最近のニュースで毎日のように耳にするのが中東情勢による様々な影響。
昨日の現場にアタックでも「ヘリウム不足」に関して取り上げましたが・・・

実はナフサを原料とする「エチレンガス」の不足も問題となっているんです。


と言うのも・・・バナナを黄色く甘く熟成させるために不可欠なのが「エチレンガス」なんです!

バナナは、フィリピンやエクアドルから輸入されることが多い、日本で最も多く食べられている果物。その数年間100万トン!

バナナがピンチ!ナフサ不足がもたらす『追熟』の危機の画像はこちら >>

輸入の際は、虫がつかないように青くて硬い状態で輸入され、市場に出荷するには国内で追加の熟成(追熟)が必要。密閉された部屋にエチレンガスを充満させ行います。

日本のバナナの追熟において、全体のおよそ30%のシェアを持つ企業、株式会社ファーマインド・専務執行役員の大江慎さんに「追熟」について伺いました。

株式会社ファーマインド・専務執行役員 大江慎さん

非常に大きな影響を受けています。3月の下旬くらいから、エチレンをこれまで入荷していたところから、いつどれぐらい出荷できるか分かりませんという状態になりました。
エチレンというのは、実はバナナ自体からも自然に発生されている植物ホルモンの一種です。最初に外からエチレンをより多く与えることによって「追熟の目覚まし時計」が鳴って、活動を活発にし始めるという作用があります。バナナの状態ですとか、あるいはどういった産地で作られているか、どういった環境で作られているかというのにもよりますが、おおむね1週間程度、熟成、追熟というプロセスを踏みます。その中の最初の24時間程度、エチレンを使用します。

もともとバナナ自身から出ているガスでもあるんです!

果物や野菜のほとんどでこのエチレンガスは排出されるんですが、排出量が多いのはリンゴ・バナナ・トマトなど。冷蔵庫の中でこれらと葉物野菜を隣り合わせで置くと、傷みやすかったり・・・そんな経験はありませんか?実はそれもエチレンガスの作用なんです。

元々バナナから出ていることもあり、追熟に使われるエチレンの量は微量。
ただ、追熟現場ではこの方法を30年以上使っており、エチレン以外のガス、方法は今のところ無いんだそうです。

※エチレンが使用される以前は、炭火による燻製法や、アセチレンガスを使用していましたが、危険性が高く使用されなくなりました。

バナナがピンチ!ナフサ不足がもたらす『追熟』の危機
バナナ追熟の様子:ファーマインド提供

では、青いまま購入し、自宅で追熟することは可能なのでしょうか・・・?

実は、自宅で追熟することはかなり難しいんです!
外側は青いまま中身が腐ってしまったり、甘くならなかったり・・・至難の業です。エチレン以外にも、温度や湿度の細かい調整をしてあの黄色い美味しいバナナになっているんです。追熟が行われない青い状態で店頭に並ぶ可能性は低そうです。

バナナの追熟に欠かせないエチレンですが、追熟が必要なのはバナナだけではないようです。再び、ファーマインドの大江さんのお話です。

株式会社ファーマインド・専務執行役員 大江慎さん

追熟、そのトリガーをかけるということがメインの作用になりますので、そういった意味では他の果物においても使用しております。圧倒的に多いのはバナナ、その次にアボカド、キウイ、他には、例えばラフランスみたいなものも、日々追熟をしているような果物になります。
熟成加工ができなくなるリスクが発生するというのは想像外。我々この事業を始めて35年、そういったことは今まで一度もございませんでした。

とにかく国内で従来の仕入れルートから入荷できないのであれば、新たなルートを探そうということで、いろんなところをかけ回って、海外ルートも含めて新たなところからエチレンを入手して、必要な量は、今のところ確保できている状態です。

追熟が必要な果物はバナナだけじゃないんです!

また、追熟以外にもジャガイモの発芽抑制に使用されていたり・・・野菜や果物の貯蔵管理においてエチレンが使用されている現場は多いんです。

※ジャガイモの発芽抑制(北海道)については、秋に収穫し、冬から翌年の夏まで、エチレンガスによる発芽抑制をかけるということで・・・現在貯蔵しているジャガイモは、もうすぐ貯蔵期間を終えるため影響は少ないということでした。

追熟の現場は何としてでもエチレンを確保しようと世界中を飛び回っているのですが、海外ルートとなると当然コストがのしかかります。ファーマインドの直近の仕入れでは、従来の5倍~10倍のコストがかかる試算に・・・

では、街のスーパーなど、現在の小売りの現場はどうなっているのでしょうか。スーパーアキダイの秋葉社長に、価格と対策についてお話を伺いました。

スーパーアキダイ・秋葉弘道社長

いわゆるナフサの不足とか、原液価格高騰なんかの理由もあって、問題が山積という状況です。
バナナ自体も、基本的に夏っていうのは熟しやすいから、回転させたいから、夏場は結構バナナ安くなったりしたんですよ。それなくなりましたね。当店では赤字で100円で販売してますけど、 ただ本数が以前5本だったのを4本とか3本にしてるっていうのが現状ですね。今後やっぱり、価格だけじゃなく、お店に物が並ぶかどうかっていうそういう心配も出てくるのが現状ですよね。昨今、いわゆる円安なんかの影響、あとは世界的に異常なことが起きてますんで、国産のバナナっていうのも、目をつけ始めてはいますね。

現在は海外産のバナナがほとんどですが、在庫を途絶えさせないために、国内でもバナナ探しをしているということでした・・・現場は危機感を募らせています。

バナナがピンチ!ナフサ不足がもたらす『追熟』の危機
店頭に果物や野菜が並ぶスーパーアキダイ

また、野菜や果物のパッケージやテープも不足しており、包装資材も商品そのものも、中東情勢の影響が出ていて問題が山積みだという事でした。

ガス一つで店頭から消えるかもしれない果物や野菜もあって、日本の食の「もろさ」を感じます。安定供給はいつになるのか、不安は続きます。

(TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ』より抜粋)

編集部おすすめ