8月21日にリリースされたスタンド・アトランティックのニューシングル「EDGE OF VEGAS」
6年間で育んだ、バンドを超えた友情
―お二人は、かなり仲が良いんですよね。
Ryota:ミキは僕の中では家族レベルの付き合いなんですよ。出会ったのは6年くらい前で。僕らのアメリカ・ツアーにスタンド・アトランティックがサポートで入ってくれた時なんです。ミキたちのバンドが僕らのリハーサルをチェックしてくれて。終わった後に、ミキが「Nice to meet you」みたいな感じで声をかけてくれたんです。初めはずっと英語でしゃべってたんですけど、いきなり日本語でパーンって話しかけられて。何かスゴいうれしくなっちゃって、そこからスゴい仲良くなりました。他のメンバーともそのツアーで、僕は毎日一緒に遊んで、コミュニケーションを取って。ツアーが終わってからも、ミキとはほぼほぼ毎日連絡を取り合いましたね。
ミキ:今の話で気づいたんだけど、Ryotaたちと初めて一緒にツアーした時は、スタンド・アトランティックはアルバムを1枚しか出してなかったんだよ。今度、10月に5thアルバムを出すから、Ryotaは1stから5thまで、全部ずっと聴いてるんだよね。
ミキ・リッチ(Ba)
スタンド・アトランティック(Photo by Nikki Haney)
―話に出た、2019年のONE OK ROCKの北米ツアーで初めて共演した時の、ツアー初日の印象は覚えていますか?
Ryota:まず曲が素晴らしいなと思いましたね。僕はキャッチーなメロディが大好きなので、一回聴いただけで曲がスゴく耳に残って。あと、女性ボーカルのロックシンガーというのもなかなか見なかったので、スゴくカッコいいなと思って。ミキたちは、その時がたぶん初めての本格的なツアーで、バンドを結成したのもその頃だったんですよ。一番最初がこれだったら、5年後、10年後は相当カッコいいバンドになりそうだなと思って。
ミキ:僕も最初のツアーの日のことは覚えてる。アメリカには2018年に一回行ったんですけど、2019年は初めてのちゃんと長いツアーだったので。緊張したけどワクワクしてました。そのツアーは一番楽しい思い出があるかな。
―二人が一番気が合ったのはどういうところですか? 二人ともベーシストというのも大きかったですか?
Ryota:そうですね。僕はいろんなバンドと最初に会う時、まずベーシストと仲良くなろうと思うので。ちょうどその時期の僕って、課題が英語だったんですよ。ボーカル(Taka)からも、「Ryota、世界でこれから戦っていくんだったら、しっかりと英語だけは勉強してくれ」っていうのは、ずっと言われてたことで。でも、なかなかきっかけもなかったし、日本語でもノリで全然仲良くなれてたので。そのタイミングでミキと出会った時に、「あ、これは運命だ」と思って。一緒にいてもスゴく楽しいし、ファッションとかアートとか趣味の部分でも共通点があるし。
ミキ:ボーカルのボニーとドラムのジョノは、一人ぼっちが好きじゃなくて。朝起きてすぐに、「みんな何するの? 一緒に何かやろう」って言うタイプなんです。そうやってバンドは育ったし、何かをするならみんなで一緒にやろうってなってるから。
Ryota:でも、この6年間ずっとミキに言い続けてたのは、「本当にバンドを壊さないでね」ということで。バンドって何かのきっかけですぐに壊れてしまうんですよ。仲が悪くなったりとか、本当に些細なことで。「ミキ、このバンドは絶対に世界でもっと知られなきゃいけないバンドだから、頼むよ」、「スタンド・アトランティックの音楽はここからだから」っていうのを言い続けてきて。ミキは俺の思いを守ってくれたし、一緒にまたツアーできた時に、よりバンドとして本当にカッコ良くなってたんですよ。僕らと最初にツアーしてから、ミキたちは相当ツアーを回ってたよね?
ミキ:コロナの後とか、1年で250本やったし。あれはやりすぎだったかも(笑)。
Ryota:でも結果、その分実力が一気に上がったと思う。この前、横浜のライブを観に行った時も、ちょっとびっくりしすぎて。
スタンド・アトランティック、2025年のライブ映像
ONE OK ROCK、2025年のライブ映像
―この6年間、スタンド・アトランティックは何を目標にして成長していった感じですか?
ミキ:やっぱり音楽が一番大事で。音楽だけは大事に集中して書いてるけど、それ以外は、アメリカやヨーロッパ、アジアを目指そうとかはあっても、友達のみんなで楽しいならずっとやろうっていう感じでやってるから。どんどん上がってるなっていうより、気づかないうちに急に上がってるなと思ってて。Ryotaはわかると思うけど、みんな真面目な時は真面目だけど、楽しんでる方が好きだから。ライブでお客さんが「いや、それ楽しかったな」と思ってくれるのが、一番目指してることだから。
Ryota:ミキたちは過酷な環境を常に楽しんでるんですよ。僕がびっくりしたのは、ミキたちのツアーバスがハイエースなんですよね。毎日ライブが終わったら10時間以上の移動があって、メンバー同士で運転を交代して、寝ることもできないんです。この前のツアーですらも、そのスタイルはあまり変わってなくて。
ミキ:2019年のONE OK ROCKのツアーの時は、特に長かったのは覚えてる。ハイエースでアメリカに7週間いて、そのままイギリスに3週間いて、そこからオーストラリアを12週間回ってたから(笑)。
ボニー・フレイザー(Vo)
2026年5月、スタンド・アトランティック来日公演のライブ写真
―6年ぶりにスタンド・アトランティックのライブを観た時に、バンドの成長を感じた部分はありますか?
Ryota:一番変わったなと思ったのは、ボーカルのボニーですね。6年前とはもう全然違ってて、パフォーマンス、歌唱力も含めて、すべてが世界レベルでした。他のバンドとツアーをやる時は、ライブを観ない日とかもあるんですけど、スタンド・アトランティックと一緒の時は、もう毎日観たくなるぐらい本当にカッコ良くて。毎回、全然違うパフォーマンスだから、観てる僕らもスゴい楽しいんです。僕らONE OK ROCKのスタッフが、スタンド・アトランティックのことを大好きになってくれたのもうれしくて。そのぐらい今はもう誰が観ても絶対好きになるライブをしてるんです。この前本人たちから、これからアジアとか日本でもちゃんとやっていきたいっていうのを言われた時に、今だったら本当にみんなが好きになるんじゃないかなと思って。そのぐらい今はライブ自体のクオリティがめちゃくちゃ上がってますね。
ミキ:ボニーもスゴいよね。最近はツアーをしすぎて強くなったのかもしれないけど、6週間のアメリカ・ツアーでも、一回も声が疲れたとか言わないんです。
Ryota:つい最近、僕らがツアーしてた時に、スタンド・アトランティックのアルバムが、初めてオーストラリアで1位を獲ったんですよ。それが僕的にはスゴいうれしかったですね。オーストラリアでやっと認知されるバンドになったんだなと思って。ここからは自分たちの国以外のアメリカ、アジア、日本でも、スタンド・アトランティックのストーリーが始まっていくんだろうなと思いますね。
ミキ:その1位を獲った日、覚えてる? あの日が一番スゴい30時間だったかもしれない。最初はテキサスで乗ってたトラックが壊れちゃって。砂漠で15時間も動けない状態になって。やっと助けに来てもらって。それで、「OK、車が直った、じゃあ飛行機に乗って次のところに行こう」って言って飛行機に乗って。次のテキサスのオースティンに着いて。着いた瞬間に電話が鳴って。僕たちのアメリカのチームが飛行機事故でみんな亡くなったという電話で。みんなショックで、スゴい泣いて。でも、Show must go onだから、ライブをやらないとってなって。それでライブが終わって、ステージを降りて。みんながちょっとリラックスして、「何かスゴい日だったね」って言った瞬間、電話がまた鳴って。「今、オーストラリアでアルバムが1位になりました」って来て。もうエモーションがわからなくなってしまって。疲れてたし、寂しかったし、でもスゴいハッピーで。あの30時間は今までの中で一番スゴい時間だった。
『Was Here』。2025年5月、豪アルバム・チャート「ARIA」のオーストラリア人アーティスト・アルバム・チャートで1位を獲得
『GODBREATH』から始まる、次のストーリー
―これからスタンド・アトランティックのストーリーが始まっていくという状況で、10月にリリースとなる『GODBREATH』は非常に重要なアルバムになりますよね。
ミキ:いつも新しいアルバムを出す時は楽しみなんだけど、このアルバムが一番楽しみで。スタンド・アトランティックはいつもアルバムが出るとジャンルが変わるんだけど、このアルバムには昔のスタンド・アトランティックの音も入ってるし、新しいスタンド・アトランティックの音も入ってる。あと、このアルバム全体を一発録りでやってて。みんなで演奏して、誰かが間違えたらまた最初からやるというレコーディングで。一番いいベースのテイクでも、ドラムが間違えたらまた最初からとか、いろいろ大変で。プロデューサーのスティヴィー(スティヴィー・ナイト)が最初にそれをやろうって言ったんだけど、「最近の世界中のアルバムって、けっこうパソコンっぽいじゃん? みんなエディットしたパーフェクトなアルバムで、それはそれでカッコいいけど、音楽の気持ちがなくなってきたな」っていう話で。それだったらライブ・レコーディングしようってなったんです。みんな「えっ?」ってビビってたけど、最初の2曲だけLAでやってみようって言って。「Velcro」というシングルと、もう一つはまだ出してない曲なんだけど、「Velcro」が何かスゴい良くて。ちょっと間違いとかも入ってるけど、それが何か気持ちいいなと思って。Ryotaに初めて聴かせた時も、「この曲めっちゃ好きだな」って言ってくれたし。それで、じゃあやってみようって言って、アルバムを全部ワンテイクで録りました。
Ryota:「Velcro」は、ミュージックビデオも一発撮りだよね。今のスタンド・アトランティックはたぶん一発録りのモードで、「生」感を本当に大事にしてるんですよ。 今、ミキたちメンバーの中ではグルーヴ、5人で鳴らしてる音、音楽とは?っていうのが超大事なんだろうなと思って。それがちゃんと音となって、そこにボニーのメロディも乗っかるんです。このアルバムはファンの人たちは最初びっくりすると思うんですけど、よりスタンド・アトランティックらしいアルバムになってるので、僕は大好きですね。毎回アルバムごとにガラッとスタイルを変えてくるところも尊敬してるし、僕ら、ONE OK ROCKもそこは同じなので。せっかくこのスタイルをみんなが好きで聴いてるのに、ボーカルが「いやいや、今回はこのスタイルで行くから」って、もう本当にガラッと変えるんです。でも、それが結局はバンドの成長になってくるので。現状維持じゃないし、みんながどんどん挑戦していく。スタンド・アトランティックも同じで。僕は最初のアルバムが大好きで、それを聴き込んで、「次のアルバムが超楽しみ」と思って、2ndアルバムを聴いた時に、「えっ、全然違うじゃん」ってなって。そういうバンドに久々に出会えたのがうれしいんですよね。
ミキ:僕たちはいつも新しいことをやりたいと思ってて、最初の4つのアルバムは毎回変えてたし、それをずっとやってきたんだけど、それは楽しいからで。別に、ポップでもロックでもヒップホップでも、良い曲は良い曲だし、そういうマインドセットでいつも曲を書いてたんです。でも今回は、半分がファンが聴きたいような曲、半分が自分が楽しいと思う曲を作って。『Skinny Dipping』の音を聴きたいっていうファンもいるし、もうちょっとメジャーキーの音を聴きたいっていうファンもいるから、それをやろうってなって。だからこのアルバムを聴いたら、絶対に1曲か2曲は好きな曲があるはずなんです。だから、みんなへのお願いは、「アルバムを全部聴いてください。絶対に何かあるから」。
―アルバムを出した後、やっていきたい活動のイメージはありますか?
ミキ:これからは、日本、韓国、東南アジア、サウスアメリカとかもちゃんと狙いたい。一つのところで一番大きくならなくても、世界中で大きいバンドになりたいっていつも思ってるから。それはRyotaと会った時からそういう話はしてて。今からは普通のバンドが行かないようなところにも行きたいです。
―去年、今年と日本で行ったツアーはどうでした?
ミキ:去年はどのくらいお客さんが入るかなと思ってたら、東京で600人ソールドアウトで。その時もスゴかったけど、今年行った時もスゴかった。タイとかジャカルタにも初めて行ったけど、初めて行ったアジアの国の中では、日本が一番大きかったんです。もっと日本に来たいし、大きいフェスにも出たいですね。あと、お母さんはずっと東京に住んでて、「本当にバンドやってるの?」って、ずっと言われてたんです。今まで一回もライブを観てなかったけど、初めて観てくれて。本当に楽しんでくれました。
Ryota:前回の日本のライブでは、ほぼほぼのお客さんはスタンド・アトランティックを観るのが初めてだったと思うんですよ。それでも2曲目ぐらいから全員がめちゃくちゃ盛り上がってて。その姿を見た時に、何かいいきっかけがあれば、もっともっと彼らの音楽が世界中に届くんだろうなと思ったんですよ。だから本当に日本の人たちにも、ちゃんと一回聴いてもらいたいなと思って。ミキが言うように、アルバムを聴いたら絶対に好きな曲があると思うので。
ミキ:スタンド・アトランティックの曲を1曲しか知らなくても、ライブのポスターを見かけたら観に来てください。いつも言ってることだけど、スタンド・アトランティックをちゃんと知らないお客さんの前でライブするのが一番楽しいライブなんです。本当、一回でもいいから、観に来てください。それで好きか嫌いかを決めていいから。僕たちはライブが一番強いと思ってるし、最高のライブバンドを目指してるから。
Ryota:スタンド・アトランティックは今が一番いい時なので、ここから本当に始まるんですよ。僕の中でも6年前から見えてたので、やっと今スタートラインにしっかりと立てたと思うんです。ここからはもうミキたちに暴れ狂ってほしいです(笑)。
スタンド・アトランティック
5thアルバム『GODBREATH』
2026年10月23日(金)リリース
予約:https://standatlantic.lnk.to/godbreath
最新シングル「EDGE OF VEGAS」
再生・購入:https://standatlantic.lnk.to/godbreath


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