ローリング・ストーンズ、これからについて語る

ゼイン・ロウ: 『Foreign Tongues』のレコーディングに入るとき、「これが最後のレコードになるかもしれない」と思いましたか?

ミック・ジャガー: そう思うこともあるよ。いつもそう思う。「これが最後のレコードかもしれない」ってね。そうだと言っているわけじゃないけど、『Hackney Diamonds』のときも多分最後だろうと思ってた。でも元々この作品は予定になかった。ツアーに出る予定だったのに出られなくて、じゃあレコードを作ろうとなって、こうなった。

ゼイン・ロウ: このアルバムを作り終えて、ストーンズの未来についてどう感じていますか?

ロニー・ウッド: 『Hackney Diamonds』から『Foreign Tongues』へと続く勢いはまだある。アルバムを作るたびにエネルギッシュでパンチが増してきて、まだまだ高いところを目指している。それがバンドの進化だよ。新しい若さと新しいキックがある。チャーリーが上から見守って、インスピレーションを送り続けてくれてるのかもしれないね。

ゼイン・ロウ: このアルバムが頭に新鮮な状態で残っている今、次のストーンズのアルバムを作ることについてはどうですか?

キース・リチャーズ: 全然問題ないよ。いつ声がかかっても準備できてる。常にいくつか曲のストックがあるし、ミックだってそうだと思う。あいつは止まらないから。音楽を作ることが俺のやることだから、自然と次に何をするか考えている。もう始まってるんだよ。

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