気象庁は今年、最高気温が40度以上の日を「酷暑日」と定めた。2025年は、日本の夏の平均気温が1898年の統計開始以降で最も高かった。
「酷暑日元年」となる2026年夏、各社は熱中症対策と飲用機会の創出に知恵を絞る。水分や電解質を補う商品に加え、身体を内側から冷やすアイススラリー、日傘による日陰づくり、自治体や研究機関との連携など、取り組みは「飲む」の先へ広がっている。
全国清涼飲料連合会も、熱中症対策としてこまめな水分補給と塩分摂取を呼び掛ける。こうした基本的な対策を踏まえ、各社は商品による対策に加え、暑さを避ける環境づくりにも取り組む。
熱中症対策商品、選択肢広がる
コカ・コーラシステムは、「アクエリアス THE 0」を4月に全国発売した。糖の代わりにアミノ酸を活用し、糖類・カロリーのダブルゼロと効率的な水分補給を両立。ナトリウムも含み、スポーツ時や夏場の水分補給を提案する。
キリンビバレッジは、「ソルティライチ」シリーズ初の炭酸タイプ「キリン 世界のKitchenから ソルティライチソーダ」を6月に数量限定発売した。ライチと沖縄海塩を組み合わせ、「熱中症対策」表示ガイドラインの適用条件を満たす。
アサヒ飲料は、無糖炭酸水「ウィルキンソン タンサン ソルティレモン」を7月に期間限定発売した。レモン果汁と塩分を配合し、「熱中症対策」表示ガイドラインの適用条件を満たす。
伊藤園は、「健康ミネラルむぎ茶 アイス スラリー」を5月に発売した。細かな氷の粒と液体を混ぜた「飲める氷」で、身体を内側から冷やす暑熱対策を提案。屋外作業やスポーツ、レジャーなどでの飲用を想定する。
日傘・地域連携、「飲む」の先へ
暑さを避ける環境づくりでは、サントリービバレッジ&フードが「GREEN DA・KA・RA」で水分補給と日傘を組み合わせる。全国6カ所のレジャー施設で親子用日傘を無料で貸し出し・配布するほか、子ども特有の暑熱環境を「こども気温」と名付け、小学校で水分補給や日傘の活用などを伝える。小学校向けの熱中症対策授業は、2026年に約270校、約2万人を対象に展開する計画だ。
取り組みは、地域と連携した仕組みづくりにも広がる。大塚製薬は、自治体や地域関係者との熱中症対策会議を各地で開く。静岡市では、中部5市2町と企業・団体が、救急搬送者数の削減やクーリングシェルターの拡充に向けた方向性を共有した。6月には国立環境研究所などと「熱中症対策産官学連携コンソーシアム」を設立し、熱中症リスクの低減と対策の社会実装を目指す。
アイスコーヒー飲用率、32年で約1.8倍
一方、コーヒー各社は、暑さの長期化を背景に、アイスコーヒーの飲用機会を広げる提案を強めている。コーヒーのアイス飲用率は、1993年の23%から2025年には41%へ上昇しており、32年間で約1.8倍になった。特に30代以下で高いという(消費者行動研究所「飲み物調査」)。
拡大するアイスコーヒー需要を取り込もうと、各社は商品や飲用方法の提案を広げる。ネスレ日本は、アイスコーヒーに特化した「ネスカフェ アイスブレンド」シリーズで、ボトルコーヒーや濃縮ポーションを展開し、新たなアイスコーヒー需要の創出を目指す。味の素AGFは、水や牛乳で割るだけでアイスドリンクを作れる「ブレンディ」ポーションを強化する。UCC上島珈琲は、水で丁寧に淹れる「水淹れコーヒー」を家庭用や業務用など幅広いチャネルで提案し、アイスコーヒーの新たな定番として育成する。
夏の暑さだけで清涼飲料の数量が伸びる時代ではない。酷暑下でも生活者の安全を支えながら、家庭や職場、外出先に新たな飲用機会をどう作るかが、各社の次の一手となる。









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