暗闇でネタをするライブの後、盲目の芸人・濱田祐太郎がナイツ塙...の画像はこちら >>

盲目のお笑い芸人・濱田祐太郎さん

『R-1ぐらんぷり』第16代王者にして、盲目のピン芸人・濱田祐太郎のコラムが週刊プレイボーイで好評連載中! その名も「盲目のお笑い芸人・濱田祐太郎の『死角からの一撃』」。

第30回は、真っ暗な会場で行なうお笑いライブに出演したときの話。

* * *

会場の照明をすべて消して、真っ暗の舞台上で芸人たちがネタをする。そんなライブが新潟県でありました。

「耳で楽しむお笑いライブ」というライブで、出演者にはナイツさんやどぶろっくさんもいて、目の見えない僕も出演することになりました。

聞けば、主催者の方には視覚障害のあるご兄弟がいて、「目の見えない人にもお笑いを楽しんでほしい。そして、見える人には照明を消すことで〝見えない世界〟を知ってほしい」、そんな思いから企画されたそうです。

なので、お客さんの中にも目の見えない方がたくさんいらっしゃったらしいです。

まあ、ネタをやる僕らは芸人なので、そんなことはさておき、ただ面白いことをやるだけ。本当に真っ暗でお客さんから姿が見えないなら、ズボンぐらい脱いじゃおうかなと思っていました。

念のために、出番前に主催者の方に「服とか脱いでも見えないくらい真っ暗になるんですか?」と聞いたら、何かを察知したんでしょうね、「前回やったときは、暗闇の中で『自分たちは裸です』って言ってボケる人はいました」と言われました。

これは予防線を張られたなと思いましたよ。「あくまでボケで言った人はいるけど、実際に脱ぐバカはいない」みたいな。

なので、本番では僕が持っている白杖を股間に当てて、膨張しためっちゃ長いイチモツみたいにして漫談をやりました。

ただ、僕自身も見えてないので、本当に会場が真っ暗だったかどうかわからない。

ちょっと不安でしたが、お客さんがノーリアクションだったので、本当に真っ暗だったんだと認識しましたよ。見えていたら悲鳴か薄ら笑いぐらいは起きるはずなので。

後日、新潟のニュース番組がそのライブを取り上げたらしく、噂では暗視カメラで舞台上を撮影した映像が流れたとか。だから僕の〝股間白杖〟もぼんやり映ってたらしいです。

いや、それは反則やろ。真っ暗の会場を暗視カメラで撮影するなんて、そんなのマナー違反ですよ。まあ舞台上で〝股間白杖〟をやってた僕も同じくらいマナー違反かもしれませんけどね。

そしてライブの後は、ナイツさんと僕で読売新聞の取材を受けることになりました。

そこでうれしかったのが、記者の方から「このイベントの『視覚に障害のある人にもお笑いを楽しんでほしい』という趣旨に、何か特別な思いはありますか?」と聞かれたときのこと。

僕が「お笑いをやる依頼だから引き受けただけで、特別な思いはないです」と答えたら、塙(宣之)さんが小さな声で「そうだよね」と言ってくれたんです。

うまく言えないんですけど、僕の根っこにあるものを「視覚障害のある人」ではなく「お笑い芸人」として見てくれている感じがしたというか。

まあ、とにかくうれしかったんです。

ナイツのおふたりも「僕らは漫才ができるから引き受けました」と言っていて、改めて、お笑い芸人はそれでいいんだと思いました。

さらに塙さんが、質問している記者の言葉を遮って「そんなことより阿部慎之助さんは大丈夫なんでしょうね」とボケると、土屋(伸之)さんがすかさず「読売の人だからって詳しいわけじゃないでしょ」とツッコんでいました。

すると記者の方も「僕は下っ端なので、全然詳しくないんですよ」と返していて、このやりとりが最高に面白かったです。

新潟で有名なバスセンターのカレーも、お昼に楽屋で食べることができて、もう大満足でした。

 ●濱田祐太郎(はまだ・ゆうたろう) 
1989年生まれ、兵庫県神戸市出身。2013年より芸人として活動を開始し、『R-1ぐらんぷり2018』(フジテレビ)で優勝。関西の劇場を中心に舞台に立つほか、テレビやラジオなどでも活躍。公式X【@7LnFxg25Wdnv8K5】

撮影/梅田幸太

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