大相撲名古屋場所10日目(21日、IGアリーナ)

関脇・安青錦が横綱・豊昇龍を上手投げで破り、特例による1場所での大関復帰へあと1勝とした。1敗でトップを守り、3場所ぶり3度目の優勝への期待も高まってきた。

東前頭7枚目・琴栄峰は西同12枚目・阿炎を切り返しで下し、首位を並走。綱取りの大関・霧島は西前頭3枚目・伯乃富士を寄り切り、2敗同士の対決を制した。安青錦、琴栄峰を1差で霧島、平幕の高安、朝乃山、尊富士、獅司の5人が追う。

 痛めている左足で踏ん張り、豪快な投げを決めた。過去4勝1敗で好相性の豊昇龍との一番。立ち合いで左まわし、頭をつけて密着する得意の形をつくった。「止まってしまったら横綱はたくさんの技を持っている。自分から攻めようと心がけた」。さらに右の下手も引いて、力強く相手を引きつけながら豪快な上手投げ。痛みをこらえながら、気迫あふれる相撲に館内は沸きあがった。

 場所前から左足に不安を抱えていたが、8日目の取組で左足親指付近を負傷。患部は腫れ上がり、左足首まで分厚いテーピングを施し、土俵に上がり続ける。

この日の取組後も土俵下であぐらをかくことができず、左足を伸ばして座るなど、状態は万全とは言えない。報道陣から痛みとの向き合い方について問われても「わからない。難しい。人によると思う」と話すにとどめた。

 陥落した直後の今場所で10勝以上すれば、特例で大関へ復帰できる。9勝目を挙げ、復帰まであと1勝と迫ったが「気にせずに残りの5日間をやっていく」と冷静に話した。さらに満身創痍の中でも、優勝争いでもトップタイを走る。八角理事長(元横綱・北勝海)も「力強い勝ち方だった。あと一番よりも優勝ではないか。横綱2人に勝ったのだから」と、優勝争いを引っ張る活躍を期待した。

 現行の制度となった1969年名古屋場所以降、大関から陥落して特例で復帰したのは過去6人で7例あるが、復帰を決めた場所で賜杯を抱いた例はない。今場所前から「10勝ではなく、優勝を目指す」と目標を定めてきた。

「自分の相撲を取れている感じ。残りもこの調子で頑張れたら」と手応えを口にし、相撲内容も本来の姿に戻りつつある。大関復帰を懸けた場所から、3度目の賜杯を狙うウクライナ出身の22歳の存在感が、日に日に増してきた。(大西 健太)

編集部おすすめ