なにかと面倒な人に絡まれやすく、苦労しているという読者もいるかもしれない。
今回は、とある飲食店で隣の卓に居合わせた男女から、思わぬ言いがかりをつけられてトラブルに巻き込まれたというアカリさん(仮名・36歳)が、その一部始終を語ってくれた。
家族団らんの食事の場で感じた“怪しい雰囲気”
いまから約2年前、アカリさん夫婦は当時5歳の長男と3歳の次男の子ども2人を連れ、夕食のために、隣町にあるイタリアンレストランへ足を運んだそう。アカリさんたちは以前にも夫婦でこのレストランを訪れたそうだが、料理もおいしく雰囲気も良く、さらに価格もリーズナブルということで、ひさびさの家族そろっての外食の場所として選んだんだとか。
「お子様メニューもあるようなレストランで、家族連れでも行きやすい雰囲気でした。店の中は広々としていて、まだ幼い子どもが少し騒いでしまっても、人目が気にならないのもよかったです」
アカリさんたちは少し早めの夕方5時ごろに店を訪れ、入店したタイミングで店内は満席状態となり、店奥の4人席に案内されたという。
しかし席に案内された途端、アカリさんは隣の卓に座っていた客たちから異様な雰囲気を感じ取ったんだとか。
「隣の卓には、40代半ばくらいの男女2人がいて、男のほうはパンチパーマで華奢な体格、室内なのにサングラスをかけ、全身ジャージで首や腕にはゴールドのアクセサリーをジャラジャラとさせていました。
女のほうは、ブリーチした長い髪に、日焼けした小麦肌、つけまつ毛をしたバッチリメイクの姿で正直“ケバい”印象でした。とにかく店の中では目立っていて、なんだか嫌な予感がしました」
まだ夕食には早い時間だったが、その男女のテーブルにはボトルワインが開けてあり、すでに2人とも酔っているような印象だったのだそう。
「最初は嫌な予感がしたものの、その2人はずっと手を握り合って話し込んでいて、完全に“2人の世界”だったので、絡まれることもなさそうだと、一瞬ザワついた心が静まりました」
夫のひと言で状況が一変!
しかしそんな風に安堵したのも束の間、アカリさんの嫌な予感は的中してしまったのだ。「店内が混んでいることもあり、注文した料理がなかなか運ばれてこなくて、子どもがぐずり始めてしまったんです。“なんで食べ物こないの”とか“お腹すいた”と駄々をこね始めたので、私たち夫婦は子どもたちを必死になだめて、落ち着かせようとしました。
夫が子どもたちをなだめるため『たしかに遅いな~。もう少し待ってみような』と声をかけた途端でした。
そのパンチパーマの男は「さっきからうるせーんだよ親子共々!料理来ねえのは仕方ねえだろ!静かにしろよ!!」と怒鳴ってきたというのだ。
サングラスをかけていたことから、男の目の表情までは読み取れなかったそうだが、明らかに眉が吊り上がっており、怒りに満ちていたそうだ。
「子どもたちもそこまで大騒ぎしていたわけではないのですが、その男の態度にすっかり怖がって、大声で泣き始めてしまって……。
すると男にまた“おい、いい加減にしろよ!うるさくすんならさっさと出ていけ!”と言われ、私と子どもたちはいったん店の外へ避難したんです」
アカリさんの夫に聞いた話によると、自身は冷静沈着な様子で「うちの子どもがまだ幼く、すみませんでした。気をつけますからそういった態度は勘弁してください」と対応したそうだ。
すると男は立ち上がって夫の胸ぐらを掴んできたという。
「男は夫の冷静な態度が気に入らなかったのか、『調子乗んなやコラ!』と、さらに怒鳴り散らかしてきたそうです。
そこに駆けつけた店員さんが間に入り、怒鳴る男をなだめたらしいんですが……。それでも男は貧乏ゆすりをしながら夫を睨み、文句を言い続けて、イライラが収まらない様子だったといいます」
一方、女のほうは、そんな事態に目もくれず、ただ足を組んで、片手で退屈そうにワイングラスを持ちながらマイペースにスマホをいじり、我関せずな態度だったそう。
「店員さんから後々聞いたのですが、このパンチパーマの男は近辺の飲食店の大半を“出禁”になっているほどの有名な問題客らしいんです」。
男の怒りが収まらない様子を見て店員は、アカリさんの夫に「少々お待ちください」と言い、裏の厨房へ消えていったという。
オーナーの登場で男の態度に変化が
その後すぐ、店員とともに、がっしりした体格のいい男性がパンチパーマ男のほうへ向かっていったのだとか。「その体格のいい男性を見るや否や、パンチパーマの男はなにやらソワソワし始めたらしいんです」
男性はパンチパーマの男に親しげに話しかけながら「今日も混んじゃっててごめんな~」と笑いながら対応していたそう。するとパンチパーマの男は、ヘコヘコしながら「いやあ!こっちこそ騒いじゃって申し訳ないっす!」と突然態度を一変させたという。
実は、この体格のいい男性は店の料理長兼オーナー。パンチパーマの男は、個人的な縁からオーナーと親しくなり、店に出入りしていたという。その男のあまりの変わり身の早さに、あかりさんの夫はあっけに取られたそうだ。
「“あんなに態度が変わるなんて、なんだか情けない人だった”とトラブルが収まった後に夫は笑いながら言っていました」
最終的にアカリさん一家は別の席へ案内され、食事を続けることができたというが……。
「迷惑料なのか、会計時にいくらか割引され、店側から謝ってもらえましたが、オーナーがあんな面倒な人と関わりがあるとわかった以上、いくら料理がおいしくても、もう行くことはないでしょうね」
アカリさんは苦笑いしながらそう話してくれた。
――自らの態度のせいで数々の店を出禁になった男。唯一入店を許された空間で自分の居心地だけを優先しようとした結果、いい歳をして小さな子ども相手にまでイライラするような“ダサい大人”となってしまったのだろう。本当に未熟なのは、一体どっちだったのか。
(取材・文=瑠璃光丸凪/A4studio)
【瑠璃光丸凪】
編集プロダクションA4studio(エーヨンスタジオ)所属のライター。興味のあるジャンルは、アングラ・音楽・ファッションなどサブカルチャー全般と、ジェンダー問題、政治経済問題について。
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