中古在庫は4ヵ月連続で増加中! 都内マンション"高値売り抜け...の画像はこちら >>

新築販売では最高640倍という抽選倍率の高さも話題となった晴海フラッグでも、中古在庫の蓄積が話題となっている

どうやら、本当に潮目が変わったらしい。

東京を中心とした首都圏のマンション価格は2013年のアベノミクス開始以来、ほぼ右肩上がりで上昇してきた。

はや、13年超。今の30代の社会人は、その上昇局面しか見てこなかった。

【13年にわたる「マンションバブル」の原動力】

しかし、日本のように人口が減少期に入っていて、経済成長に限界があるような国で不動産の価格が上昇し続ける、というのは経済の法則から考えてあり得ない。マンション価格が上がり続けた原因は複合的だ。

まず、東京はこの間も人口がわずかながらも増え続けた。そして、金利は史上最低水準だった。加えて、2020年から3年間はコロナ禍で、政府は未曾有の経済対策で年間予算に数倍するマネーを市場に流し込んでしまった。これで余ったお金が不動産に向かった。

一方、アメリカが金利を上げたのに日本は異次元金融緩和を続けたせいで、日米の金利差が5%以上に開き、異常な円安を招いた。その結果、外国から様々なマネーが流入して、東京の「割安」不動産は買い漁(あさ)られた。その現象は今も一部で継続している。

諸々、これらのイレギュラーな要素が加わって東京とその周辺のマンション価格は上がり続けた。

その上昇ぶりは一種のバブルと言っていい。しかし、バブルには必ず終わりが来る。17世紀にオランダで発生したチューリップバブル以来、数々の「バブル」が世界各地で発生しては、弾けた。ひとつ、確実に言えることは、弾けないバブルはなかっ...ということだ。

【指標が示す中古市場の低迷】

実のところ、東京のマンション市場の動向を正確に表す統計指標はない。ただ、概ね目安になる指標はある。新築なら不動産経済研究所が発表する数字が、わりあい現実に近い。中古なら東日本レインズの月例マーケットウォッチが市場を読む参考指標になる。

ただ、新築マンションは建築コストの急上昇にホルムズ危機によるナフサ不足が加わって、市場は高くブレる混乱期に入っている。その影響はマンション建設に限らず、中野駅前の再開発が頓挫したり、帝国ホテルの建て替えが見通せなくなった現象にも現れている。

一方、中古マンションは売り手も買い手も多くが個人であることもあり、わりあい市場原理が働きやすい。特に、このバブルで不自然な上昇がみられたエリアから、急速に「調整」が始まると見られていた。

先日、東日本レインズが2026年6月の月例マーケットウオッチを公表した。それによると、東京の都心3区(港、中央、千代田)の中古マンション取引は、前年同月比で成約件数が6カ月連続、平米単価は2カ月連続の減少となった。6月の減少幅は成約件数が約27%、平米単価が約4%である。首都圏の中古マンションの在庫も4カ月連続で増加している。

在庫が増え、成約が減り、単価も落ち始めた。つまり、データからしても市場には「頭打ち感」が出始めた、ということである。

中古在庫は4ヵ月連続で増加中! 都内マンション"高値売り抜け"のラストチャンスは今!?
17世紀オランダのチューリップバブル同様、マンション市場も徒花(あだばな)となってしまうのだろうか?

17世紀オランダのチューリップバブル同様、マンション市場も徒花(あだばな)となってしまうのだろうか?

不動産の仲介業界で「動きが鈍い」「売れなくなった」「チャレンジ価格は無理」といった声が出始めたのは2025年の後半からである。そういった現場の動きが、いよいよ統計指標にも現れてきたのだ。

【売り時は去年だった?】

私が相談会や講演などで「(使わない不動産は)早く売りましょうね」と強く言い始めたのは2024年頃からである。2年前は、そう語ってもあまり説得力はなかった。当たり前である。エンド(一般消費者)さんたちが横目で眺めているマンション市場は、分かりやすく上昇を続けていた。

エンドさんたちが見ているのは、まずはスーモのような「売主希望価格」が出ているポータルサイト。そして、ネットに蔓延(はびこ)る不動産関連のインフルエンサーと呼ばれる人々の言説。彼らの発信する情報のほとんどが「今買いましょう」的な煽りばかりである。

ただ、そんな中でも市場の変化は確実に起きていたのだ。

今から考えれば、中古マンションの本当の売り時は去年(2025年)の前半までだったのかもしれない。そのころには、直前の成約価格の1~2割高の「チャレンジ価格」で成約するケースもチラホラみられた。

我ら業界関係者が目を丸くしながら「そんな値段で売れたの?」「誰が買ったの?」と言いたくなるケースである。しかし、そういう事象は昨年の後半から、ほとんどなくなっていた気がする。つまり、潮目は昨年の後半に変わっていたのだ。今、それを誰もが目にすることができるデータになって現れてきた、ということか。

ただ、これから売ろうとする向きも、あまり悲観することはない。というのは、まだ多くの人はそのことに気付いていないか、疑心暗鬼の段階だからだ。

だから、うまく高値で買ってくれる「慌て者」に出会うと、売り出し希望価格に近い値段で売却できるかもしれない。

今は昨年に比べて、そのチャンスがやや減った、ということ。なくなったわけではない。市場の大半がそのことに気付くまで、あとわずかながら、高値売り抜けのチャンスが残っているかもしれない。

文/榊淳司 写真/photo-ac.com

編集部おすすめ