日本代表は13日夜に決戦の地・ダラス入り。
冨安が初キャップを飾ったのは、2018年10月のパナマ代表戦。当時まだ19歳だった。2019年のAFCアジアカップでは吉田麻也、長友佑都らと最終ラインを形成。「トミが来た時、すぐ抜かれたなと思った」と吉田も5月31日のアイスランド戦で述懐していた。
それだけの凄まじいポテンシャルの持ち主はシント・トロイデン、ボローニャ、アーセナルと着実にステップアップ。欧州最高峰クラブの一員として自身初のワールドカップに挑んだが、コンディションが上がらず大会中はほとんど別メニュー。スタメン出場したのは、決勝トーナメント1回戦のクロアチア代表戦の1試合だけで、その時もトップフォームからかけ離れていた。日本代表もPK戦で敗戦し、不完全燃焼感ばかりが残った。
「一つ言えることは、本当に僕個人のパフォーマンスが良くなかったということ。
2023年3月に第2次森保体制がスタートしてからも、冨安のフル稼働は叶わなかった。カタール大会で撃破したドイツ代表を立て続けに破った2023年9月の一戦は、板倉とともにセンターバックを形成。2人で最終ラインをけん引していくことになるだろうと思わせたが、その後もケガが頻発。2024年1~2月のAFCアジアカップもリハビリが続き、同年6月のシリア代表戦を最後に日本代表から遠ざかることになった。
そこからの2年間は彼自身、心が折れそうになったことも幾度かあったはずだ。特にアーセナルと契約解除し、リハビリだけに専念した2025年の後半半年間は、2度目のワールドカップ参戦など夢のまた夢だったのではないか。そこから奇跡的な復活を遂げ、今回のメンバーに滑り込み、着実にトレーニングをこなしてきた。
「コンディションは予想より上ということは間違いないです。
冨安本人もナッシュビル初日の8日にここまでの手応えを口にしていたが、その後も強度をどんどん上げており、フル稼働も見えてきた。挫折感を味わった前回大会の悔しさを晴らすべく、本来の守備能力やビルドアップ能力を前面に押し出す時だ。
まず最初のタスクはオランダ戦でマッチアップするであろうコーディ・ガクポを完封すること。オランダはガクポ、ドニエル・マレン、クリセンシオ・サマーフィルというスピード系3トップが機動力を前面に押し出してくる形が想定される。特にガクポの左サイドはフレンキー・デ・ヨング、ミッキー・ファン・デ・フェンと絡みながら局面を打開し、ガクポが右サイドに浮き球のボールを供給。そこから数多くの決定機を演出している。そのチャンスボールを出させないのはもちろん、突破やフィニッシュを冨安が体を張って阻止することが、日本勝利のポイントになってくる。
もちろん3バック右には渡辺剛もいるため、冨安が先発と確定したわけではないが、今の調子を見れば、森保監督も思い切って送り出せるのではないか。長年待ち続けてくれた指揮官に恩に報いるためにも、オランダ戦はキーマン封じ、無失点請負人にならなければいけない。
そのうえで、U-19日本代表との練習試合で塩貝健人のゴールをお膳立てしたような攻撃センスも発揮してくれれば理想的。
取材・文=元川悦子
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