ゲストは、東京都市大学理工学部教授の早坂信哉さん。
前回、「寝る90分前に40℃のお湯で10分間肩まで浸かる」という最高の入浴法を紹介させていただきました。
夏は体温に近い「ぬる湯」に20分浸かって、体温を上げずに入浴しましょう!
まず、結論から先に言うと、暑いからといってシャワーで済ませてしまうよりは、夏でもしっかりと湯船に浸かったほうが良いんです。
理由としては、夏は屋内と屋外の温度差が、かなりありますよね。そこを出たり入ったりすることで、交感神経がオンの状態になってしまいます。交感神経は車でいうアクセルのようなものなので、踏みっぱなしの状態になっていると、体はだんだん疲れてきてしまいます。交感神経をオフにするには、副交感神経をオンにすることが必要になります。そこで「ぬる湯に20分」です!
具体的には体温に近い36℃~38℃のぬる湯がオススメです。この暑くも冷たくもない温度に浸かることを「不感温浴(ふかんおんよく)」と呼びます。不感温浴は体にとって一番負荷がかかりにくい、リラックスできる温度なんです。この温度であれば、お風呂上がりに「汗が止まらない!」みたいな現象も起きにくくなります。
また、ぬる湯にするメリットもあるんです。水分を多く摂取する夏は、むくみやすくなっています。
入浴の際に気をつけることは、湿度や温度が上がると浴室での熱中症の危険性が増します。換気をしたり、浴室冷房を使ったりして涼しくなるように意識しながら入てください。入浴前後でコップ1~2杯の水分補給をしましょう。牛乳、水、スポーツドリンクなどがオススメです。みなさんもご存知かと思いますが、アルコールは水分に入らないので、注意しましょう。
熱中症対策と夏バテ対策には炭酸の入浴剤!
熱中症と夏バテは、似ているようで全く違うものなんです。熱中症は発汗による脱水だったり、体温の上昇によって引き起こされる「急性の症状」。気温が高い日中に外出し、当日の夜に症状が出たりするので、原因が明確です。一方、夏バテは正式な病名ではなく、おもに「自律神経の乱れ」が原因で起こる体の不調。
この2つ、実は原因が違うのでオススメの「入浴方法」が異なるんです。
熱中症対策で「40℃で10分の入浴」をオススメしています。体が暑さに弱い状態なので、本格的な夏に備えて「暑熱順化」をすることが熱中症の予防につながります。まだ梅雨明けしていない今の季節に、2週間ほどかけて行ってください。夏バテ対策は「36~38℃で15分~20分」がオススメです。先ほどもお伝えしたような「体温をあまり上げないような入浴」で副交感神経を働かせるのが大切になってきます。
そして両方をカバーできるものとしてオススメなのが「炭酸の入浴剤」。
炭酸の入浴剤は、お湯に溶けた炭酸ガスが皮膚から吸収され、血管を広げることで血流を改善する効果が期待できます。ぬるめのお湯では、体を温める「温熱作用」が弱くなり、血流改善効果が少なくなるんですが、炭酸の入浴剤を入れることで、その効果を補うことができます。そのおかげで、体が芯から温まるだけでなく、全身の新陳代謝が促進されるので、疲れが取れやすくなります。
また、「半身浴」ではなく肩まで浸かる「全身浴」を意識してもらったり、「暑いと感じたら無理をしないこと」などに気をつけましょう。
夏はニオイ対策にシャワーを積極的に活用!
夏の悩み事として、体のニオイがあるかと思います。夏は皮脂も汗をかくので、気になりますよね。実はニオイの原因は、汗そのものではなく、汗や皮脂、古い角質を皮膚の常在菌が分解するときに発生します。例えば、体臭の中でも古本のニオイのような「加齢臭」は、皮脂が原因と言われていて、加齢に伴って皮脂の中に含まれてくる「9-ヘキサデセン酸」という脂肪酸が皮膚常在菌、あるいは空気により酸化分解することで発生するんですね。
そのニオイを落とすのにシャワーが有効。これまでは湯船に浸かることをオススメしてきましたが、夏は短時間のシャワーの活用もありかと思います。夜お風呂に入っていても、人は寝ている間にコップ1杯程度の汗をかくと言われていますよね?このときに、もちろん皮脂も分泌されます。つまり朝起きた時には、ニオイの材料が体ついている状態なんです。
そこでおすすめなのが、「朝のシャワー」。
東京ガス都市生活研究所から、「41℃のシャワーを朝1分浴びる」という実験の報告があります。その結果、たった1分シャワーを浴びるだけで、ニオイの原因となる胸や背中の皮脂量が大きく減り、その効果は夕方まで続くことが確認されました。「ニオイを取るだけ」を考えたら、シャワーもかなり有効なんです。
つまり、長時間浴びる必要はなく、また、石鹸も必要なく、お湯をサッと浴びて、体の表面の汗や皮脂を落とすだけで、十分というわけです。日中であっても、シャワーを浴びられる環境であれば、「汗をかいたな」と思ったときにさっとお湯だけでシャワーを浴びると、ニオイも抑えられ、汗による肌荒れも防げます。
短時間でもいいのであれば実践しやすいですが、入浴とは違ってシャワーでは疲れが取れないので、できれば夜や週末だけでも、湯船に浸かってください!
プロフィール
・1968年宮城県生まれ。
・東京都市大学理工学部教授の他にも、医師、医学博士、そしてお風呂や温泉の正しい情報を伝える「温泉医療専門医」でもあります。
・25年以上にわたり、7万人以上の入浴を医学的に調査しており、日本のお風呂に関する研究の第一人者!
・主な著書に『入浴 それは、世界一簡単な健康習慣』『おうち時間を快適に過ごす入浴は究極の疲労回復術』『最高の入浴法』など。
(TBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』より抜粋)

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