バスの運転手不足が、深刻さを増しています。横浜で、バスの運転士だけを集めた就職説明会がありました。
その現場で、各社に今の状況を聞きました。
「減便せざるを得ない」、各社の悲鳴
日立自動車交通 荒堀啓さん
昨年行っております、減便というのは。免許を持っている中心層の大体60代の方が定年退職っていう形で、もうどんどん人が全体的にいなくなってしまっておりますので、もうそうせざるを得ないと言いますか。それをやらないとダイヤが維持できないというところがございましたので、やむなくというところもございまして、減便しております。
小湊鐵道 松本鮎美さん
全く足りていないので、大大大募集です。逆にうち、ほとんど中途なんですよ。だから全然違う職種の方が本当に多いですね。事務職、学校の先生、塾の先生ももちろんいらっしゃいましたし、子育てが落ち着いた方とか。
川崎鶴見臨港バス 関友亨さん
<7月4日(土)開催の「バスギアエキスポ」横浜会場。実際その現場の肌感覚としても、やっぱり人手不足、運転手不足っていうのは感じてるところで。昨日、本当は13時半に仕事終わりだったんですけど、急遽残ってくれないかということで、残業させていただきました。
最後の関さんは、川崎や鶴見で路線バスを走らせている、川崎鶴見臨港バスの現役の運転士です。日立自動車交通の荒堀さんは運行管理者ですが、今も現場に出ることがあると話していました。
足りない理由は、ベテランがどんどん定年でやめていく。でも、若い人が入ってこない。去年は都営バスの減便も行われ、「バスが減ったな」と実感している方も多いと思いますが、今後2030年には運転士が3万6000人足りなくなるという試算もあります。「バスを待っても来ない」という日が、現実味を帯びてきています。
「寮費タダ」で、県外から呼ぶ
そんな中、この就活フェアに三重から来ていた会社が思い切った手を打っていました。三重交通の東功さんに伺いました。
三重交通 東功さん
格安の単身寮がありまして、3000円のですね、共同スペースの多い寮があるんですけども、光熱費は会社負担になりますんで、もう3000円ポッキリで入居していただけると。やっぱり住むところって自分で探すには大変なので、自分で探さなくてもいいっていうところが一番かと思いますね。来年の3月末までに入社をしていただくと、寮費も1年間無料というキャンペーンもやっておりますんで。
三重交通は、路線から観光まで手がける会社です。
こうした支援の動きは、行政にも広がっています。東京都は、バス運転士の離職を防ぐため、バス会社に対して一人あたり年間12万円の補助金を出す制度を、この夏からスタートさせるそうです。
運転士を「貸し借り」する
どこも運転手の確保に必死ですが、一方で、運転士を取り合うのではなく、会社同士で「貸し借りする」という仕組みも出てきました。全国のバス会社を仲介している、商工中金の商工組合中央金庫(商工中金)の髙橋武顕さんに伺いました。
商工中金 高橋さん
同じ季節でも、繁忙期と閑散期が日本の中でも異なるっていうことがあるので。繁忙期でどこも人が足りない状況だと。一方で、一時的に少し仕事が落ち着かれる事業者様が、むしろ繁忙期のお客様のところに応援に行く、もしくは助けに行く。その閑散期の事業者様と繁忙期の事業者様を繋ぐのが、私どものサービス「YUUZUU」というものでございます。福岡と北海道、北海道から沖縄、北海道から広島、逆に広島から北海道みたいな感じです。
商工中金が、去年10月から始めた「YUUZUU」、その名の通り、バス運転手を全国で融通しあう仕組みです。例えば11月、修学旅行客で繁忙期の沖縄に、閑散期である北海道の運転士が助っ人に行く。そうした貸し借りが全国で去年から始まり、まだ一部事業者間ではあるものの、30人近くの運転士が助っ人に行って働いたそうです。
送り出す側と、受け入れる側
では、実際に運転士を送り出した会社は、どう感じたのか。青森から沖縄へ助っ人を出した光洋タクシーの福田光一郎さんに聞きました。
光洋タクシー 福田さん
お話をさせていただいたときに、ご自宅に戻ってもらって。奥様の方から後押しがあったようで、やってみたらと言われたそうです。本人としては、沖縄のバス会社さんもかなり丁寧にやってくれてたので、衣食住かなり充実してたそうです。
今回、出向する側の立ち位置で融通というサービスを利用させていただいてたんですけど、受け入れ側としても、このサービスを利用したいと考えておりまして。ですが、金銭面でのハードルというのが少しありまして。今回出向させていただいた地域では、県として受け入れのための補助金を出しているそうで、もしそういったものがあれば受け入れもしやすく、地域の運転手不足の解消には効果があるのではないかと思ってる次第です。
青森は、紅葉が終わるとバスの仕事が減ります。
ただ、今度は自分たちが受け入れる側に回ると、話は別だとも話していました。よそから来た運転士の、泊まる場所、移動の足。その宿泊費や交通費など、金銭面のサポートが、どうしても必要になります。今回の沖縄の会社は、県が受け入れの補助金を出していたようですが、裏を返せば、そうした支えのない土地では、受け入れる会社が負担を抱え込むことになります。行政の後押しも含めて、これからの「持続可能なバスのあり方」が問われています。
(TBSラジオ『森本毅郎・スタンバイ!』より抜粋)

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